YouTube、AI動画生成技術「Veo 3」をショートに今夏導入予定

動画共有プラットフォームのYouTubeは、Googleが開発した最先端のAI動画生成モデル「Veo 3」を、短尺動画サービスのYouTubeショートに導入すると発表しました。この発表は、YouTubeのCEOニール・モハン氏がフランスのカンヌで開催された広告祭「カンヌライオンズ」の基調講演で行ったものです。

「Veo 3」はテキストの指示を基に映像と音声を自動生成するAI技術であり、従来の動画制作プロセスを大幅に効率化するとともに、新たな表現の可能性を広げることが期待されています。YouTubeはすでに旧世代の技術「Veo」を活用した背景生成ツール「Dream Screen」を提供していますが、「Veo 3」はそれを大きく上回る性能を持つ次世代版となります。2023年に初めて公開され、その後も継続的に改良が進められてきました。

モハン氏は講演の中で、「AIの可能性は無限であり、私たちが知るエンターテインメントの姿も、この20年で劇的に変化しました。クリエイターたちは新しいフォーマットを生み出し、ジャンルの垣根を超えて主流へと進出しています」と語り、AI技術が人間の創造性の限界を広げるだろうとの見通しを示しました。

既にVeo 3で作られた動画はSNS上で広く拡散されており、歴史上の人物や架空のキャラクターが動画ブロガーとして登場するユニークな作品が注目されています。モハン氏は、YouTubeショートでの「Veo 3」の活用によって、クリエイターたちがさらに創造性を追求できるようになると強調しました。

YouTubeショートは2021年のサービス開始以降、短尺動画の分野でTikTokやInstagramのリールと競合し、戦略的に重要な位置づけとなっています。現在では1日の平均視聴回数が2000億回を超えるなど、驚異的な成長を遂げています。こうした背景から、「Veo 3」の導入により、競争力を一層強化する狙いがあると見られています。

またYouTubeは、クリエイターがエンターテインメント業界を再定義し、新たな雇用を創出している現状にも触れました。一部のクリエイターは資金調達を行い、本格的な制作スタジオを構築するなど、動画制作の産業化を進めています。モハン氏はクリエイターを「ハリウッドのスタートアップ」と表現し、今後もクリエイターたちが映像制作の最前線で大きな影響力を発揮すると述べています。

YouTubeは「Veo 3」の導入を今年夏の後半に予定しており、この連携が動画プラットフォームの未来にさらなる刺激を与えるか注目されます。


出典:YouTube to Add Google Veo 3 AI Video Tool to Shorts

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