
OpenAIは2026年9月29日、開発者向けイベント「OpenAI DevDay 2026」を開催し、新モデルやAIエージェント、API、Codex、ChatGPTの共同作業機能など、20を超える新製品・機能を発表しました。中でも注目されるのが、24時間稼働することを想定した常時稼働型AIエージェント「Dots」と、最上位モデル「GPT-6 Astra」に近い性能を約5分の1の価格で利用できる新モデル「GPT-6.1 Sol」です。
DotsはGPT-6 Astraを搭載した個人向けAIエージェントで、ユーザーが常に操作しなくてもタスクを継続して処理できます。ChatGPTだけでなく、SlackやMicrosoft Teamsからも利用でき、4,000以上のアプリに対応します。ChatGPT Pro、Business Premium、Enterpriseユーザー向けに、DevDay当日から順次提供が始まりました。
新モデル「GPT-6.1 Sol」はGPT-6 Solの後継にあたり、コーディングやPDFなどのドキュメント理解、複数段階にわたる業務処理などで性能が向上しました。OpenAIの評価ではGPT-6 Solを大きく上回り、複数のベンチマークでGPT-6 Astraに近い性能を示したとしています。事実検証能力も改善され、誤回答率は約32%低下したということです。
API料金は100万トークンあたり入力2ドル、キャッシュ入力0.10ドル、出力10ドルで、Astraのおよそ5分の1の価格とされています。モデルIDは「gpt-6.1-sol」で、APIから即日利用できます。ChatGPTではPlus、Pro、Business、Enterprise、EduユーザーがChatGPT WorkやCodexから利用可能ですが、通常のChatGPTのチャット画面には現時点で提供されていません。
さらに、GPT-6シリーズの応答を最大8倍高速化する「Ultrafast」も発表されました。最大300トークン/秒で出力できる高速モードで、料金は標準の約6倍です。現在はGPT-6 Astraで利用でき、GPT-6.1 Solにも導入される予定となっています。
開発者向けでは「Agents API」が大幅に強化され、AIエージェントがChromeやエディターなどの外部ソフトウェアを操作するComputer Useに対応しました。複数のサブエージェントを同時に動かす機能や、必要なツールを自動で探すツール探索、長時間の処理に向けたコンテキスト圧縮なども追加されています。これにより、従来は開発者が独自に構築していた複雑なエージェント基盤をOpenAIのクラウド上で動かしやすくなりました。
新たに限定プレビューが始まった「Decisions API」は、事前に用意した複数の選択肢から適切な回答を低遅延で返すAPIです。内部モデル「Luna」を使用し、分類やマッチング、金融、EC、検索結果のランキングなどへの活用が想定されています。プレビュー期間中は無料で提供されます。
Codex関連でも複数のアップデートが発表されました。Codexはクラウド環境で利用できるようになり、開発環境のスナップショットを保存してチームで共有できます。「Codex CLI」には音声コマンドや、動作中のエージェントを確認できるエージェントビューが追加されました。ChatGPTのデスクトップアプリにはコードレビュー機能も加わり、Diffの確認や改善指示、Pull Requestのドラフト作成などをChatGPT上で行えます。
セキュリティ分野では「Codex Security Cloud」を発表しました。GitHubリポジトリを継続的にスキャンして脆弱性を検出し、重複した指摘を整理したうえで修正コードまで生成します。関連する「Codex Security CLI」はオープンソースとして公開されています。
ChatGPT自体も、単なるチャットサービスから共同作業プラットフォームへと大きく拡張されます。「ChatGPT Spaces」では複数のメンバーとAIが同じ空間でノートやWiki、タスクを共有でき、「ChatGPT Pages」では文章や図表、コードを含むドキュメントを共同編集できます。さらに「Collaborative Slides」では、AIと複数のユーザーがプレゼンテーションを共同作成し、PowerPointやGoogle Slides形式で出力できるようになる予定です。
SlackやMicrosoft Teamsとの連携も強化され、チャット上で「@ChatGPT」とメンションするだけでAIを呼び出せます。会議を録音して議事録やアクション項目を自動生成し、ChatGPT Spaceへ保存する「Meetings Plugin」もベータ提供が始まりました。
プラグインには「Plugin Extensions」が追加され、チャット画面内にサイドパネルやファイルビューア、インタラクティブなダッシュボードなどを構築できるようになります。また、「MCP Events」により、外部アプリで起きた変更をトリガーとしてAIを自動実行するイベント駆動型の処理にも対応しました。
このほか、月額500ドルの新プラン「Pro 500」、企業向けの「OpenAI Marketplace」、データを保持しないゼロデータ保持などを提供する「Private Intelligence」、AWS環境でOpenAIのエージェント機能を利用できる「Bedrock Managed Agents」なども発表されています。
DevDay 2026では、単純に新しいAIモデルを追加するだけでなく、モデル、エージェント、API、開発環境、共同作業、外部アプリ連携までを一体化する方向性が鮮明になりました。GPT-6.1 Solによる高性能モデルの低価格化と、DotsやAgents APIによる長時間・自律型エージェントの拡充は、OpenAIがChatGPTを「質問に答えるAI」から、実際の業務を継続して実行するプラットフォームへ広げようとしていることを示しています。
