OpenAI、AIがナビエ・ストークス問題の解を生成したと発表 独立検証はこれから

OpenAI、AIがナビエ・ストークス問題の解を生成したと発表 独立検証はこれから
出典:https://openai.com/index/navier-stokes-solution/

米OpenAIは9月8日、社内の未公開AIモデルが、ミレニアム懸賞問題の一つである「ナビエ・ストークス方程式の存在と滑らかさ」の解決につながる証明を生成したと発表しました。同社は、証明の解説文と、定理証明支援系Leanで形式化した証明を公開しています。数学コミュニティによる独立した検証は今後行われる見通しです。

ナビエ・ストークス方程式は、流体を個々の分子ではなく連続体として扱い、運動を記述する方程式です。航空機設計や天気予報、血流の研究などに使われます。今回の問題は、一定密度の3次元非圧縮性流体が滑らかな状態から始まった場合でも、有限時間内に特異点を生じるかどうかを問うものです。ここでいう特異点は、流体の速度が有限時間で無限大に増大する状態を指します。

OpenAIは、初めは静止している滑らかな流体に滑らかな外力を加えた場合、エネルギーを有限に保ちながら有限時間で特異点が発生し得ることを、解析的な証明とLeanによる形式化で示したと説明します。渦が内側へ巻き込みながら軸方向に引き延ばされ、中心部が縮小して速度を増す構成だとしています。クレイ数学研究所が示す問題設定のうち、滑らかな外力を許容して破綻を示す主張「C」と「D」を確立したとの位置付けです。

証明の生成には、GPT-6 Astraを大幅に上回る性能を持つと同社が説明する内部モデルを用いたといいます。9月1日、未解決のミレニアム懸賞問題などを対象に、モデルを基盤とする複数のエージェント群で検証を開始しました。ナビエ・ストークス問題の解決に至ったグループには、およそ1万のエージェントが同時に参加し、最初のエージェント起動から約88時間後の9月5日に結論へ到達したとしています。Leanでの形式化と検証には、GPT-6 Astraを使ってさらに17時間を要しました。

全問題への取り組みでは、エージェントが送信したメッセージは490万件、出力トークンは約3000億トークンでした。このうちナビエ・ストークス問題には270万件のメッセージと約1300億出力トークンを使ったといいます。OpenAIのノアム・ブラウン氏はXへの投稿で、この結果に数百万ドルのコストがかかったと述べました。同社は、この成果についてミレニアム懸賞の100万ドルの賞金を請求する意図はないとしています。

一方、NYUのトリスタン・バックマスター氏とAnthropic所属のレベント・アルポーゲ氏は、関連するオイラー方程式の成果を公表し、OpenAIの取り組みの経緯に疑義を示しました。

Today, Levent Alp¨oge and I have made public three results: finite-time
blowup with smooth forcing for incompressible porous media, for Boussinesq,
and for 3d incompressible Euler.
We believe we also have blowup for hypo-dissipative Navier-Stokes. We are
not releasing that paper today: unlike the above, the Lean verification has not
yet finished. We do not yet have anything resembling a presentable writeup. I
mention it because it is suggestive of a path to unforced Euler.

出典:statement.pdf

OpenAIは、両氏の研究を公開前に研究者やエージェントが見たことはなく、特定のユーザーデータにもアクセスしていないと表明しています。ただし、製品利用に由来する非識別化データがモデル改善に寄与した可能性は排除できないとしました。

OpenAIで数学研究を率いるセバスチャン・ブベック氏も、流布している主張には事実に反する内容があるとして反論しています。


出典:https://openai.com/index/navier-stokes-solution/

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