ChatGPTのGPT-5.2とは?性能と使い方!プロンプトガイドも紹介【OpenAI公式】

GPT-5.2とは、新たに公開された最新のAPIモデルであり、さまざまなベンチマークにおいてGPT-5.1を上回る性能を発揮しました。

GPT-5.1と同様にInstant・Thinking・Proの3モデルがあり、すでにChatGPTやAPIを通して利用可能です。

この記事では、GPT-5.2の使い方や公式のプロンプトガイドの内容について解説します。

目次

GPT-5.2とは?概要とGPT‑5.1からの進化点

GPT-5.2は、2025年12月にOpenAIが公開した最新のフラッグシップモデルであり、OpenAIの社内向けに出されたコードレッドからわずか1か月足らずで投入されました。

まずはGPT-5.2の概要とGPT-5.1から進化した点について解説します。

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GPT-5.2の概要

GPT-5.2は、専門的な知識労働や長時間動くエージェント的な作業を強く意識して設計された、最新世代のモデルシリーズです。

ChatGPTではGPT-5.2 Instant/Thinking/Proの3系統として提供され、質問内容に応じて最適なモデルを選ぶルーティングも組み込まれています。

また、スプレッドシート作成や資料作成、コード、画像理解、長文理解、ツール利用、複雑な多段プロジェクトなど、実務で価値が出やすい領域が強化点として明示されています。

ChatGPT向けは有料プランから順次展開されており、APIではすでに利用可能です。

ChatGPT では、GPT‑5.2 Instant、Thinking、Pro が本日より有料プランから順次提供開始されます。API では、すべての開発者が本日から利用できます。

出典:GPT-5.2 が登場

Instant/Thinking/Proの違いと選び方

GPT-5.2では、ユーザーの用途に合わせてInstant、Thinking、Proの3つのモードが明確に定義されています。

Instantは軽量モデルであり、日常的なメール作成や翻訳、単純な検索タスクにおいて、圧倒的な応答速度と低コストを実現しています。

Thinkingは、コーディング、長文要約、アップロードファイルに関する質疑、数理・論理を段階的に詰める作業、計画や意思決定支援など、より深い作業向けに設計されています。

そしてProは、難問で待ち時間を許容してでも高品質・高信頼の回答が欲しい場面に向く最上位モデルとして提供されています。

使用するモデルに迷ったら、モデルピッカーのAutoでInstantとThinkingを自動切替に任せ、必要に応じてThinkingやProへ切り替える運用がおすすめです。

GPT-5.2で増えた「できること」

GPT-5.2では、表計算の作成やプレゼン資料の作成能力が大幅に向上しました。

さらに、コード生成、画像の理解、長いコンテキストの把握、ツール利用、複雑で多段のプロジェクト処理まで含めて、多くの実務タスクをより安定して実行できるようになっています。

特にツール利用については、長いマルチターンのタスクで信頼性高くツールを使えることが強調されています。

GPT‑5.2 が最先端の長期的推論能力とツール呼び出し性能を示したという声が寄せられています。

出典:GPT-5.2 が登場

GPT-5.2の性能|ベンチマークと改善点

続いて、GPT-5.2の性能についてご紹介します。

実務目線での改善点

GPT-5.2は、複数手順をまたぐ推論が強くなり、計算や数値の扱いを含む定量精度が上がりました。そのため、実務面では要件→設計→実装→検証のようなマルチステップ作業で、途中の前提が崩れにくく、結論までの一貫性が出やすくなっています。

実務面では、GPT‑5.2 を使ってレポートや契約書、研究論文、書き起こし、多ファイルのプロジェクトなどの長文ドキュメントを扱い、数十万トークン規模でも一貫性と精度を保ちながら作業できます。

出典:GPT-5.2 が登場

また、ハルシネーションがGPT-5.1と比べて起こりにくくなっており、日常的な知識業務においてより信頼して使用できるようになりました。

GPT‑5.2 Thinking は、GPT‑5.1 Thinking と比べてハルシネーションの発生が少なくなっています。匿名化した ChatGPT のクエリセットにおいて、誤りを含む回答は相対的に38%少なくなりました。これは、調査や文書作成、分析、意思決定支援といった作業でのミスが減り、日常的な知識業務でより信頼してモデルを使えるようになることを意味します。

出典:GPT-5.2 が登場
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ただし、GPT-5.2も完璧ではないため、重要な業務においては必ず人間が回答を確認するようにしましょう。

ベンチマークの読み方

GPT-5.2は、多くのベンチマークでGPT-5.1を上回る結果を示しています。

出典:GPT-5.2 が登場

44の職種にわたる明確に定義された知識業務タスクを評価するベンチマークのGDPval⁠では、GPT-5.2 Thinkingは専門家レベルを上回る70.9%という性能に達しました。

出典:GPT-5.2 が登場

また、コーディングにおいては実世界のソフトウェアエンジニアリングを厳密に評価するベンチマークのSWE-Bench Proで55.6%、SWE-bench Verifiedでは80%を達成しています。

出典:GPT-5.2 が登場

ただし、これらのベンチマークは特定の条件下での最高性能を示したものであり、実際の業務フローや独自の社内データと組み合わせた際の挙動を完全に保証するものではありません。

数値が高いからといってあらゆるタスクで人間を凌駕するわけではないため、導入時は公開スコアを過信せず、自社のユースケースで実際に実証を行い、応答のクオリティや費用対効果を見極めることが重要です。

安全性評価

GPT-5.2は、GPT-5で導入した安全な回答生成を土台にしつつ、センシティブな会話、とくに自傷や自殺の兆候、メンタルヘルスの不調、感情的依存に関する応答が改善されたと説明されています。

今回のリリースでは、センシティブな会話におけるモデルの応答を強化する⁠取り組みを継続し、自殺や自傷の兆候、メンタルヘルスの困難、モデルへの感情的な依存を示すプロンプトへの応答において大きな改善が見られました。

出典:GPT-5.2 が登場

また、ユーザーは利用規約・ポリシーに従うことが明記されており、ルールや保護策の回避はアクセス制限などの対象になり得ます。

実務では、高リスク領域は出力を最終判断に直結させず、人間の確認と一次情報への当たり直しを手順に組み込むようにしましょう。

ツールやブラウジングを使う場合も、参照先の確認、引用の検証、権限やデータ取り扱いの管理を前提にすると、ガードレールと実務品質の両方を満たしやすいです。

GPT-5.2の使い方【ChatGPT】

ここでは、ChatGPTからGPT-5.2を使用する方法を解説します。

ChatGPTでGPT-5.2を使う手順

ChatGPTでGPT-5.2を使う手順は以下の通りです。

STEP
ChatGPTにログイン

まずはChatGPTにアクセスし、OpenAIのアカウントでログインしましょう。

アカウントを持っていない方は、サインアップしてください。

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STEP
モデルを選択

画面左上のモデル名をクリックし、使用したいモデルを選択しましょう。

Instantは即答向け、Thinkingは深い推論向け、Proは研究グレードの品質向けのモデルとなっています。また、思考時間を自動で調整するAutoモデルもあります。

迷ったらAutoで開始し、要約や調べ物はInstant、設計・検証・比較のようなマルチステップはThinkingを選択するのがおすすめです。

なお、ProモデルはChatGPTのProプラン契約者とBusiness/Enterprise/Eduで提供されています。

STEP
思考時間を選択(Thinking)

Thinkingモデルを選んだ場合、思考時間をStandardとExtendedから選択できます。

思考時間を切り替えるには、メッセージウィンドウの「思考中」をクリックします。

Standardを選ぶと思考の深さと回答速度のバランスを取り、Extendedを選ぶと複雑なタスクのためにより長く思考するようになります。

STEP
プロンプトを入力して送信

モデルを選択できたら、メッセージウィンドウにプロンプトを入力して送信しましょう。

「+」をクリックするか、ドラッグアンドドロップすることで、ファイルをアップロードすることもできます。

スプレッドシート作成・プレゼン作成での活用例

GPT-5.2ではスプレッドシート整形や財務モデリング、スライド作成の改善が明記されており、実務の体裁づくりに効きます。

Instantモデルでも作成できますが、ThinkingやProの方がより複雑な資料作成が可能です。

今回は以下のプロンプトでスプレッドシートを作成してみました。

目的は月次売上の可視化です。新しいスプレッドシートを作成してください。 
シート構成は「Raw」「KPI」「Dashboard」の3つにしてください。 
「Raw」には列を「日付, 商品カテゴリ, チャネル, 売上, 原価, 返品, 広告費」にし、ダミーデータを50行入れてください。 「KPI」で、売上, 粗利, 粗利率, ROAS, 返品率を計算する式を入れてください。 
「Dashboard」には月次推移グラフとカテゴリ別構成比を作り、見やすいレイアウトに整えてください。 
仕上げとして、入力ルールと更新手順をメモとして最上部に書いてください。

InstantとThinkingに入力した際の結果がこちらです。Thinkingの方が見やすく、実務でもそのまま利用できそうなレイアウトで作成されています。なお、思考時間はExtendedを選択しました。

Instant
Thinking

また、プレゼン資料もこのように作成可能です。

対象は経営層向けです。新しいプレゼン資料をPowerPointで作成してください。
テーマは「大学向けAIライティング支援の導入提案」です。 
10枚構成で、各スライドにタイトルと要点3つ、図にするなら何を描くかの指示も入れてください。 
必ず「現状課題」「解決策」「費用対効果」「導入計画」「リスクと対策」「意思決定事項」を含めてください。 
最後に、話す順番の台本をスライドごとに1〜2文で付けてください。

一貫性のあるスライドが作成されており、スピーカーノートに台本も入っていることが分かります。

なお、複雑な資料を作成する場合は生成に時間がかかる可能性があるため、最初は小さめのサンプルで構成を固めてから本番データに差し替えると手戻りが減ります。

ファイルアップロードでの要約・抽出・比較表作成

ファイルをアップロードすることで、その内容を要約したり、比較や引用抽出のような作業も可能です。

対応形式は一般的な文書・表計算・プレゼンの拡張子が対象で、gdocは未対応なのでPDFやdocxに書き出してから上げるのが推奨されています。

we do not currently support ‘.gdoc’! Our recommendation instead would be to export these files as a ‘.pdf’, ‘.docx’, etc.

出典:OpenAI Help Center

例えば、Transformerの論文をアップロードして要約を依頼すると以下のようになりました。

なお、大きすぎる文書の要約や複数巨大ファイルの比較は難しくなることがあるため、章ごとに分ける、まず抽出してから比較表に落とす、という順にすると精度が上がります。

Web検索の使用場面

ChatGPTではWeb検索機能が搭載されており、使用することでWeb上から最新の情報を参照して回答を生成できるようになります。なお、検索が必要だと判断した場合は自動でWeb検索される場合もあります。

ChatGPT will automatically search the web if your question might benefit from information on the web.

出典:OpenAI Help Center

明示的にWeb検索を使用するには、「+」をクリックして「さらに表示」を選択し、「ウェブ検索」を指定します。

最新情報やニッチ情報、出典つきで確認したい内容は検索が向いており、回答には引用が付き、Sourcesから参照先を追えます。

一方で、検索時にはクエリが検索向けに書き換えられて外部の検索プロバイダに送られる場合があり、一般的な位置情報が共有されることもあるため、機密性が高い内容や伏せたい前提がある場合は使わない方が安全です。

To provide relevant responses to your questions, ChatGPT search sometimes partners with other search providers. When it does, ChatGPT search typically rewrites your query into one or more targeted queries that it sends those providers.

ChatGPT also collects general location information based on your IP address and may share that general location with third-party search providers to improve the accuracy of your results. 

出典:OpenAI Help Center

また、ChatGPTはもっともらしく間違った情報を回答することがあるため、重要な意思決定に使う場合は入念にファクトチェックを行い、出典を確認する運用が推奨されます。

GPT-5.2の使い方【API】

GPT-5.2はAPIでも提供されています。

ここでは、APIを使ったGPT-5.2の使用方法を解説します。

基本の呼び出し方

APIキーを使ってモデルを呼び出す方法は以下の通りです。なお、この記事ではPythonでの使用方法をご紹介します。

STEP
APIキーを作成

OpenAI Platformにアクセスし、「API keys」タブに移動して「Create new secret key」をクリックします。

各項目を入力して「Creat secret key」をクリックすることで、APIキーが発行されます。

作成したAPIキーはコピーし、安全な場所に保管しておきましょう。表示されたキーを閉じると二度と見ることができないため気を付けてください。

STEP
APIキーを環境変数に設定

APIキーを作成したら、使用するプロジェクトの環境変数に設定しましょう。コードに直接キーを記述しても使用できますが、セキュリティの観点から環境変数に設定することをおすすめします。

ターミナルを開いて以下のOS別のコマンドを実行しましょう。

export OPENAI_API_KEY="your_api_key_here"  # macOS/Linux
setx OPENAI_API_KEY "your_api_key_here"    # Windows
STEP
OpenAI SDKのインストール

OpenAIのAPIを使用する際は、公式のSDKを使用しましょう。以下のコマンドを実行することでインストールできます。

pip install openai
STEP
コードを実行

OpenAI SDKがインストールできたら、Pythonファイルを作成してコードを実行しましょう。今回は以下のコードを実行しました。

from openai import OpenAI
client = OpenAI()

response = client.responses.create(
    model="gpt-5.2",
    input="ペガサスが出てくる物語の冒頭一文を作成してください。"
)

print(response.output_text)

実行結果がこちらです。

なお、modelの変数を変えることでモデルを選択できます。ChatGPTで使用できるGPT-5.2のモデルとの対応は以下の通りです。

ChatGPTでのモデル名APIでのモデル名
GPT‑5.2 InstantGPT‑5.2-chat-latest
GPT‑5.2 ThinkingGPT‑5.2
GPT‑5.2 ProGPT‑5.2 Pro

reasoning_effortの考え方

GPT-5.2をAPIで使用する際、reasoning.effortというパラメーターを設定可能です。このパラメーターは、モデルが応答を生成する前に生成する推論トークンの数を制御します。

from openai import OpenAI
client = OpenAI()

response = client.responses.create(
    model="gpt-5.2",
    input="ペガサスが出てくる物語の冒頭一文を作成してください。",
    reasoning={
        "effort": "none"
    }
)

print(response)

値にはnonelowmediumhighxhighが選択できます。低遅延のためのnoneが最小設定として用意されており、これがデフォルトとなっています。

より深い推論が必要な場合は、徐々に推論レベルを上げていき、難問や多段タスクで精度を取りにいくときにはxhighの使用も検討しましょう。

なお、推論トークンも出力トークンとして課金対象であり、かつmax_output_tokensは可視の出力だけでなく推論トークンも含めた上限になるため、推論レベルを上げるときには注意が必要です。

実務では、まずnoneで素早く構造を作り、破綻や取りこぼしが出るところだけmedium以上に上げて再生成すると失敗しにくいです。

会話状態の管理とCompactionの実務設計

APIで使用する場合は、previous_response_idで前の応答IDを渡すことで、会話を引き継ぐことができます

これにより、長文のコンテキストを毎回アップロードする必要がなくなり、レイテンシと入力トークンコストを劇的に削減できます。

また、会話が長引いた場合はCompactionを使用し、古いやり取りを要約して保持させる設計が重要です。

実務では、一定ターン数やトークン量を閾値にしてCompactionを挟み、同じinstructionsをCompactionと通常応答の両方に渡す、というルールを決めておくと運用が安定します。

ツール呼び出しと並列化の考え方

ツール連携は、リクエストにtoolsを渡し、モデルがツール呼び出しを返したらアプリ側で実行し、その結果を再度モデルへ渡して最終回答を得る、という多段フローが基本です。

ツールにはJSONスキーマで定義するfunctionと、自由形式入出力のcustom tools、さらにWeb検索などのbuilt-in toolsがあり、用途で使い分けます。

また、並列化はparallel_tool_callsで制御でき、デフォルトはtrueで、独立な問い合わせを同一ターンで複数投げたいときに有効です。

一方で、built-in toolsを使う場合は並列でのfunction呼び出しができないため、並列化したい処理は自前のfunctionに寄せる設計が分かりやすいです。

Parallel function calling is not possible when using built-in tools.

出典:Function calling

GPT-5.2のプロンプトガイド要点

GPT-5.2は公式のプロンプトガイドが公開されています。

ここでは、その内容についてご紹介します。

GPT-5.2の“癖”

GPT-5.2は、回答前に計画や中間構造を作る傾向が強く、スコープと分量を明示すると性能が出やすいです。

また、全体として冗長性が減り、簡潔な出力を好むようになりましたが、好みはプロンプトで制御可能なので、短くしたい・詳しくしたいは明確に指定した方が安定します。

さらに、指示追従性が強く、ユーザー意図からの逸脱が減る一方、ツール利用は5.1より追加アクションが増えやすいため、必要なツールと手順を絞る書き方が有効です。

正確性と明示的推論を優先する傾向があるため、曖昧性の処理は確認質問か、解釈候補と前提の提示を促すとハルシネーションのリスクを抑えられます。

プロンプトの基本パターン

プロンプトを作成する際は、まず出力の形を固定します。一般的には3〜6文か5点以内の箇条書き、複雑タスクは短い概観1段落+タグ付き箇条書き、のように分量クランプを入れると安定しやすいです。

文章で書くよりも、短い段落と箇条書き、必要なら表、という形に寄せるのが推奨されています。

また、フロントエンド開発などで勝手に機能や装飾が増えるのを防ぐため、追加機能禁止、要求されたものだけ実装、色や影やUI要素を勝手に作らない、のような制約を明文化しましょう。

「曖昧な指示は最小限の妥当解釈を選ぶ」という旨を書いておくと余計な拡張が減ります。

曖昧性の扱いと誤りを減らす進め方

複雑なタスクにおいて誤りを防ぐ最も効果的な手法として、質問が曖昧または前提が不足しているときには、それを明示して確認質問をするか、解釈候補を前提つきで提示するようにプロンプトを作成しましょう。

また、前提条件として「やってはいけないこと」をリストアップすることも有効です。

出力の際には、「思考プロセスを表示してから最終回答を出す」ように指示することで、論理の飛躍がないかをユーザー自身が検証しやすくなります。

Compactionをいつ使うか

標準コンテキストウィンドウを超える長期間でツールを多用するワークフローでは、Compactionを使用することで、タスク関連情報を保持しつつトークンを大幅に削減できます。

Compactionは特に、多くのツールコールを含むマルチステップエージェントフローや、長い会話で前のターンを保持しなければならないとき、最大コンテキストウィンドウを超えた反復的推論を行うときなどに有効です。

長時間のセッションで繰り返し実行しても安全であるため、このような場合には積極的に活用していきましょう。

構造化抽出・PDF・Officeワークフロー

GPT-5.2は構造化抽出・PDF・Officeワークフローにおいて大幅な改善を示しています。

この能力を最大限に活用するためには、出力には常にスキーマまたはJSON形状を指定することや、必須フィールドとオプションフィールドを区別すること、「抽出の完全性」を要求し、欠落フィールドを明示的に処理することが重要です。

以下のプロンプト例のようにスキーマを明示し、構造化出力を使用することで、厳密なスキーマ遵守ができます。

テーブル/PDF/メールから構造化データをJSON形式で抽出します。
- 常に以下のスキーマを厳密に遵守してください(余分なフィールドは追加不可):
 {
    "party_name": string,
    "jurisdiction": string | null,
    "effective_date": string | null,
    "termination_clause_summary": string | null
  }
- ソースにフィールドが存在しない場合、推測せずにnullを設定してください。
- 返却前に、ソースを再スキャンして見落としたフィールドがないか確認し、欠落を修正してください。

プロンプト移行ガイド

従来のGPTモデルからGPT-5.2に移行する際に、動作を安定させ、コストや遅延を予測可能に保つには、reasoning_effortの設定に注意しましょう。

移行で最も崩れやすい原因は、reasoning_effortのデフォルト値であり、GPT-5はmediumが既定、GPT-5.1とGPT-5.2はnoneが既定となっています。

4oや4.1からの移行はまずGPT-5.2でnoneに合わせ、挙動を速く保ったまま評価で必要なときだけ上げる、という手順がおすすめです。

GPT-5やGPT-5.1からは基本的に同じeffortを維持しつつ、minimalだけnoneに寄せる、という方針が提示されています。

また、プロンプトについてはPlaygroundのPrompt Optimizerを使用するのがいいでしょう。

手順としてはモデルだけ切り替えてプロンプトは同一に保ち、effortを明示的に固定し、Evalsでベースラインを取り、回帰が出たら分量・形式・スコープ・スキーマ制約を足して小さく直しながら都度Evalsを回す流れです。

用途別テンプレート集

ここでは、公式のプロンプトガイドに則った用途別のテンプレートをいくつかご紹介します。

会議メモ→要約→ToDo→進捗管理

以下はガイドの推奨である出力形状の固定、冗長さクランプ、曖昧さの前提明示を踏まえたテンプレートです。

あなたは会議メモを実務成果物に変換するアシスタントです。出力は冗長にしないでください。

出力条件(厳守):
- まず要約を3〜6文
- 次にToDo表(最大10行)
- 最後にリスク/未確定事項を最大5点

曖昧性:
- メモに情報が足りない場合、確認質問は最大3つまで。質問しない場合は「前提」を2〜3個に分けて明示してください。
- 根拠がない断定や数値の捏造はしないでください。

入力:
以下が会議メモです。
---
{meeting_notes}
---

ToDo表の列:
- 担当
- タスク
- 期限
- 依存関係
- 完了条件
- 優先度(High/Med/Low)

進捗管理の提案:
- 1週間のチェックポイントと、次回会議までの到達目標を1段落で書いてください。

{meeting_notes}には実際の会議メモを貼り付けるか、APIで使用している場合はmeeting_notesにメモを代入してください

PDF→情報抽出→比較表→意思決定メモ

以下はスキーマ固定、欠損はnull、文書ごとの安定ID、再スキャンを入れるテンプレートです。

あなたはPDFから構造化抽出を行い、比較表と意思決定メモを作ります。

抽出スキーマ(追加フィールド禁止):
[
  {
    "doc_id": "string(ファイル名)",
    "page_range": "string|null",
    "purpose": "string|null",
    "target_users": "string|null",
    "key_features": ["string"],
    "pricing": "string|null",
    "security": "string|null",
    "constraints": "string|null",
    "citations": ["string(例: p.3 セクション名)"]
  }
]

ルール:
- 情報が無い場合は推測せずnullにしてください。
- 返す前に見落としがないかPDFを再確認し、抜けがあれば補完してください。

出力:
1) 各PDFの抽出JSON
2) 比較表(行=比較軸、列=doc_id、セルには要点+根拠ページ)
3) 意思決定メモ(推奨案、理由3点、懸念点、追加で確認すべき事項)

スプレッドシート生成→検算→改善提案

以下は段階分割と自己点検で手戻りを減らすテンプレートです。

目的: {goal}

あなたはスプレッドシートを設計し、式の検算と改善提案まで行います。余計なシートや機能は追加しないでください。

ステップ1 設計:
- シート名と役割を最大3枚まで提案し、列定義を確定してください(ここではまだ生成しない)。
- 出力は5点以内の箇条書き。

ステップ2 生成:
- 上の設計に従ってスプレッドシートを生成してください。
- KPI式にはコメントで「何を計算しているか」を1行付けてください。

ステップ3 検算:
- 代表ケース3つを作り、手計算の期待値と一致するかを確認してください。
- 不一致があれば原因と修正案を示してください。

ステップ4 改善提案:
- 入力ミス防止(入力規則、データ検証)
- 集計の頑健性(欠損/0割)
- 更新手順(誰が何を更新するか)
をそれぞれ最大3点で提案してください。

コード生成→レビュー→テスト→修正提案

以下はスコープ逸脱防止、検証ステップ、整形の固定を強めたテンプレートです。

あなたは実装者です。要求された範囲だけを実装してください。余計な機能、余計なUI、勝手なスタイル追加はしないでください。

入力:
- 仕様: {spec}
- 既存コード: {code_or_repo_snippet}
- 制約: {constraints}

出力条件:
- まず変更点の概要を1段落
- 次にパッチ(必要ファイルのみ)
- 次にテスト計画(最小で良い)
- 最後にリスクとフォローアップ

品質ルール:
- 依存関係の増加は最小限。追加が必要なら理由を1文で。
- 重要なロジックは境界条件を含むテストケースを最低3つ書く。
- 不確かな点は仮定として明示し、断定しない。

プレゼン構成→スライド案→一貫性チェック

以下は出力形状の固定と、途中での逸脱検知を前提にしたテンプレートです。

目的: {purpose}
対象: {audience}
制約: {constraints}

ステップ1 構成:
- 10枚以内のアウトラインを作ってください(各スライドはタイトル+要点3つ)。
- 出力はMarkdownで、余計な前置きは不要です。

ステップ2 スライド案:
- 各スライドに「話す順の台本1〜2文」と「図にするなら何を描くか」を追加してください。
- 専門用語は初出で短く定義してください。

ステップ3 一貫性チェック:
- 主張の一貫性、前提の矛盾、重複、欠落を点検し、修正提案を最大5点で出してください。
- 曖昧な箇所があれば確認質問は最大3つまで。それ以外は前提を明示して進めてください。

GPT-5.2の使用にかかる料金

最後に、GPT-5.2を使用する際にかかる料金について解説します。

ChatGPTでの提供状況

GPT-5.2は、現在ChatGPTのすべてのプランで利用できます。ただし、段階的に利用可能となるため、まだアカウントに表示されない可能性もあります。

それぞれのプランの料金とGPT-5.2の使用制限がこちらです。

スクロールできます
プラン料金GPT-5.2 InstantGPT-5.2 ThinkingGPT-5.2 pro
無料版$0/月最大10件/5時間最大10件/5時間
(自動選択)
利用不可
Plus$20/月最大160件/3時間最大3,000 件/1週間利用不可
Pro$200/月無制限無制限利用可能
Business
(無料版)
$0/月無制限カスタム設定カスタム設定
Business$30/ユーザー/月
$25/ユーザー/月(年次請求)
無制限カスタム設定カスタム設定
Enterprise要問い合わせ無制限カスタム設定カスタム設定

無料版でもGPT-5.2は利用可能ですが、5時間あたり最大10件までの厳しい制限があるほか、InstantとThinkingは自動で切り替り、自分で選択することはできません。

Plusプランでは制限が一気に緩和され、Instantは3時間あたり最大160件、Thinkingは1週間あたり最大3,000件のメッセージが送信可能です。ただし、Instantの制限については、一時的な増加であるとされています。

Plus ​ChatGPT Plusユーザーは、GPT-5.2を使用して3時間ごとに最大160件のメッセージを送信できます。この制限に達すると、制限がリセットされるまで、チャットはモデルのミニバージョンに切り替わります。これは一時的な増加であり、近い将来、以前の制限に戻ります。

出典:ChatGPTのGPT-5.2
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ProプランではGPT-5.2 Proモデルが使用可能になるほか、InstantやThinkingは基本的に無制限に使えます。

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また、組織向けプランであるBusinessとEnterpriseでは、カスタム設定で使用制限を自由に設定可能です。

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API料金とコスト最適化の考え方

GPT-5.2をAPIで使用する際の100万トークンあたりの料金は以下の通りです。

モデル入力キャッシュされた入力出力
gpt-5.2$1.75$0.175$14.00
gpt-5.2-chat-latest$1.75$0.175$14.00
gpt-5.2-pro$21.00$168.00
gpt-5.1$1.25$0.125$10.00
gpt-5.1-chat-latest$1.25$0.125$10.00
gpt-5-pro$15.00$120.00

表では比較としてGPT-5.2以前の最新モデルの料金も示しています。

表を見ると、GPT-5.2の各モデルは以前のモデルと比べて価格が上がっていることが分かります。

特に注意が必要なのはThinkingモード(gpt-5.2)であり、回答に至るまでの推論トークンも課金対象となるため、難易度の高いタスクでは想定よりもコストが膨らむ可能性があります。

複雑なタスクにおいては、同じ文脈や同じ前提を繰り返し送る場面でシステムプロンプトや長大な参照資料をキャッシュさせることにより、入力コストを10分の1にすることが可能です。

また、リアルタイム性が不要なバッチ処理にはBatch APIを使用することでさらにコストを節約できます。

Large numbers of API requests which are not time-sensitive can use the Batch API for additional savings as well.

出典:Pricing

場合によっては以前のモデルを使用することでコストを抑えることも検討しましょう。

業務での注意点

GPT-5.2はエージェントとしての自律性が高く、人間のような判断を下す場面が増えましたが、法的責任や最終的な意思決定をAIに委ねることは依然としてリスクを伴います。

特に契約書の承認、医療的な助言、金融取引の実行といったクリティカルな領域では、AIが出力した根拠や数値を人間が必ず原本と照合するフローを維持する必要があります。

また、組織向けプランでは入力データが学習に使われないことが保証されていますが、API設定ミスや個人のPlusアカウントの利用により、機密情報が意図せず学習データに含まれる可能性があります。

社内規定で「個人情報や未公開の財務データは、たとえEnterprise環境であってもマスキング処理を行ってから入力する」といった運用ルールを徹底し、技術的なガードレールだけでなく組織的なリテラシーで安全性を担保することが重要です。

まとめ

GPT-5.2は、GPT-5.1の発表からわずか1か月で公開された最新のAIモデルであり、多くのベンチマークで性能が向上しました。

Instant・Thinking・Proの3モデルが提供されており、タスクによって使い分けることが重要です。

すでにChatGPTやAPIで利用可能であるため、気になる方はぜひGPT-5.2の性能を体験してみてください。

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