
Genie 3とは、仮想世界を構築できる最新機能搭載の生成AIです。
今までにない迅速な応答と、生成した世界の再現性が特徴です。
「Genie 3はいつから一般利用できるの?」「価格帯はどれくらいなの?」とお考えの方へ。
この記事では、Genie 3の具体的な使い方や料金についてお伝えします。
GoogleのGenie 3とは?

Genie 3は仮想の世界を瞬時に生成することができる世界初のAI技術を搭載したモデルです。
GoogleのAI研究組織であるGoogle DeepMindより2025年8月5日に発表となり、業界で大きな話題となっています。
What if you could not only watch a generated video, but explore it too? 🌐
— Google DeepMind (@GoogleDeepMind) August 5, 2025
Genie 3 is our groundbreaking world model that creates interactive, playable environments from a single text prompt.
From photorealistic landscapes to fantasy realms, the possibilities are endless. 🧵 pic.twitter.com/P0cwFvf5d2
従来のモデルより進化した点は、単なる動画生成AIとしてだけでなくリアルタイムで3D世界を構築することができる革新性です。
学習能力の飛躍的な高まりもGenie 3の大きな見所の1つで、生成世界の非現実的さや精度の低い部分を克服しました。
技術面での進化した特徴は、次の見出しでお伝えします。
Genie 3の新技術の特徴

Genie 3の新技術の特徴を詳しくお伝えします。
次の4つの項目について公式サイトにて発表された詳細の説明を元に解説していきます。
- 一貫性のある世界を構築可能
- 生成した世界にイベント追加
- 自然現象を柔軟に再現
- 想像上の生き物や人物をモデリング
一貫性のある世界を構築可能

Genie 3で生成した世界においては、過去に起きた事象を記憶に保持できます。
例えば、建物や構築物につけた傷や置いた物などが違う場所から戻ってきてもそのまま残っているというように一貫性が保たれるのです。
「ワールドメモリ」という技術によりリアリティの感じられる世界観をユーザーが体験できるのがGenie 3の特徴です。
Genie 3 environments remain largely consistent for several minutes, with visual memory extending as far back as one minute ago.
和訳:Genie 3の環境は数分間にわたり一貫性を保持して、視覚記憶は最大1分前までさかのぼります
出典:GoogleDeepMind Genie 3
During the auto-regressive generation of each frame, the model has to take into account the previously generated trajectory that grows with time.
和訳:このモデルは過去に生成したフレームの軌跡をもとに、フレームを1つずつ自己回帰的に生成します
出典:GoogleDeepMind Genie 3
生成した世界にイベント追加

生成した世界に対して、動的なイベントをユーザーからの指示により発生させることが可能です。
天候変化や日照状態などの環境や、建物やキャラクターなどのオブジェクト配置などができ、よりユーザー参加の範疇が高まっています。
操作方法も、テキストだけでなくマウスやキーボードによる入力ができるので利用への障壁もありません。
リアルタイムで世界を動的に変更できるのが、Genie 3の最新技術の1つです。
In addition to navigational inputs, Genie 3 also enables a more expressive form of text-based interaction, which we refer to as promptable world events.
和訳:没入的な世界に加えて、Genie 3はプロンプトでの世界イベントというテキストベースの表現豊かな命令を可能にします
出典:GoogleDeepMind Genie 3
自然現象を柔軟に再現

Genie 3は、アルゴリズムに基づいた画一的なコントロールによらず事前学習により習得した自然現象等を自然に再現できます。
ボールが落下する時の動きや、雨の降っているときの建造物の様子などを違和感のない状態で表現が可能です。
生成した世界との一体感が生まれ、未来においてのAI技術の活用範囲がより広がると予想されています。
By contrast, worlds generated by Genie 3 are far more dynamic and rich because they’re created frame by frame based on the world description and actions by the user.
和訳:他のモデルと比べると、Genie 3で作成された世界はユーザーによる描画された世界を元にしたフレームを用いているので、はるかにダイナミックで豊かです
出典:GoogleDeepMind Genie 3
想像上の生き物や人物をモデリング

生成した世界に、仮想の生き物や人物を登場させることができます。
3Dの形で実現された生き物や人物は、実際の動物や人のように世界の中を動き回ります。
映画や小説の中の1シーンを再現したり、ゲームやVR世界での環境のシュミレーションにも活用ができるでしょう。
Tap into imagination, creating fantastical scenarios and expressive animated characters.
和訳:創造力を用いて、幻想的な場面や表現力豊かなキャラクターを作成することができます
GoogleDeepMind Genie 3
Genie 3の技術仕様

ここでは、Genie 3の技術仕様をお伝えします。
他モデルとの比較

上の表はゲームモデルのGameNGen、Genie 3の前世代であるGenie 2、動画生成AIであるVeoとの性能の比較表です。
Veoとは、Genie 3と同様にテキストベースで動画を生成できるモデルです。Genie 3の開発会社の親会社であるGoogle社の製品でGeminiにて利用が可能です。商用利用もできて、日本語にも対応しています。

Genie 3は次の項目において最高の数値となっているのが特徴です。
- Interacion Horizon ((映像記憶の)持続の限界)
-
Multiple minutes(数分間)
- Interaction Latency(反応の速さ)
-
Real time(リアルタイム)
- Control (操作性)
-
Promptable world events(プロンプトによる生成世界でのイベント)
Genie 3の機能と性能の詳細
Genie 3の性能の詳細は以下の通りです。
機能 | 内容 |
---|---|
解像度 | 720p(1280×720pt) |
フレームレート | 24fps |
持続時間 | 数分間(1分以上)の記録を字保持 |
メモリ | 1分間の映像記録を保持できる |
オブジェクトパフォーマンス | 視界から消えた風景を再現可能 |
編集方法 | プロンプトによる世界でのイベント・キーボード・マウス |
学習した領域 | 3D世界環境を含めて普遍的な事象 (自然現象・地形・物理性質など) |
これまでとの大きな違いは、以下の2点です。
- プロンプトによる生成世界の編集が可能である
- 数分間にわたる映像記憶の保持ができる
Geinie 3のこれからの活躍が期待できます。
Genie 3の使い方

次に、Genie 3の利用方法をお伝えします。
手順としては下記のステップにより、仮想世界を構築・編集する流れとなります。
現時点で判明している機能を紹介しますが、今後の開発により追加・変更になる可能性もあるので留意が必要です。
テキストプロンプトによって、次のようなシーンを作成することを指示します。
詳細にわたった条件や描写を含めたプロンプトを作成するとより複雑で精度の高い仮想世界が生成されます。
後述しますが、プロンプトの入力はAIによる出力結果を左右する大きなポイントです。
- 「竜に乗って僻地の山々の中を悠々と散歩する」
- 「水路がめぐらされた開放的な街並みに突然天使が訪れる」
- 「暗い廃墟のような建物の中に5~8人の青年が集まってランプを囲んでる」
生成された世界を自由に探索や移動ができます。
マウスやキーボードの操作で視点が変えられるので、仮想世界の中での主人公となり冒険ができます。
仮想世界そのものが、自分のオリジナルなうえに移動までできるというのは近代のAI技術の開発の最高の成果です。
仮想世界での移動に加えて、以下のような編集ができます。
世界への動的な編集はテキストプロンプトによって行う形式です。
1行のプロンプトによって世界に情景やギャラリーが追加されます。
- 入道雲を発生させる
- ボートに乗った集団を登場させる
- 夜の時間帯に設定する
Genie 3の料金

現状でのGenie 3の料金相場の予想を、アクセス方法別にお伝えします。
料金について正式な発表はされておらず、あくまで想定されるプランや相場となります。
GoogleのAIモデルであるため、GoogleAIStudioや有料プランによるアクセスになるという見方が強いです。
そのことを踏まえて、具体的な料金予想を見ていきます。
Genie 3の現状のアクセス状況
Genie 3は2025年8月現在、プレビュー状態で一般ユーザーに向けたサービス提供及び公開スケジュール情報は発表されていません。
限定的に以下のような方に向けてトライアルという形で提供しているのみです。
- 学術分野の研究者
- AI・XRの専門クリエーター
- Google DeepMindのAI開発関係者
API従量課金モデル
API利用における課金モデルは下記のように予想されます。
Genie 3は分単位で記憶を保持する形式であり、分単位での課金が合理的です。
項目 | 内容 | 価格 |
---|---|---|
生成時間ベース | 分単位での課金 | |
プロンプト実行回数 | 初期世界生成 | $2~5/回 |
追加プロンプト | $3~7/回 | |
解像度オプション | 360p(低品質) | 基本料金 |
720p(標準) | 基本料金の1.5~2倍 | |
1080p(将来対応予想) | 基本料金の3~4倍 | |
フレームレート | 24fps(標準) | 基本料金 |
12fps | 基本料金の0.7倍 | |
30fps以上 | 基本料金の1.3~1.5倍 |
サブスクリプションモデル
サブスクリプションによる利用の料金予想は次の通りです。
モデル | 予想料金 |
---|---|
個人研究者 | 月額$100~300程度 |
企業向けプロフェショナル | 月額$500~2000程度 |
エンタープライズ | カスタム価格設定 |
Google AI Pro/Ultraプランでの利用
既存のGoogleAIの利用プランの有料モデルでの適用も見込まれます。
2025年8月現在の各プランの利用料金は以下の通りです。
プラン | 月額料金 |
---|---|
Google AI Pro プラン | 月額2,900円(最初の1カ月は無料) |
Google AI Ultra プラン | 月額36,400円(最初の3カ月は18,000円) |

Genie 3はいつから日本で利用可能?

Genie 3はいつから国内の利用者に解禁されるのでしょうか。
Genie 3の発表を受けて、気になる方も多いところです。
今のところリリースの予定は公式発表されていませんが、完全公開までの流れを筆者の個人的主観で予想を立てました。
明確な根拠のない個人的な予想という点だけご留意ください。
2025年8月現在においては、限定されたユーザーのみがGenie 3を利用することができます。
招待による許可を得る必要があり、試用版として使用感などを報告する形での利用です。
発表から半年程度たったら、もう少し利用者が増える見込みです。
試用版の利用者などからのプレビューを参考に、利用にあたる改善点を改善して利用しやすいバージョンとなっているでしょう。
更に開発が進んで、今度は一般利用者への利用拡大となる見込みです。
GoogleAIのプラットフォームのGoogleAIStudioからのアクセスとなる予想です。
2027年には正式に全ユーザーに対してのリリースが予想されます。
アクセス方法はAPI経由、サブスクリプションプラン(有料)となることを想定しています。
Genie 3の産業別活用シナリオ

Genie 3を用いた活用事例を産業別にシュミレートしました。
具体的には次の業界での活用事例をお伝えします。
- ゲーム業界
- 教育・トレーニング分野
- ロボット・機械開発
- 建築・都市開発
- 災害対策
ゲーム業界
ゲーム業界において、コンセプト作成やゲーム世界の地図となる環境構築に数カ月もの期間を要していました。
しかし、Genie 3を利用することで数秒にして世界の構築が完了します。
ゲーム内でのイベントを追加する際や、既存のゲームの内容の修正も容易です。
また、ゲームの設計においての視覚性、操作性というもののシュミレーションにも役立つでしょう。
教育・トレーニング分野
教育分野やトレーニング分野では世界構築の活躍が非常に期待されており、実用に向けての動きが順次進められています。
例としては、以下のような事柄が考えられます。
- 歴史上の舞台での世界観を体験する
- 世界の気候変動による変化した世界を知る
- 力学の法則に基づく物質の動きを確認する
また、医療現場における手術のシュミレーションや体育系のトレーニングによる効果を測定することも期待できます。
ロボット・機械開発
AIを利用したロボットや機械の開発においても活用できます。
仮想世界という現実世界では再現できない空間において、ロボットを訓練することにより更なる技術の革新が可能になるかもしれません。
AI技術を更なる高みにもたらすことが、今後AI業界の最大の目標であり、新たな可能性を模索する手掛かりとなるでしょう。
建築・都市計画
建造物、構築物や街全体を総合的に生成できることで建築分野にも利用できます。
建築において、建造物の設計、見た目や居住性などの検証を関係者内で共有することも可能です。
また、都市全体のリノベーションの計画や実現可能性の検証にも利用できます。
災害対策
Genie 3は、自然現象を学習して現実世界とほぼ忠実な形で再現します。
なので、火山噴火や洪水、地震などが発生した事例におけるハザードマップや被害の予測をするのに役立ちます。
被災地域の援助の方法の模索にも応用ができると考えられて、活用可能性は計り知れません。
Genie 3の技術的課題

Genie 3は最新型のAIモデルですが、今の時点では利用できる範囲が限定的となっており、更なる改良が必要となっています。
今の時点でGoogle DeepMindが考えるGenie 3の抱える課題を、他の観点から想定される事柄と合わせて以下の3点をあ挙げました。
各項目の内容を詳しくお伝えします。
- 運用上におけるリソース消費
- 利用者による操作性の拡大
- 再生可能な現象の再現性
運用上におけるリソース消費
Genie 3は、リアルタイムで高次元の世界を生成するという高スペックなモデルです。
なので、プロンプト入力から世界を構築するには資源を多く要します。
記憶量が多くなることでメモリの消費も多くなると予想されます。
また、通信上においての負荷が非常に多くかかる見込みとなりそれも難点の1つです。
利用者による操作性の拡大
Genie 3で生成された世界において利用者による編集・移動が可能です。
しかし、現状では操作性の面では制限がある形となっており、限られたアクションのみが許されています。
AI技術はあくまで人工であるので、バーチャルであっても作成できる作品は限りがあるということを心得ましょう。
Although promptable world events allow for a wide range of environmental interventions, they are not necessarily performed by the agent itself. The range of actions agents can perform directly is currently constrained.
和訳:プロンプトによる世界のイベントにより環境の変化の自在性を広げているが、それらは必ずしもエージェント自身に操作されているわけではありません。直接エージェントが扱える行動の幅は現状制限されています。
出典:GoogleDeepMind Genie 3
再生可能な現象の再現性
生成世界において、天候が変化したりボールが跳ねる表現について物理エンジンを用いていることが特徴ですが、再現性には限りがあります。
また、現実の地理をモデルにした世界を構築する際も完璧には再現できません。
操作性でも同様にあくまでAIという技術を用いた機械なので、再現するにも完璧とは言えないのです。
AIというツールを利用するユーザーは、スムーズで違和感のない動きを期待します。
それが、完璧ではないと愕然とすることもあると心得て利用することを推奨します。
Genie 3 is currently unable to simulate real-world locations with perfect geographic accuracy.
和訳:Genie 3は現実世界の完璧な地形を仮想世界に再現することはできません
出典:GoogleDeepMind Genie 3
まとめ
Genie 3とは、これまでにない機能を搭載した世界構築AIとして注目を集めています。
生成した仮想世界の中を自由自在に移動できて、人物や建物を配置するほか物の動きや過去の情景が再現されるのが特徴です。
Genie 3についてGoogleDeepMindよりモデルの発表はなされたものの、リリースの予定は正式にはされていません。
今回の記事では、具体的な使い方や料金の予想を見ていただきました。
様々なユースケースにおいて活躍が期待できるGenie 3です。
いつからGenie 3を利用できるのか、今後の動きに注目していきましょう。