OpenAI、Linuxカーネルの権限昇格脆弱性948件を自律検証するパイプラインを公開

OpenAI、Linuxカーネルの権限昇格脆弱性948件を自律検証するパイプラインを公開
出典:https://openai.com/ja-JP/index/a-thousand-fewer-paths-to-root/

OpenAIは2026年11月4日、Linuxカーネルの脆弱性の発見から悪用可能性の評価、パッチ生成までを自律的に行うパイプラインを開発したと発表しました。今後提供予定のサイバーモデルを使った1回の実行で、権限のないローカルユーザーがroot権限を取得できるローカル権限昇格(LPE)エクスプロイトを948件生成しました。API費用は約120万ドル(1,213,430ドル)で、LPEエクスプロイト1件あたり1,279ドルです。

パイプラインは5段階です。探索エージェントが監査対象を絞り、分析エージェントが脆弱性候補を検出します。次に、トリアージエージェントが隔離した仮想マシンで動的に再現し、悪用可能性を評価してパッチを生成します。最後に人間の研究者が結果を確認し、メンテナーへ報告します。探索では約280万行(コードベース全体の約7%)を対象にしました。分析では12時間以内に2,308件の候補を検出し、30時間以内にその約74.7%にあたる1,724件を再現しています。誤っていた分析は3.1%でした。

悪用可能性の評価では、情報漏えい候補313件とLPE候補1,238件に絞り込みました。標準的なLinuxディストリビューションの保護機能を有効にした環境で、情報漏えいのPoC291件と、動作するLPEエクスプロイト1,169件を作成しています。亜種分析の結果、重複を除くLPEは948件で、同数の異なるパッチを開発しました。同社は、深刻な脆弱性に関する数百件のレポートとパッチをすでに送付し、Patch the Planetのパートナーと残りの送付を進めるとしています。

Pwn2OwnとTyphoonPWNが過去に設けたLPEの報奨金(それぞれ2万ドル、7万ドル)を当てはめると、仮想的な評価額は1,890万~6,630万ドルで、費用の約16~55倍に相当します。Googleの報奨金プログラムkernelCTFの環境では、25件の情報漏えいPoCと21件のLPEエクスプロイトを生成しました。費用は約32,936ドルで、受理されれば報奨金は約150万ドルと、費用の約45倍になるとしています。

モデルの進化も数字に表れました。2026年7月下旬のGPT-5.6 Solは重複のない166件のLPEを発見し、費用は513,690ドルでした。10月中旬の新しいサイバーモデルは948件を発見しており、同社は能力が上がったら過去に監査したコードも再スキャンすべきだと述べています。また、166件のエクスプロイトを分析したところ、少なくとも10種類の新しい手法が使われていました。外部の専門家にとっても未知の手法でしたが、安全上の理由から技術的な詳細は公開していません。

留意点も報告されています。初期の実行では、成功と報告された200件のうち20件が、割り当てられたものとは別のゼロデイ脆弱性を使っていました。そのため、各エクスプロイトが割り当てられた脆弱性を使っているか確認する独立したチェックを追加しています。さらに、kernelCTFでの実行ではQEMU TCGの脆弱性も発見・悪用されました。

スキャンから10日後の時点で、61件のLPEはアップストリームで修正済み、43件はパッチの適用準備中で、299件は公開の場で報告・議論されていました。同社は、今後数年以内に、脆弱性が存在すればフロンティアモデルが発見できる可能性が高くなると見ています。そのため、最新パッチの適用、サンドボックスなどを使った多層防御、標準で安全なコードを書くモデルの訓練などが重要だと説明しています。同社はPatch the Planetを通じて、取り組みをほかの重要なソフトウェアにも広げる考えです。


出典:https://openai.com/ja-JP/index/a-thousand-fewer-paths-to-root/

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