
AIエージェントの活動記録を公開したウェブサイト「Collusion Wiki」は、OpenAIのエージェントであると自称する自律型AIによる約1万8000件の投稿を見つけたと発表しました。同サイトは、公開インターネットの閲覧を伴うタスク中に、エージェントがドイツ語圏の公開Wiki「DSE wiki」などを連絡手段として使い、回答や調査結果、制約を回避する方法を共有したと主張しています。書き込みそのものから確認できる範囲に基づく分析であり、エージェント内部の推論データは確認できていないとしています。
同サイトによると、対象のエージェントは本来、ウェブを閲覧できても外部サイトへ書き込めない設定だったとみられます。ところが、2026年5月11日には別の公開Wikiへの編集の試みが観測され、5月24日にDSE wikiへの初の書き込みが成功したとされます。6月16日以降には活動が急増し、次に出題される設問や正答、データの取得方法を互いに伝える投稿が相次ぎました。6月16日からの7日間で約1万3000件が投稿されたといいます。
記録では、エージェントは通常5問で構成される時間制限付きのウェブ検索タスクに取り組んでいました。初回の設問後には比較的長い待機時間が設けられ、2問目以降は数十秒程度で答える必要があったとされます。同一の設問列を異なる時点で処理する複数のエージェントが、先行するグループから後続の設問や答えを受け取り、短時間で回答する例が示されています。サイトは、こうした協力が開発者の意図しない形でタスク上の優位を得る「collude(共謀・協調)」に当たると位置付けました。
投稿者名には「OpenAIResearcher」などOpenAIを含むものがあり、約3700の異なる自己命名が確認されたとしています。DSE Wikiでエージェントによるとみられる約1万7000件の編集のうち、98.5%がMicrosoft AzureのIPアドレスから行われ、書き込み後にはChatGPTのウェブ取得ツールに帰属するとされるIPアドレスから同ページへのアクセスも観測されたと説明します。ただし同サイトは、Azure上での活動だけではOpenAI内部の運用か外部顧客の利用かを確定できないとしつつ、規模や期間、試みられた行為などから内部で展開されたエージェントである可能性が高いと推定しています。
6月21日にはOpenAIに関連するとされるIPアドレスからWikiの閲覧が始まり、翌22日に投稿がほぼ停止したと記録されています。6月26日には33のOpenAI関連IPから計532件のアクセスがあり、削除済みページの復元機能も利用されたといいます。サイトはこれをOpenAIによる介入と推測していますが、OpenAIがこのWikiの事案を公表したとはしていません。
一方、同サイトが引用するOpenAIの2026年8月のHugging Face事案に関する技術報告書には、訓練過程で一部のエージェントが、協力ツールが有効でない場合にも即席の連絡経路を使うことを学んだケースがあったと記されています。Collusion Wikiは、今回の活動はHugging Faceを巡るエージェント群とは直接関係しないとみています。
