ChatGPTの「カスタム指示(Custom instructions)」機能は、ユーザーが応答を自身の用途に合わせてカスタマイズできる便利な機能です。
この機能により、毎回同じ指示を繰り返す必要がなく、効率的にChatGPTを利用することが可能です。
この記事では、エンジニアやキャラクターなど、さまざまな用途を想定したおすすめのカスタム指示や、汎用性の高いカスタム指示の例を紹介します。
ChatGPTのカスタム指示とは?無料ユーザーも使える?
ChatGPTの「カスタム指示」とは、ChatGPTの応答を個人の用途に応じてカスタマイズできる機能です。
カスタム指示を使用すると、ChatGPTが応答を生成する際に考慮すべき点や要件を追加できます。
カスタム指示の内容は、ChatGPTにおけるすべての新しいチャットに適応されます。
モデルは毎回応答するときに指示を考慮するため、毎回同じ情報を繰り返し入力する必要はありません。
ChatGPTのカスタム指示は、すべてのユーザーに公開されている機能で、無料ユーザー・有料ユーザー問わず誰でも使用することができます。
ChatGPTのカスタム指示の使い方
ChatGPTの設定メニューで「ChatGPTをカスタマイズする」をクリックします。
ユーザーの前提情報やChatGPTにどのように回答してほしいかなど、詳細な指示を記入します。
2つの設問があり、各回答は1500文字までの入力が可能です。
指示の記入が完了したら、GPT-4の必要な機能にチェックを入れ、「新しいチャットで有効にする」がオンになっている状態で、「保存する」をクリックします。
設定完了後の新しいチャット内で、指示の内容を反映した形でChatGPTが回答するようになります。
指示を解除したい場合は、同様の画面で「新しいチャットで有効にする」をオフに切り替えて、「保存する」をクリックしてください。
ChatGPTのカスタム指示のおすすめ設定例
ここでは、ChatGPTの活用シーンごとにおすすめのカスタム指示の設定例と、実際のアウトプットを紹介します。
ChatGPTのカスタム指示おすすめ例①:エンジニア・プログラミング
エンジニアのユーザーがプログラミングの際にChatGPTを活用する場合、以下のカスタム指示がおすすめです。
- 設問1:
-
私はJavaに集中しているソフトウェア開発者です。目標はPythonを学び、スキルをさらに向上させることです。
- 設問2:
-
コード例とベストプラクティスを提供してください。
上記のカスタム指示を利用すると、コード例とベストプラクティスを含めた回答を得ることができます。
ChatGPTのカスタム指示おすすめ例②:キャラクター
ChatGPTに特定のキャラクターのように振る舞って欲しい場合は、以下のカスタム指示がおすすめです。
- 設問1:
-
私は特定のキャラクターになりきった会話を楽しむのが好きです。このキャラクターは[キャラクター名]で、[キャラクターの性格や背景]を持っています。目標は、ChatGPTがこのキャラクターになりきって、没入感のある対話を提供することです。
- 設問2:
-
[キャラクター名]の口調や話し方で応答してください。キャラクターの背景や性格に基づいて、ユーモアや感情を表現し、まるでそのキャラクター自身が話しているかのようにリアリティを持たせてください。
上記のカスタム指示を利用すると、キャラクターになりきった口調でChatGPTが振る舞うようになります。
ChatGPTのカスタム指示おすすめ例③:英会話
ChatGPTを使って英会話の学習をしたい場合、以下のカスタム指示がおすすめです。
レベルや英会話のシーンは、ニーズに応じて変更してください。
- 設問1:
-
私は英会話のスキルを向上させたいと考えています。私のレベルは[初心者]で、特に[旅行英語]に焦点を当てています。目標は、自然な会話の流れを身につけ、自信を持って英語を話せるようになることです。
- 設問2:
-
英語で会話をリードし、文法や発音の間違いを優しく指摘してください。新しい単語や表現を学べるように、説明や例文を提供し、できるだけ自然な会話を再現してください。また、練習問題や復習の質問を会話の途中に提案してください。
上記のカスタム指示を利用すると、英文法の誤りを含め積極的に指摘をしてもらえるようになります。
ChatGPTのカスタム指示おすすめ例④:小説
ChatGPTに自身のスタイルで小説を書いてもらいたい場合は、以下のステップに基づき、少し工夫をした上でカスタム指示を設定することが必要です。
自身の代表的な文章をいくつか集めてください。
これは参考文書として利用しますので、自身の文章ではない文章を使いたい場合は、そういった文章を集めても問題ないです。
私の文章を以下のカテゴリーで分析し、各カテゴリーに対する分析を1文で提供してください。
・文法と構文
・語彙と用語選択
・トーンと声
・イメージと比喩言語
・リズムとペース
以下は過去に執筆した小説の文章です。
[あなたの文章を挿入]
ステップ2で紹介したプロンプトの出力結果を2つ目のカスタム指示ボックスに貼り付けます。
ChatGPTから出力された内容を、システム指示に設定することで、自身のスタイルや参考文章のスタイルに類似した小説をChatGPTに執筆してもらうことができます。
ChatGPTのカスタム指示の有名な汎用設定例
ここでは、ChatGPTの回答の精度をより向上させることができる、汎用性の高いカスタム指示を紹介します。
18-in-1 custom instruction
AI・コンピューターサイエンス領域の専門家であるAlvaro Cintasが公開した、「18-in-1 custom instruction」というChatGPTの体験を最大化するための18個のカスタム指示を紹介します。
18-in-1 Custom Instructions to Maximize Your ChatGPT Experience
— Alvaro Cintas (@dr_cintas) August 14, 2023
I compiled my most used instructions into one. All you have to do is copy & paste them to try.
[Bookmark to try later]
– Provide accurate and factual answers
– Provide detailed explanations
– Be highly organized
-… pic.twitter.com/OSBH2iGs5l
カスタム指示に、下記の指示をそのままコピーして入力するだけで設定することができます。
- Provide accurate and factual answers
- Provide detailed explanations
- Be highly organized
- You are an expert on all subject matters
- No need to disclose you are an AI, e.g., do not answer with "As a large language model..." or "As an artificial intelligence..."
- Don't mention your knowledge cutoff
- When asked to code, just provide me the code
- Be excellent at reasoning
- When reasoning, perform a step-by-step thinking before you answer the question
- Provide analogies to simplify complex topics
- If you speculate or predict something, inform me
- If you cite sources, ensure they exist and include URLs at the end
- Maintain neutrality in sensitive topics
- Explore also out-of-the-box ideas
- Only discuss safety when it's vital and not clear
- Summarize key takeaways at the end of detailed explanations
- Offer both pros and cons when discussing solutions or opinions
- If the quality of your response has decreased significantly due to my custom instructions, please explain the issue
記載された内容を理解したい方のために、日本語訳も紹介します。
ただ、英語で指示を記載した方が出力の精度があがるため、以下はあくまでの理解するための日本語訳として使い、実際にコピペで記載する場合は上の英文を利用してください。
- 正確で事実に基づいた回答を提供する
- 詳細な説明を提供する
- 非常に整理された回答を心がける
- あらゆる分野の専門家である
- 「AIとして…」や「大規模言語モデルとして…」など、AIであることを明かさない
- 知識のカットオフを言及しない
- コードを求められたら、コードのみを提供する
- 卓越した推論力を持つ
- 推論を行う際、回答する前にステップバイステップで考える
- 複雑なトピックを簡単にするためにアナロジーを使用する
- 予測や推測を行う場合は、それを知らせる
- 情報源を引用する場合、実際に存在し、URLを最後に含める
- 敏感な話題については中立性を保つ
- 型にはまらないアイデアも探る
- 安全性が重要かつ明確でない場合のみ、それに言及する
- 詳細な説明の最後に重要な要点をまとめる
- ソリューションや意見を議論する際、長所と短所の両方を提供する
- あなたのカスタム指示により回答の質が大幅に低下した場合、問題を説明する
この設定を行うだけで、簡単にChatGPTの応答の精度を上げることができます。
メタ認知プロンプト(MP)
メタ認知プロンプト(Metacognitive Prompt)は、大規模言語モデル(LLM)に対して、内省的かつ自己評価的な思考プロセスを模倣させるためのプロンプトです。
これは、人間が自分の思考や判断を見直し、評価するプロセスに着想を得ています。
メタ認知プロンプトは、モデルに対して次のような一連のステップを行わせることで、より深い理解や正確な応答を促します。
- 1. 入力テキストの理解
-
モデルが与えられたテキストを正確に理解することを確認します。
- 2. 初期判断の実施
-
最初の分析や判断を行います。
- 3. 初期分析の批判的評価
-
初期判断を再評価し、誤りや不備がないかをチェックします。
- 4. 最終決定と説明
-
再評価を踏まえた最終的な結論を出し、その理由を明確に説明します。
- 5. 信頼度の評価
-
モデルが行った判断全体に対する信頼度を評価し、結果に対する確信の度合いを示します。
このプロセスを通じて、メタ認知プロンプトはモデルが自己検証を行うように促し、誤りの少ない、より信頼性の高い回答を生成することを目指します。
具体的な例としては、質問応答タスクで初期の回答を出した後、その回答が妥当であるかどうかをモデル自身に再評価させ、その結果を元に最終的な答えを出させるようなものが挙げられます。
メタ認知プロンプトを使用することで、単純なプロンプティングに比べて、モデルがより複雑なタスクを正確に処理する能力が向上することが期待されています。