
ObsidianとNotionは、どちらもノートやナレッジ管理の代表的なツールです。
ローカルでの使用を重視したObsidianとクラウド協働を重視したNotionでは、利用できる機能や向いている作業に違いがあります。
そこで、この記事では機能・料金・共同編集の観点からObsidianとNotionを比較し、さらにユースケース別の使い分けについても解説します。
Obsidianとは?

Obsidianとは、Markdownエディタやナレッジベースアプリの側面を持つデジタルノートツールです。
ノート同士を内部リンク構造によってつなぎ、リンク構造を構築することができます。
また、作成したノートはローカルに保存でき、オフラインでもアクセス可能です。
個人利用であれば基本無料で利用でき、商用利用もできます。

Notionとは?

Notionとは、メモ、タスク管理、プロジェクト管理、データベース、ナレッジベース作成などを一体化して行えるオールインワンのドキュメントツールです。
テキストだけでなく、画像、動画、ファイル、チェックリスト、コードブロックなどを自由に配置して、思い通りのドキュメントやメモを作成できます。
作成したドキュメントはクラウドに保存され、複数デバイスで同期できます。
個人利用は無料であり、無料プランでも多くの機能が利用可能です。
基本コンセプトの違い

基本コンセプト | Obsidian | Notion |
---|---|---|
設計思想 | 第二の脳 | オールインワンワークスペース |
特徴 | リンク構造・ネットワーク化 | 情報の一元管理・クラウド協働 |
データ保存形式 | ローカルMarkdownファイル | クラウドデータベース |
利用環境 | オフライン | オンライン |
Obsidianはアイデアや知識をリンクでつないでネットワーク化することで第二の脳となることを目指しているのに対し、Notionはメモやタスク管理、データベースなどの情報を一元管理するオールインワンワークスペースを目指しています。
ObsidianはMarkdown形式でノートを作成し、ノート同士を双方向リンクでつなぐことでネットワーク型のリンク構造を構築できます。
作成したノートは自分のデバイスにMarkdownファイルとして保存できるため、完全オフラインで利用可能です。
一方でNotionはブロック単位でテキスト、画像、データベースなどを組み合わせてページを作成できるため、さまざまな情報をNotionだけで一元管理できます。
オンラインでの使用を前提としており、作成したページはクラウドに保存され、同じページを複数人で同時に編集できるクラウド協働に強みを持っています。
ObsidianとNotionの機能比較

続いて、ObsidianとNotionを機能面で比較していきます。
ドキュメント構造
Obsidianはリンクを主役としたネットワーク構造を持つのに対し、Notionはページの中にページを入れ子にしていく階層構造を基本としています。
Obsidianでは、[[ページ名]]
と書くと他のノートへのリンクを簡単に作成でき、リンクされた側からもどのノートからリンクされているかを確認できるバックリンクが作成されます。
これにより、ノート同士をつなぐネットワーク構造が形成され、グラフビュー機能によって構造を可視化することも可能です。
一方Notionはテキスト、見出し、画像、チェックリスト、データベースなどさまざまな種類のブロックを組み合わせてページを作成し、ページを入れ子にして階層構造を構築できます。
各ページでは情報をテーブル、リスト、カンバン、カレンダー、ギャラリー、タイムラインといったさまざまな形式でデータベースとして表示・管理可能です。
拡張・連携
Obsidianは多数のプラグインによって機能を拡張できるのに対し、Notionは公式のAPIや外部サービスとの連携によって機能を拡張できます。
Obsidianには公式のコアプラグインとコミュニティが開発しているコミュニティプラグインがあり、2000以上ものプラグインが公開されています。
テーマの変更やコードの埋め込みなどもでき、カスタマイズの自由度が高くなっています。
一方でNotionは公式APIを提供しており、開発者はGoogleカレンダーやSlack、GitHubなどの外部サービスとの連携が可能です。
また、Webの拡張機能を使うことで、Web上の情報を連携することも可能です。
AI機能
ObsidianではコミュニティプラグインとAPIによってAI機能を利用できるのに対し、Notionでは公式のNotion AIを使うことでAI機能を利用できます。
ObsidianにはText GeneratorやObsidian Copilot、Smart ComposerなどのAI連携プラグインがあり、これらのプラグインとOpenAIやGeminiなどのAPIを組み合わせることでAI機能を使えます。
また、Obsidianで作成したノートはMarkdownファイルで保存されるため、AI搭載エディタのCursorと組み合わせてAI連携することも可能です。
【ObsidianとCursorを組み合わせた“note執筆”効率化ワークフローが神】
— クローバー (@ryooo_ai) May 1, 2025
・Obsidianで記事をMarkdown収集→タグやフォルダで整理
・Cursorで構成案や文章の叩きをサクッと生成
・思考の展開も対話形式でサポートしてくれるのが超助かる
・最終仕上げはnoteで読者目線にチューニング…

一方でNotionにはNotion AIという公式のAI機能が提供されています。
追加の料金はかかりますが、文章の生成や修正、アイデア出しなどをGPT-4やClaudeベースで行うことができます。

共同編集
Obsidianはアドオンやプラグインによってファイルの共有、共同編集ができるのに対し、Notionはページの共同編集が標準機能として搭載されています。
Obsidianはローカル保存が基本ですが、保存先をクラウドストレージにしたり、有料アドオンのObsidian Syncを使ったりすることでファイル共有ができるようになります。
また、Relayというプラグインを入れることで、ライブカーソル機能が利用でき、リアルタイムの共同編集が可能となります。
一方でNotionは標準でページの共有ができ、編集やコメント、閲覧などの権限を細かく設定できます。
編集はリアルタイムで反映され、複数人での共同編集が可能です。
公開・共有
Obsidianは有料アドオンによってノートをWeb上に公開できるのに対し、Notionは標準機能を使ってワンクリックでNotionサイトとしてページをWeb上に公開可能です。
ObsidianはObsidian Publishという有料のアドオンを使うことにより、作成したノートを静的サイトとしてWeb上に公開できます。
カスタムCSSによるスタイルの変更や、パスワードによるサイトの保護にも対応しています。
一方でNotionでは、無料プランでもワンクリックで作成したページをNotionサイトとしてWeb上に公開可能です。
さらに有料プランでは、検索エンジン最適化、テーマ、Googleアナリティクスとの連携など、サイト向けの追加のカスタマイズができます。
料金のポイント

次に、ObsidianとNotionの料金体系とそのポイントを見ていきます。
Obsidianは基本無料で利用できますが、同期や公開の追加サービスが有料であり、Notionには無料プランと有料プランが用意されています。
Obsidianの料金体系
アドオン | Sync Standard | Sync Plus | Publish |
---|---|---|---|
料金 | 5ドル/月 | 10ドル/月 | 10ドル/月 |
機能 | 保管庫(Vault)の同期 | より大きなファイルサイズ 多くの保管庫(Vault) より大きいストレージ | ノートの公開 |
ObsidianにはSyncとPublishの2つのアドオンがあり、Syncでは複数デバイス間でのノートの保管庫(Vault)の同期、Publishでは作成したノートの公開が可能となります。
SyncにはStandardとPlusの2種類のプランがあり、同期できる保管庫の数や最大ファイルサイズ、ストレージ容量が異なります。
また、Obsidianには支援ライセンスがあり、購入することで開発を支援することができます。
ライセンス | Catalyst | Commercial |
---|---|---|
対象 | 個人 | 組織 |
料金 | 25ドル(買い切り) | 50ドル/ユーザー/年 |
特典 | ベータ版への早期アクセス コミュニティバッジ VIPチャンネル | 25以上のライセンス購入で公式サイト上に紹介 |
なお、商用利用はライセンスを購入しなくても可能です。
Notionの料金体系
プラン | フリー | プラス | ビジネス | エンタープライズ |
---|---|---|---|---|
対象 | 個人 | 小規模チーム | 中規模チーム | 大規模チーム |
料金 | 無料 | 2000円/ユーザー/月 | 3000円/ユーザー/月 | 要問い合せ |
機能 | 基本機能 | フリープランの機能 無制限のブロック 無制限のファイルアップロード カスタムWebサイト | プラスプランの機能 SAML SSO ページの検証 PDFの一括エクスポート 高度なページアナリティクス | ビジネスプランの機能 ユーザープロビジョニング 高度なセキュリティ設定 監査ログ ワークスペースアナリティクス |
ページ履歴 | 7日間 | 30日間 | 90日間 | 無制限 |
ゲストの招待 | 10名 | 100名 | 250名 | 250名 |
Notionは個人利用であれば無料で基本機能を利用できます。
一方チームで利用する場合や、より高機能に使いたいという場合は有料プランの契約が必要です。
また、Notion AIを利用する場合は各プランに追加で1人あたり毎月1650円がかかります。
共同編集のリアル度

リアルタイムの共同編集はNotionの方が優れており、Googleドキュメントのように複数人で同時に同じページを編集できます。
他の人が編集をしている箇所はリアルタイムでカーソルが動き、編集内容が即座に反映されます。
一方でObsidianには共同編集機能は標準では搭載されておらず、Obsidian Syncを使って共同のVaultを編集するか、プラグインを使ってリアルタイム同期をすることになります。
Obsidian Syncを使う場合、リアルタイムでの反映はされないため、複数人で同じノートを編集すると競合が発生する可能性があります。
先ほど紹介したRelayプラグインを入れれば、ライブカーソル機能が利用でき、オンラインでリアルタイムの共同編集ができるようになります。
また、LiveSyncというプラグインを使うとサーバーを立ち上げることでVaultの同期が可能となりますが、構築がやや難しく上級者向けの方法となります。
共同編集ではObsidianよりもNotionの方がおすすめです。
ObsidianとNotionのユースケース別使い分け法

ユースケース | 向いているツール |
---|---|
個人での知識・アイデアの蓄積 | Obsidian |
学習ノート・研究ノート | Obsidian |
オフライン利用 | Obsidian |
チームでの共同作業 | Notion |
プロジェクト管理 | Notion |
社内Wiki・ナレッジベース | Notion |
マルチデバイス利用 | Notion |
AI連携 | Notion |
ここでは、ObsidianとNotionの使い分け方をユースケース別にご紹介します。
Obsidianは個人での思考・知識の構造化を得意としているのに対し、Notionはチームでの情報共有や共同編集などのリアルタイム協働を得意とします。
Obsidianが向いているユースケース
Obsidianは、個人でインプットした知識やアイデアをノート化し、リンク構造やグラフビューによって知識を整理するのに向いています。
Obsidian使い始めて2日目だけど、使い勝手良すぎる。
— 西尾彰将 | 「ミライ式」代表 (@no5gen6) March 15, 2025
今まで知を溜めても、どうも有機的じゃないし活用できてないなぁと思っていたが、
Obsidianならバックリンクとグラフの可視化で知識が自動で結びつく。
将来的にはこれぐらいを目指したい。 pic.twitter.com/nvDjhzQ3cU
また、作成したノートはローカル保存されるため、オフラインでの利用や、学習ノート・研究ノートのセキュアな管理も可能です。
プライベートな日記の作成にも向いているでしょう。
Notionが向いているユースケース
Notionは作成したページがクラウド保存され、編集が即座に同期されるため、複数デバイスでの利用やチームでの共同作業に向いています。
ソフトウェア開発におけるドキュメント作成
— Mekann (@Mekann2904) May 1, 2025
他の班はGoogleドキュメントを使っていましたが、私たちのチームはNotionを使用しています。Notionは、ページ間のリンクやタスク管理機能が充実しており、チーム開発において特に便利です。
また、データベースやカンバンを活用したタスクやプロジェクト管理、社内Wikiやナレッジベースの作成にも向いています。
さらに、Notion AIを使ったAI連携も得意としており、AIを使った作業効率化もしやすくなっています。
ObsidianとNotionの最新アップデート動向

Obsidianは「誰もが明確に考え、効果的にアイデアを整理するためのツールを持つべき」というマニュフェストに、Notionは「オールインワンワークスペース」というコンセプトに基づくようなアップデートがされています。
Obsidianはもともと従業員が2名以上の組織では業務で使用する際に商用ライセンスの購入が必須でしたが、2025年2月からはオプションとなりました。
これにより、たとえ商用利用であってもObsidianは無料で使えるようになりました。
また、ロードマップではノートの共有・共同編集ができる機能の追加を示唆しています。
Share notes and edit them collaboratively.
出典:Obsidian Roadmap – Obsidian
一方Notionは最近のアップデートで、NotionフォームやNotionメールなど、社内外の連絡業務を一元化できる機能が追加されました。
Notionフォームを使うことで、他のアプリを使うことなく、フォームの作成、回答の取得・分析ができます。
また、NotionメールはGmailと連携することにより、Notion AIを活用してメールの自動整理や下書きの生成、文章の改善が可能です。
ObsidianとNotionの注意点

Obsidianにはファイル破損リスク、Notionにはオフライン環境での機能制限といった注意点があります。
Obsidianでは、ノートをローカルに保存するため、ファイルを破損してしまうとデータが消えてしまう恐れがあります。
リスクに備え、有料アドオンを利用するか、自分でバックアップを取っておく必要があります。
一方でNotionはオンライン環境での操作を前提としているため、オフラインでは機能が制限されるほか、回線やサービスの提供状況が不調だと編集が止まってしまう可能性もあります。
また、ObsidianもNotionもAI機能を使う際はハルシネーションと呼ばれる誤った情報を出力してしまう現象に注意が必要です。
AIを利用した際は、情報が正しいかどうか必ず確認するようにしましょう。
まとめ
ObsidianとNotionにはそれぞれの強みがあり、適切に使い分けることが重要です。
個人の思考やアイデアの整理やノートの長期保存には、ファイルをローカルに保存するObsidianが向いているでしょう。
一方チームで共同作業をしたり、情報をデータベース管理したりする場合には、クラウド協働に最適化されているNotionがおすすめです。
どちらのツールも無料で使い始められるので、まずは使い勝手を試し、自分のワークフローやチームの規模に応じてツールを選びましょう。