
Manus(マナス)とは?中国発の次世代AIエージェントが話題になっています。
Manusは対話型AIとは違い、自律的にタスクを分析・計画・実行できる次世代のAIエージェントです。
この記事では、Manus AIの主な特徴や機能、料金や無料で試せる方法を解説。
また、ウェイトリスト登録の手順や使い方、招待なしでも使えるOpenManusについてもご紹介します。
Manusとは?中国発AIエージェントの特徴

Manusは中国のスタートアップ企業Monicaによって開発された、次世代の汎用AIエージェントです。
対話型AIと何が違うのか、その特徴を詳しく解説していきます。
Manusには、大きく5つの特徴があります。
- 自律性
- 多用途性
- マルチエージェントシステム
- クラウド上での非同期作業
- 優れたパフォーマンス
Manusは従来の対話型AIとは異なり、ユーザーの指示に基づいてタスクの計画から実行、検証までを自律的に進めるAIエージェントです。
幅広いタスクを処理できる能力を持ち、ウェブサイトの構築や株式市場の分析、データの収集などを行うことができます。
Manusの内部には複数のサブAIエージェントが存在し、それぞれが計画、実行、検証の役割を担っているので、ユーザーが目を離していてもタスクを段階的に完了できるようになっています。
また、クラウド上で動作するため、PCを閉じてもバックグラウンドで自動処理が継続し、処理が終わるとユーザーに通知される仕組みになっています。
Manusはパフォーマンス面でも優れており、GAIAベンチマークにおいてレベル1の難易度では86.5%の正答率を記録、さらに難易度の高いレベル3では57.7%の正答率を記録し、全レベルでOpenAI Deep Researchを上回る結果を記録しています。

ManusのAIエージェントで何ができる?主な機能

ManusのAIエージェント機能は、自律的なタスク実行能力を活かして多くの業務を効率化します。
ここでは主な機能をご紹介します。
自律的なタスクの実行
Manusの最大の特徴は、ユーザーから最初の指示を受けるだけで複雑なタスクを完了できるという点です。
対話型AIが特定のタスクに対して限定的に実行するのに対し、Manusは一度の指示で複数ステップの作業を自律的に実行します。
Manusの処理の流れは以下のようになっています。
ウェブ検索やデータベースを活用し、最新情報を取得、整理、分析します。
ユーザーの意図を解釈し、プロジェクト単位で継続的にタスクを進めます。
レポートやグラフ、表など、目的に応じた多様なフォーマットで成果物を提供します。
Salesforce、Slack、Trelloなどの業務ツールとAPI連携し、ビジネスプロセスを効率化します。
Manusの強みは、一度の指示で複雑なタスクを自律的に実行できる点にあります。
情報収集から計画立案、成果物の作成、業務ツールとの連携までをシームレスにこなし、ユーザーの負担を大幅に軽減します。
複数のAIエージェントによる連携
Manusの内部には複数のサブAIエージェントが存在し、計画、実行、検証の役割を担うマルチエージェントアーキテクチャを採用しています。
このアーキテクチャは、以下の3つの主要エージェントで構成されています。
プランニングエージェント
ユーザーからの指示を受け取り、その内容を分析してタスクを小さなステップに分解し、複雑なタスクも効率的に処理可能にします。
このエージェントは「頭脳」の役割を果たし、全体の計画立案を担います。
実行エージェント
プランニングエージェントが立てた計画に基づいてデータ収集や分析、コンテンツ生成など実際の作業を行います。
実行エージェントは「手」の役割を担い、具体的なタスクを遂行します。
検証エージェント
実行された結果をチェックして品質や正確性を評価し、必要に応じて修正や改善を行い、成果物としてユーザーに提供します。
このプロセスは「品質管理」の役割を果たします。
Manusは、「プランニング」「実行」「検証」という3つの主要な役割を持つエージェント間で連携を行い、複雑で多様なタスクの対応を可能にしています。
複数のAIモデルによる連携
Manusは複数のLLM(大規模言語モデル)を使い分け、最適なモデルをエージェントが自律的に選択し、多角的なタスク処理をこなせるように設計されています。
これにより、必要な情報の集約や段取りを組みながら外部ツールの呼び出し、実行、成果物の自動作成が可能になっています。
AIモデルにはAnthropicのClaude 3.5 Sonnetや、アリババのQwenのファインチューニング版などが利用されています。
Manusの共同創設者・季逸超(ジー・イーチャオ)氏は2025年3月10日のX(旧Twitter)にて
『Manus構築当時は多くの補助モデルが必要だったが、現在Claude 3.7の社内テストを進めており、今後正式なスケジュールを発表する』
と述べており、今後どのような情報が発信されるか注目です。
Manusで実現する業務効率化
Manusはデータ分析と処理を効率化し、様々な分野での活用が可能です。
以下の表は、タスクに対してManusが提供する成果物の例です。
タスク | 成果物 |
---|---|
Teslaの株式分析 | 詳細な株式分析と視覚的にわかりやすいダッシュボードの作成 |
B2Bサプライヤーの調達支援 | ネットワーク全体を調査して最適な取引先を発見 |
オンラインストアの運営分析 | Amazonストアの売上データをアップロードし、実用的な洞察、詳細な可視化、売上向上のための戦略を提供 |
教育コンテンツ生成 | 学生生向けのプレゼン資料を自動生成 |
保険プランの比較 | 複数の医療保険プランを比較し、最適な選択肢を提示 |
Manusの基本機能について理解したところで、次は具体的な使用例を見ていきましょう。
ManusのAIエージェント使用例

Manusは、さまざまな分野で活用できる高機能なAIエージェントです。
ここでは公式サイトで公開されている具体的な使用例を紹介し、どのようなタスクを実行できるのかをご紹介します。
旅行プランの作成
ユーザーの指示
シアトルから日本への7日間の旅行のハンドブックの作成、途中にプロポーズの予定。

Manusの成果物
複数の資料が作成され、詳細な情報と行動プラン、プロポーズのタイミングまでまとめた旅行ハンドブックを出力。

飲食店のマーケティング計画
ユーザーの指示
業績不振のバーベキュー店の売上を10%向上させるマーケティング戦略。

Manusの成果物
リサーチ、分析、具体的な戦略計画をまとめた資料を出力。

テキストベースのゲーム作成
ユーザーの指示
大統領会談をロールプレイできるシミュレーションゲームの作成。

Manusの成果物
3択式の会話型ロールプレイシミュレーションゲームを出力。

公式サイトにはManusを使用したユースケースギャラリーが公開されているので、様々なケースの出力結果を確認できます。
また、思考プロセスの可視化により、作業中にManusがリアルタイムでどのような処理を行っているか(情報収集や分析のプロセス)を確認することもできます。
こちらはログインしなくても閲覧できるので、興味のある方は公式サイトをご確認ください。

Manusの安全性は?セキュリティとリスク

ManusがAIエージェントとして業務の効率化に貢献する一方で、セキュリティの安全性も気になります。
Manusを利用する際には、以下のリスクを理解しておくことが大切です。
セキュリティとリスク対策
Manusのような高度なAIシステムが直面するセキュリティ上の大きな課題は、システムが高度になるほど攻撃対象の範囲も広がるという点です。
Manusは次世代の汎用AIエージェントとして大きな可能性を秘めていますが、そのセキュリティとプライバシーに関する懸念も同様に大きいと言えるでしょう。
ユーザーの代わりに自律的に複雑な作業を実行する場合には、よりリスクが伴う事を理解しておきましょう。
PC内部へのアクセス
Manusはブラウザ上で動作して、ユーザーの代わりにカーソルを動かしたりフォーム入力を行う機能を持っています。
このため、タスクによってはユーザーのPC内部や外部ツールへのアクセス権限を許可する必要があり、権限の管理が重要になります。
また、業務システムと連携する際に誤作動や不正利用が発生した場合には、機密情報へのアクセスや意図しない操作が行われるリスクも想定されます。
Manusを利用する際にはアクセス権限の範囲を設定し、人間による確認や仮想環境を活用するなど、セキュリティ対策に注意しましょう。
Manusの料金は無料!全ユーザーが利用可能

Manusを利用してみたいと考えている方にとって、料金も気になるポイントです。
ここでは、Manusを無料で利用する方法について解説します。
現在は招待制のベータ版で無料で使える
2025年3月現在、Manusは招待制のベータ版として無料提供されており、招待されたユーザーは無料で利用可能です。
招待コードの無いユーザーは、公式サイトからウェイトリストに登録して招待を待つ必要があります。
Manusの商用利用について
商用利用については、明示的な許可が必要です。
Manusを利用したサービスを販売する際は、必ず書面での承認が求められますので注意しましょう。
商用利用は事前の明示的な許可が必要です。
サービスを第三者に販売・貸与・サブライセンスすることは禁止されており、APIや外部ツールとの統合を伴う商用利用には書面での承認が求められます。
出典:Manus | 利用規約
Manusのウェイトリスト登録方法

2025年3月現在、Manusはベータ版として提供されているため、利用には招待コードが必要です。
一般ユーザーがこれからManusを利用するためには、ウェイトリストに登録して順番を待つ必要があります。
待機時間は短くなりましたが、ウエイトリストへの登録は引き続き必要になっています。
ここでは、ウェイトリストの登録方法をご紹介します。
Manusの使い方 ManusのAIエージェントを実際に使ってみる
招待コードが届いたら実際にManusを使用してみましょう。
今回の例では、成果物出力までの時間は20分程度でした。
現在、Manusのベータ版ではタスクの実行は初回3回までで、その後も利用には制限があるようです。

また、Manusへのアクセスが多くサーバーの負荷が高い状況の時は、処理が実行できなかったり、途中でエラーになる場合があるので注意しましょう。
Manusを招待なしで使える?OpenManusという選択肢

Manusを招待なしで利用したい方は、オープンソースの代替プロジェクト「OpenManus」でManus同様の機能を体験できます。
OpenManusとは?
OpenManusは2025年3月に公開され、招待制のManusに対する代替手段として注目を集めています。
OpenManusはManusを使用したオープンソースのAIエージェントプロジェクトです。
MetaGPTチームによって短期間で開発され、「Manusは素晴らしいが、OpenManusは招待コードなしにどんなアイデアも実現できます」をコンセプトに活動しています。

OpenManusの利用方法
OpenManusインストール方法はGitHub上で公開されており、インストールとAPIの設定で利用可能になります。
OpenManusの利用には、基本的なPythonの知識と対応するLLMモデルのAPIキーが必要です。
まとめ
Manusは高度な自律性を持つ次世代AIエージェントとして、業務の効率化やタスクの最適化を実現する画期的な最新技術です。
GAIAベンチマークでOpenAI Deep Researchを超えるスコアを記録するなど、最先端のAI技術を活用している点も大きな魅力です。
興味のある方は、ぜひウェイトリスト登録をしていち早くManusを体感してみましょう。
正式リリースを控え、ManusがAIエージェントの未来をどのように切り開いていくのか注目です。