SpaceX、Cursor親会社Anysphereを600億ドルで買収へ

米宇宙開発企業のSpaceXは、AIコーディングツール「Cursor」を手がけるAnysphereを600億ドル、約9兆6000億円で買収すると発表しました。The Wall Street Journalによると、Cursor側は契約に基づき、600億ドル相当のSpaceX株を受け取る見通しです。買収は2026年第3四半期に完了する予定で、SpaceXが人工知能(AI)分野での競争力を高める大型案件となります。

今回の合意は、SpaceXが新規株式公開(IPO)を実施した直後に明らかになりました。同社の株価は上場初日に19%上昇し、その後も値上がりが続いたことで、時価総額は3兆ドルに近づいています。米国の上場企業の中でも上位に入る規模となり、AI関連事業への投資余力を一段と強める形です。

Cursorのマイケル・トゥルエルCEOは、SpaceXとの契約により、最先端AIの能力を前進させ、「世界で最も有用なAIモデル」を構築する目標に近づくと述べました。Cursorは2023年にMIT卒業生4人が設立した企業で、当初は暗号化メッセージングのスタートアップでした。その後、開発者向けのAIコーディングツールに事業を広げ、年換算で数十億ドル規模の収益を上げる企業に成長しました。

Cursorの製品は、OpenAI、Anthropic、xAI、GoogleなどのAIモデルを切り替えながら利用できる点が特徴です。コード作成やデバッグ、タスク自動化を支援する領域では、AnthropicのClaude CodeやOpenAIのCodexと競合しています。SpaceXにとっては、社内AIアシスタント「Grok」だけでは十分に取り込めていなかった企業向け顧客への接点を広げる狙いもあります。

SpaceXは4月時点でCursorを買収する権利を確保したと説明しており、両社はコーディングとAI分野で緊密に協力してきました。同社は、Cursorの製品力と開発者への浸透力に加え、100万基のH100相当とされる「Colossus」トレーニング用スーパーコンピューターを組み合わせることで、高性能なAIモデルの開発を進める考えです。Colossusは、SpaceX傘下となったxAIが米テネシー州メンフィスに整備したAI計算基盤です。

SpaceXは最近、AnthropicやGoogleとのクラウドコンピューティング契約も発表しており、AI関連収益の拡大を進めています。さらに、ロケットや衛星製造能力などの宇宙資産を活用し、最大100万基のAI衛星を配備する構想も示しています。地上のデータセンターに依存しているAI計算を、太陽光発電を使う軌道上データセンターで担う計画もあり、今回のCursor買収は同社のAI戦略を加速させる動きといえるでしょう。


出典:SpaceX’s $60 Billion Deal to Buy Cursor Gives It More AI Coding Power – WSJ

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