
歩行を助けるロボットと聞くと、医療施設で使う大型の装置を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
WIM Sは、腰と膝の上に装着して日常の歩行を補助する、重さ約1.6kgのウェアラブルロボットです。AIが装着者の歩くペースや脚の動きを読み取り、両脚を動かすタイミングに合わせてモーターが力を加えます。
今回はWIM Sを実際に装着し、歩行を軽くするエアモードや脚に負荷を加えるアクアモードなどを試しました。装着方法や歩行中の感覚、動きへの追従性、アプリに表示された歩行分析の結果まで詳しくレビューします。
WIM Sとは

WIM Sは、韓国のロボット企業WIRoboticsが開発した歩行支援用のウェアラブルロボットです。装着者の歩行リズムを読み取り、脚を動かす力をモーターで補ってくれます。
韓国ではリハビリ領域だけでなく登山や作業現場などでも活用が進みつつあり、2026年から日本国内でも提供が開始されました。
AIと単一モーターで歩行に合わせて両脚をアシスト
WIM Sは腰の全面に本体を装着し、本体から伸びた左右のベルトを膝の上に巻いて使用します。歩行中は内蔵センサーが脚の動きや歩くタイミングを検知し、AIが装着者の歩行パターンを分析。次に脚を動かすタイミングを予測しながら、腰部のモーターが太ももの動きを補助します。


左右に別々のモーターを置くのではなく、1基のモーターで両脚を動かす単一モーター構造を採用している点もWIM Sの設計上のポイントです。本体部分は約1.1kg、腰ベルトや膝の上の装着部を含めても約1.6kgと歩行支援ロボットとしては軽量に抑えられています。

硬いフレームで脚を固定する構造ではなく、腰と太ももを布製のベルトでつなぐため、膝や足首の可動域は制限されないように設計されています。歩行器のように体重を預ける機器ではなく、自分の脚で歩く動作へ必要な力を加える仕組みです。
なお、WIM Sは医療機器ではないため、自立歩行が可能な人が対象です。治療やリハビリ目的で使用する場合は、医師や理学療法士などの専門家に相談してから使用するようにしましょう。
4つの歩行モード
WIM Sには、歩行を補助するエア・ケア・ハイキングの3モードと、脚に抵抗を加えるアクアモードが搭載されています。歩く負担を軽くするだけでなく、歩行速度や利用場面に応じて補助方法を切り替えられます。
| モード | 主な用途 | 動作内容 |
|---|---|---|
| エアモード | 普段の歩行・散歩 | 脚の上げ下げを補助し、軽い力で歩けるようにサポート |
| ケアモード | ゆっくりした歩行 | 歩行速度2.5km/h以下、または歩幅38cm以下の歩行を想定して足運びを補助 |
| ハイキングモード | 坂道・ハイキング | 上り坂や下り坂など、傾斜のある場所に合わせて歩行を補助 |
| アクアモード | 下肢筋力の強化 | 脚の動きと反対方向に抵抗を加え、平地での運動負荷を高める |
基本となるエアモードは普段の歩行や散歩、ケアモードは歩幅が狭くゆっくり歩く人を想定したモードです。

ハイキングモードは坂道の上り下りに合わせて動作し、アクアモードは水中を歩くような抵抗を加えて脚の運動に使います。
WIM Sの基本仕様
本体は収納時で横23.3cm、縦9.75cm、高さ6.7cmです。
充電には約2時間かかり、エア・ケア・ハイキングモードは約2時間連続で使用できます。アクアモードの連続使用時間は無制限です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 製品名 | WIM S |
| 型番 | WIMS1-CDG |
| 重量 | 本体約1.1kg/装着部を含めて約1.6kg |
| 収納時のサイズ | 横23.3cm×縦9.75cm×高さ6.7cm |
| バッテリー | リチウムイオンバッテリー(14.4V DC/3.35Ah) |
| 充電時間 | 約2時間 |
| 連続使用時間 | エア・ケア・ハイキング:約2時間/アクア:無制限 |
| 最大トルク | 6Nm |
| 搭載モード | エア・ケア・ハイキング・アクア |
| 防水・防塵 | 国際規格IP65認証を取得 |
| 医療機器区分 | 医療機器ではない |
AI歩行支援ロボット「WIM S」を実際に使ってみた

今回は、健康な成人男性が自宅のフローリング上でWIM Sを使用しました。装着や初期設定から、エア・ケア・アクアの各モード、専用アプリによる歩行分析まで、実際に使ってみて分かった使用感を紹介します。
外観と同梱物をチェックしてWIM Sを装着
WIM Sは、腰に巻くベルトと太もも用の左右のバンド、本体から脚へ伸びる接続部分で構成されています。また、専用のType-C充電ケーブルが付属しています。

なお、構成部品をコンパクトに収納する専用のバッグがあり、持ち運びにも便利です。



本体は手に持つとそれなりの重さを感じますが、腰へ装着すると重量が分散され、立っている間は大きな負担を感じません。
初回の装着には5分もかかりませんでした。腰ベルトを巻き、本体を腰へ取り付け、左右の膝の上にバンドを巻く流れです。初見では部品の接続位置に少し迷うかもしれませんが、クイックガイドを読めば問題なく装着できます。一度構造を理解すれば1分もかからず装着できそうです。
以下、簡単に装着ステップを解説します。
専用の充電ケーブルを接続して充電しておきます。充電中はステータスライトが白く点滅し、充電が完了すると点灯します。また、充電ケーブルを挿すと充電開始を知らせる英語の音声が鳴ります。

腰ベルトを装着します。腰ベルトが緩いと歩行中に本体が揺れてしまうので、痛くない範囲で、ややきつめに固定した方が安定しました。

本体(写真左)の突起部を脚のバンド(写真右)の穴に差し込んで接続しておきます。

ほとんど力を入れずに接続できました。

本体の金属製金具を腰ベルトに接続します。

このような状態になります。

太もも用のバンドを膝の上に巻いたら準備OKです。

身体に触れるベルト部分には厚みのあるしっかりしたパッドが付いているので、圧迫感や痛みは全くありません。
電源を入れずに歩いた場合も、接続部分が脚の動きに追従し、膝や股関節の可動域が狭くなる感覚はありませんでした。椅子にも通常どおり座れました。

専用アプリの登録と本体接続は数分で完了
専用アプリは、iPhone 13 Proにインストールして使用しました。今回使用したバージョンはv1.2.7です。
以下に大まかなステップを解説します。
スマートフォンに「WIRobotics WIM」のアプリをインストールします。アプリを開いたら、本体との連携のため、Bluetoothの接続を許可してください。

任意の方法でログイン(アカウント登録)を行います。その後、身長・体重などを入力して進みます。
WIMとの接続を促されるので、「ロボット接続」をタップします。

本体右側にある赤いボタンを1回押して、電源をONにします。

その後、アプリ側で指示に従い連携を進め、「運動開始」をタップしましょう。

WIM Sの使用を開始するためには、ユーザーの歩行を分析するためにテスト歩行を5分以上行う必要があります。テスト歩行では歩行モードや強度の切り替えをアプリ側で試すことも出来ます。また、運動情報の表示も可能です。

アプリの画面と運動中の音声ガイダンスは、基本的に日本語へ対応しています。音声には翻訳文を読み上げているような言い回しもありましたが、操作内容を理解するうえでは支障がありません。
本体には2つのモードを登録でき、電源ボタンを押すことで切り替えられ、本体左横の「+」「ー」のボタンで強度を調節可能です。

エアモードは補助を意識しないほど自然に歩行へ追従
エアモードでは、WIM Sが太ももの上げ下げに合わせて力を加えます。脚を前へ振り出すときに持ち上げ、後ろへ下げる動きにも連動するため、足が軽くなった感覚がありました。特に、太ももを普段より高く上げると、スッと持ち上げて下ろす補助が分かります。
印象的だったのは、アシストの強さよりも追従の滑らかさです。歩幅や歩く速さを変えても、脚の動きとモーターのタイミングに大きなずれはありませんでした。急に止まる、再び歩き出す、方向転換する、小走りに変えるといった動作にも反応し、不意に脚を引かれる感覚はありません。
モーター音も小さく、室内で歩いていてもほとんど気になりませんでした。
ケアモードとアクアモードでは異なるサポートを体感
ケアモードも、基本的な感覚はエアモードに近いものでした。ただし、自分の脚の動きにぴったり重なるエアモードに対し、ケアモードはWIM Sがわずかに先行して足運びを導いてくれる感覚がありました。
太ももの上げ下げを機器側が少し積極的に行うため、「歩く動作を補助する」というより「歩かせてくれる」感覚に近いモードです。電動自転車でペダルを踏んだ直後に補助が入る感覚にも似ています。自分の意思に反して脚を動かされるほど強制的ではなく、不快感もありませんでした。
アクアモードは反対に、脚の動きへ抵抗を加えます。太ももを上げるときにも下げるときにも重さが加わり、平地を歩いているのに急な坂道を上っているような負荷を感じました。強度を上げると、相当な負荷をかけることも出来ます。
脚を運ぶ方向と反対側へ力が加わるため、歩行補助ではなく運動用のモードです。屋外の坂道やトレーニング器具を用意しなくても、平らな床で歩行運動の負荷を上げられます。
室内歩行をアプリで分析
アプリと連携させて使用すれば、自分の歩行をスコアとして可視化することができます。
今回はエアモードを中心に約10分間使用しました。短い距離を室内で往復する条件でも、歩数や速度、歩幅に加えて、歩行状態を示すスコアまで測定されています。

速度やバランスだけでなく、敏捷性・筋力・安定性まで一画面で見られるため、単に歩行を補助して終わるのではなく、使用後の状態を数値で振り返られます。
日別・週間・月間の表示にも対応しており、継続利用すればスコアの変化を追えるので、単なる歩行アシストにとどまらないところが良いと思いました。
WIM Sを使って分かった良かった点・気になった点

短時間の室内テストでも、WIM Sの歩行アシストは十分に体感できました。特に印象に残ったのは、歩行中よりもプログラム終了後に補助の大きさに気づいた点です。
プログラム終了後に脚の軽さの違いを実感
WIM Sのエアモードは、歩行中は自分の脚だけで歩いている感覚に近いので、装着して過ごしているとアシストされている事すら忘れそうになります。
WIM Sのアプリではエクササイズプログラムを行うことも出来るのですが、5分間のビギナー向けプログラムが終了してスタンバイモードに戻った直後、両脚が急に重くなったように感じました。

補助が止まって初めて、太ももの上げ下げに継続して力が加わっていたことが分かります。そのくらい自然にアシストしてくれていたことが実感できました。
また、段差を上がる際など、太ももを高く上げるケースでは、特にアシストの強力さを感じます。
使用前は、歩行に困っていない健康な人が試して実感があるのか疑問でしたが、実際には短時間でも差が明確で、補助を意識させない滑らかさと、歩行を軽くする力の両方を体感できました。
注意点として、腰ベルトを緩く巻くと本体が下へずれ、歩くたびに腰の後ろで揺れます。圧迫感が出ない範囲で、腰へ密着するように固定する必要があります。
装着中の重さやモーター音はほとんど気にならない
装着部を含む重量は約1.6kgあり、本体を手に持つとある程度ずっしりとした感じがあります。腰へ正しく固定すると重量が分散され、歩行中に負担を感じるほどではありませんでした。
脚と本体をつなぐ部分も歩行に合わせて動き、電源を切った状態でも股関節や膝の動きを妨げません。急停止、再発進、方向転換、小走りへ切り替えても、モーターの動作が遅れて脚を引かれることはなく、自然な歩行をキープできました。
動作音もかなり小さく、室内で使用していてもほとんど聞こえないほどです。
アプリの日本語や充電方法には惜しい部分も
専用アプリは画面表示と音声ガイダンスの大半が日本語で、登録から運動開始まで迷わず進められました。
しいて言うなら、歩行分析の詳細画面で、「盗人」「秤」などの内容が分からない項目あり、v1.2.7では一部に誤訳が残っています。

また充電は、付属品の高速充電器のみ使用できます。付属品とは別のUSB Type-Cケーブルを接続すると警告音が鳴り、充電できなかったため、今後手持ちのケーブルも使えると良いと感じました。
WIM Sの価格と購入・レンタルプラン

WIM Sは、一括購入のほか、32カ月契約と1カ月単位のレンタルが用意されています。初期費用を抑えるか、最終的に自分の所有物にするか、短期間だけ使うかによって適したプランが異なります。
一括購入・長期契約・月額レンタルの料金を比較
WIM Sの一括購入価格は396,000円です。1年間の無償本体保証と5年間の有償アフターサービスが付きます。
長期契約・安心プランは月額15,800円の32カ月契約です。支払総額は505,600円となり、一括購入より109,600円高くなりますが、バッテリーと装着部バンドをそれぞれ最大2回まで無償交換できます。32カ月分の支払いを終えると所有権が移り、その後のレンタル料金は発生しません。
月単位・サブスクプランは月額28,600円で、1カ月単位で利用できます。製品の所有権は移りませんが、旅行や歩行トレーニング、イベントなど、利用期間が決まっている場合にはおすすめなプランです。
| 項目 | 一括購入プラン | 長期契約・安心プラン | 月単位・サブスクプラン |
|---|---|---|---|
| 料金 | 396,000円 | 月額15,800円 | 月額28,600円 |
| 契約期間 | なし | 32カ月 | 1カ月単位 |
| 最低利用期間 | なし | 6カ月 | なし |
| 所有権 | 購入時に移転 | 32カ月分の完済後に移転 | 移転なし |
| 消耗品の交換 | 必要に応じて購入 | バッテリーと装着部バンドを各最大2回まで無償交換 | 無償交換なし。有償購入は可。 |
| 故障時の対応 | ・1年間の無償本体保証 ・5年間の有償アフターサービス | 通常使用による故障は契約期間中無償修理 | 通常使用による故障は契約期間中無償修理 |
| 修理中の代替機 | 無償貸し出し | 無償貸し出し | 無償貸し出し |
| 途中解約 | - | 最初の6カ月は解約不可。以降は解約可能 | 1カ月単位で解約可能 |
| 完済前の解約費用 | - | 再整備費33,000円 | なし |
| 初期配送・回収時の送料 | 無料(日本国内) | 無料(日本国内) | 無料(日本国内) |
長く使い続けることが決まっており、支払総額を抑えるなら一括購入が最安です。
月々の負担を分けつつ、消耗品交換や故障時のサポートも重視するなら長期契約・安心プランが候補になります。利用期間を決めず、必要な月だけ借りる場合はサブスクプランも検討しましょう。
体験会場で無料体験ができる
WIM Sでは、実際に店舗に行って30分試着できる無料体験会を設けています。
悩みや目的に合わせたモード調整や、試着の補助もしてくれるため、装着に不安がある方も安心です。近くにスタッフがサポートする中で体験でき、安全管理も徹底されています。
2026年8月時点では、東京都日本橋の店舗でのみ開催しており、公式HPから予約できます。
WIM Sは身体へ直接装着する製品であり、ベルトのフィット感やアシストの好みには個人差があります。高額な購入や長期契約を決める前に、正しい使用方法をサポートしてもらえる無料体験の機会をぜひ活用しましょう。
WIM Sが向いている人

WIM Sは、歩行そのものが困難な人を機械だけで移動させる装置ではありません。自分の脚で歩ける状態を保ちながら、外出時の負担を減らしたい人や、歩行データを見ながら運動を続けたい人に合う製品です。
歩く負担を抑えて外出や旅行を楽しみたい人
エアモードでは、歩幅や速度の変化に合わせて太ももの上げ下げを補助します。今回の室内テストでは、歩行中に強く引っ張られる感覚はなく、補助が止まった直後に脚の重さが変わったことでアシストの大きさを実感しました。
長時間の買い物や旅行、散歩などで、後半になると脚が重くなる人には有力な選択肢です。ハイキングモードも搭載されているため、坂道や階段を含む外出にも対応します。
歩行状態の測定や脚のトレーニングを行いたい人
WIM Sは、歩行を軽くするだけでなく、アプリで速度・歩幅・歩数・均衡・安定性などを記録できます。
日別・週間・月間の履歴も見られるため、散歩やウォーキングを続けながら数値の変化を追いたい人にはぴったりだと思います。ただし、表示される歩行年齢や各スコアは医療上の診断結果ではありません。体調管理や運動継続の参考値として使いましょう。
アクアモードでは、脚を上げる動作と下げる動作の両方に抵抗が加わります。坂道や専用器具がなくても、平らな床で歩行運動の負荷を高め下肢筋力の向上を狙うことができます。
まとめ
WIM Sは、歩く速さや歩幅に合わせて脚の動きを補助するウェアラブルロボットです。
実際に使うとアシストは非常に滑らかで、プログラム終了後に脚が重く感じたことで補助の大きさを実感しました。
歩行を軽くするモードだけではなく、脚へ負荷をかけるモードや歩行分析機能もあります。
