
TypelessとAqua VoiceはどちらもAIを活用した音声入力ツールですが、入力体験や料金、安全性には明確な違いがあります。
本記事ではTypelessとAqua Voiceを比較し、どこの国のサービスか、使い方や料金の差、安全性の観点まで一括で整理しました。用途に合ったツールを選ぶ判断材料としてご活用ください。
TypelessとAqua Voiceの比較|全体像を確認

TypelessとAqua Voiceの比較にあたって、まずは結論と全体像を押さえておきましょう。
ここでは用途別のおすすめ、比較表による俯瞰、そしてそもそもの設計思想の違いを整理します。

用途別にどちらが向いているかをチェック
Typelessが向いているのは、長文入力で高精度を保ちつつまとまった量の文章を声で書きたい方です。話した内容を丁寧に整文してくれるため、話し言葉特有の「えーと」「あのー」といったフィラーの除去や文体の統一に強みがあります。話した内容に応じて、フォーマットも自動で整えてくれます。
一方、Aqua Voiceが向いているのは、メールやチャットなど、短めの文章を話すだけで整った文面にしたい方です。入力速度も速く、サッと話して即テキスト化したい人にぴったりでしょう。
まとめると、高精度での長文×整文の品質重視ならTypeless、メールやチャットなどの短文×手軽さ重視ならAqua Voiceという選び方が基本の軸になります。
比較表で料金や対応OSなど全体像を確認
両ツールの基本的な情報を一覧で比較できるよう、主要な項目を表にまとめました。
| 比較項目 | Typeless | Aqua Voice |
|---|---|---|
| 向いている用途 | 長文の入力 正確で違和感のない文章づくり | メールやチャットの短文 スピード重視 |
| 主な入力先 | 任意のテキスト欄 | 任意のテキスト欄 |
| 対応OS | Windows macOS iOS Android | Windows macOS |
| 無料枠 | 4,000語/週 | 1,000語(累計) |
| 有料プラン目安 | Pro月払い:$30/月 Pro年払い:$144/年 | Pro 月払い:$10/月 Pro 年払い:$96/年 Team 月払い:$15/月 Team 年払い:$144/年 |
| データの学習利用 | しない | 原則しない※ |

比較の際は「音声入力」と「音声で整文する」の違いを理解しよう
TypelessとAqua Voiceを比べるときに混乱しやすいのが、同じ「音声」でも目的が違う点です。
音声入力は、キーボードの代わりに音声で文字を入れる発想です。重要なのは、誤変換が少ないことと、誤変換が出たときにすぐ直せることです。
一方で音声で整文するというのは、話した内容を読みやすい文章に整える工程まで含みます。例えば、句読点の追加、箇条書きの作成、口語から文語への変換、要点抽出などがどこまで自然にできるかが焦点になります。「えー」「あー」などのフィラー除去もこちらに含まれます。
利用シーン別に見る選び方は?
具体的な利用シーンごとに、どちらが適しているかを整理しておきましょう。
ブログや報告書など長めの執筆には、Typelessの方が整文力が発揮されます。口語で話した内容を丁寧に整文して自然な文章にしてくれるため、下書きとしてそのまま使える品質を期待できます。
一方、メール・チャットなど比較的短いテキストの入力であれば、Aqua Voiceの高速な文字起こしが活きるはずです。特に数が溜まっている際は、テキパキと素早くさばけるでしょう。
開発においては、Typeless・Aqua Voice、どちらも辞書ツールを使って専門用語を登録するのがおすすめです。他のコーディング特化AIでコードを生成し、レビューコメントを音声で入力すれば、キーボードに触れる機会を激減させられるかもしれません。レビューコメント入力用に使うなら、短文の処理が早いAqua Voiceの方がスムーズに開発に取り組みやすいでしょう。
TypelessとAqua Voiceはどこの国のAI?運営会社と拠点を確認

ツール選定の際、「どこの国のサービスか」は信頼性やサポート面で気になるポイントです。
ここではTypelessとAqua Voiceそれぞれの運営会社・拠点を一次情報をもとに確認します。
Typelessの運営会社・開発拠点
Typelessは、カリフォルニア州を拠点としています。
会社
Simply CA LLC
出典:概要 | Typeless AI音声入力
カリフォルニア州、アメリカ合衆国
準拠法はカリフォルニア州法となります。利用規約の下記部分に記載されています。
Governing Law
These Terms will be governed by California law, excluding its conflict of laws principles. However, some countries, including those in the European Union, have laws that require agreements to be governed by the local law of the user’s country. This paragraph does not override those laws.和訳:
準拠法
本規約は、抵触法の原則を除き、カリフォルニア州法に準拠するものとします。ただし、欧州連合(EU)加盟国を含む一部の国では、契約をユーザーの居住国の現地法に準拠させることを義務付ける法律が存在します。本項は、それらの法律に優先するものではありません。
出典:利用規約 | Typeless AI音声入力
Aqua Voiceの運営会社・開発拠点
Aqua Voiceも、アメリカ合衆国を拠点としています。公式サイト上では所在地などの詳細情報の掲載は限定的ですが、シリコンバレーを拠点とするスタートアップ企業への投資アクセラレーター「Y Combinator」および「LinkedIn」で、San Francisco(サンフランシスコ)を拠点としている旨が確認できます。
なお、利用規約上に準拠法の明記はありません。紛争についてはデラウェアでの仲裁が定められていますが、準拠法については別途公式情報の確認が必要です。
Dispute Resolution
The parties shall use their best efforts to settle any dispute, claim, question, or disagreement arising out of or relating to the subject matter of these Terms directly through good-faith negotiations, which shall be a precondition to either party initiating arbitration. If such negotiations do not resolve the dispute, it shall be finally settled by binding arbitration in Delaware, United States. The arbitration will proceed in the English language, in accordance with the JAMS Streamlined Arbitration Rules and Procedures then in effect, by one commercial arbitrator with substantial experience in resolving intellectual property and commercial contract disputes.和訳:
紛争解決
当事者は、本規約の主題に起因または関連して生じるいかなる紛争、請求、疑問、または意見の相違についても、誠実な交渉を通じて直接解決するよう最善の努力を払うものとし、これはいずれの当事者も仲裁を開始する前提条件とする。かかる交渉により紛争が解決されない場合、当該紛争は米国デラウェア州における拘束力のある仲裁により最終的に解決されるものとする。仲裁は、JAMS簡易仲裁規則及び手続(その時点で有効なもの)に従い、知的財産権及び商業契約上の紛争解決に豊富な経験を有する1名の商業仲裁人により、英語で行われる。
出典:Terms of Service – Aqua Voice
海外ツールとして確認すべきポイント
TypelessもAqua Voiceも海外製ツールであるため、導入前に以下の3点を確認しておくことをおすすめします。
- 請求通貨
-
どちらもUSD(米ドル)での決済が基本となるため、為替変動によって実質的な月額費用が変わります。クレジットカードの海外事務手数料も考慮しておきましょう。
- サポート体制
-
いずれも英語でのサポートが中心となります。日本語での問い合わせに対応していたとしても、英語でやり取りを行った方がスムーズな可能性もある点を考慮に入れておきましょう。
- 学習利用
-
Typelessは学習利用しませんが、Aqua Voiceは設定によって収集と保持の扱いが変わる可能性があるため注意が必要です。
TypelessとAqua Voiceの使い方を比較|入力体験の違いを整理

TypelessとAqua Voiceの使い方は非常に似通っています。
ここでは、どのような操作で音声入力をするか整理します。
入力フローの違い
Typelessのインストールが完了したら、任意のテキスト入力欄で録音ボタン(初期設定は右Alt)を押しながら話してみましょう。話し終えたタイミングで、テキストがカーソルの位置に自動で入力されます。
AIによる誤字修正や句読点の挿入が自動で行われ、フィラーもしっかりと除去されます。

Aqua Voiceの場合も入力フローは同様です。
デスクトップアプリを起動した状態で、自分で割り当てた任意の録音ボタン(初期設定は右Alt)を押しながら話します。話し終えるとAIが内容を解析し、今自分がカーソルを置いている場所(例:メール入力画面・テキストファイルなど)に自動で入力されます。

整文・音声コマンド・専門用語への対応力
Typeless、Aqua Voice、いずれもフィラー除去や句読点の調整に対応しており、日常的な文章入力では十分実用的です。ただし、精度はマイクや話し方などの環境によって差が出ることには注意が必要です。また、いずれも音声で文体を変えたり、翻訳をさせたりすることができます。
例として下記をご覧ください。
TypelessもAqua Voiceも、音声コマンドで様々な操作ができます。
上記のテキストを選択した状態で、Typelessで「英語に翻訳して」と指示を出します。そうすると、自動で下記の英文に書き換えられました。
Both Typeless and Aqua Voice allow you to perform various operations using voice commands.
日本語で話して音声入力し、そのまま英訳をするといった使い方ができます。単なる音声入力に留まらず、様々なシーンで活躍するツールだと言えるでしょう。
継続利用で差が出るポイント
どちらも正確に文字起こししてくれますが、Typelessの方が僅かに精度が高いです。手動で行う細かい修正などを考慮するとTypelessを使い続けた方がノンストレスかもしれません。
反面、入力速度においてはAqua Voiceに軍配が上がります。ちょっとしたメールやチャットの返信など、短文を頻繁に音声入力する機会が多いなら、Aqua Voiceの方が適している可能性が高いです。
なお、専門用語や固有名詞への対応は、どちらのツールも完璧ではありません。いずれも辞書機能が搭載されているので、頻出する用語を事前に設定するのがおすすめです。
また、料金面でも差が生じます。Typelessの方が料金が高いので、ランニングコストがかさんでしまう点は留意しておきましょう。料金について、このあと詳しく取り上げます。
TypelessとAqua Voiceの料金を比較|無料枠と有料プランの違い

TypelessとAqua Voiceの料金体系には、無料で試せる範囲や有料プランの構成に違いがあります。導入前に正確な費用感を把握しておきましょう。

無料枠でどこまで試せるか
Typelessには無料プランが用意されています。1週間あたり4,000語と利用可能枠の制限はあるものの、基本的な音声入力と自動整文の機能を試すことができるでしょう。また、30日間の無料トライアルも用意されています。
対してAqua Voiceは、無料アカウントの場合トータルで1,000語までしか利用できません。1,000語の無料枠を使い切ってAqua Voiceを引き続き利用したい場合は、有料契約が必須となるので注意しましょう。
有料プランの内容と価格差
改めて、TypelessとAqua Voiceの有料プランの内容と価格差を表でまとめました。それぞれ順番に紹介します。
Typelessの料金プランや有料機能は下記の通りです。
| Typeless | Free | Pro |
|---|---|---|
| 月額 | $0 | $30 / メンバー / 月 |
| 年額 | $144 / メンバー / 年 | |
| 利用可能な単語数/週 | 4,000語 | 無制限 |
| AI自動編集 (音声入力) | 可能 | 可能 |
| 辞書に単語追加 | 可能 | 可能 |
| 対応言語 | 100以上 | 100以上 |
| 優先的な機能リクエスト | 不可 | 可能 |
| 新機能の早期アクセス | 不可 | 可能 |
| チームメンバー管理 | 不可 | 可能 |
| デバイス対応 | Windows / macOS / iOS / Android | Windows / macOS / iOS / Android |
| クラウド内のデータ保持なし | 可能 | 可能 |
| データのトレーニング利用なし | 可能 | 可能 |
| デバイス内履歴保存 | 可能 | 可能 |
| 音声入力履歴管理 | 可能 | 可能 |
Aqua Voiceの料金プランや有料機能は下記の通りです。
| Aqua Voice | Starter(Free) | Pro | Team |
|---|---|---|---|
| 月額 | $0 | $10/月 | $15/月 |
| 年額 | $96/年 | $144/年 | |
| 利用可能ワード数 | 累計1,000語 | 無制限 | 無制限 |
| モデル | Aqua Engine | Avalon | Avalon |
| カスタム辞書 | 5件 | 800件 | 800件 |
| カスタム指示 | 不可 | 可能 | 可能 |
| チーム管理 | 不可 | 不可 | 可能 |
| 組織全体でプライバシーモード強制 | 不可 | 不可 | 可能 |
プライバシーモード自体は、無料プランのStarterやProプランでも問題なく利用できます。
料金面での判断軸を整理
料金面では、Aqua Voiceの方が月額・年額ともに低価格です。ただ、Aqua Voiceは無料プランだと1,000語までしか利用できません。その点では、週に4,000語まで使えるTypelessの方が気軽に試しやすく使いやすいサービスだと言えます。
なお、値が張るTypelessには30日間の無料トライアルが設けられています。一定期間は制限なく全機能を利用可能です。
Aqua Voiceには無料枠(1,000語)が用意されており、アカウント登録後すぐに試すことができます。
TypelessとAqua Voiceの安全性を比較|データ保持と学習利用を確認

業務で音声入力ツールを使う場合、安全性の確認は欠かせません。
ここでは公式に明示されている情報をもとに、TypelessとAqua Voiceのデータ取り扱いを整理します。
データ保持・学習利用・第三者提供を比較
音声入力ツールの安全性を評価するうえで重要な3つの観点を比較します。
| 項目 | Typeless | Aqua Voice |
|---|---|---|
| トランスクリプトデータの保持 | 保持しない (クラウド処理後に破棄) | Privacy Mode ONで保持しない |
| AIモデルへの学習利用 | 利用しない | 原則利用しない※ |
| 第三者へのデータ提供 | 提供しない | 原則提供しない※ |
それぞれのサービスにおけるデータ保持ポリシーなどについて、当該部分を公式サイトから引用します。
Typelessの場合、公式サイトに下記の文言が記載されています。
プライバシーを重視した設計:
データ保持ゼロ
出典:Typeless 公式サイト
データは保存・学習に一切使用しません
すべてはデバイス上にローカルに保存されます
Aqua Voiceの場合は利用規約の下記の部分に記載されています。
How Aqua Voice Uses Your Data
We do not allow third parties (like OpenAI or Anthropic) to use your data to train their AI models.
Aqua Voice WILL NOT USE CONTENT TO TRAIN, OR ALLOW ANY THIRD PARTY TO TRAIN, ANY AI MODELS, UNLESS YOU’VE EXPLICITLY AGREED TO THE USE OF CONTENT FOR TRAINING.
和訳:
アクアボイスによるデータの利用方法
当社は、第三者(OpenAIやAnthropicなど)がAIモデルのトレーニングにあなたのデータを利用することを許可しません。
アクアボイスは、コンテンツをトレーニングに使用したり、第三者にAIモデルのトレーニングを許可したりすることはありません。ただし、トレーニング目的でのコンテンツ利用に明示的に同意した場合を除きます。
出典:Aqua Voice 公式サイト
また、Aqua Voiceの場合はPrivacy Modeを利用することでデータ保持を阻止できます。

いずれのツールも、利用前に公式のPrivacy Policyを一読し、自社のセキュリティポリシーと照合することをおすすめします。
設定で変わる範囲を確認
Typelessは公式の情報上、データ保持や学習利用を行わない方針が示されています。業務利用では念のためにPrivacy Policy等を確認し、自社ポリシーと確認すると安心です。
Aqua Voiceの場合は、設定からプライバシーモードをオンにしましょう。プライバシーモードをオンにすることで、音声データを保存されたり、トランスクリプトデータを製品改善のために送信されてしまったりといった事態を避けられます。
いずれにしろ、Typeless・Aqua Voiceともに、公式情報上はデータ保持や学習利用に配慮した設計とされています。要件と設定を確認したうえで、業務利用の選択肢として検討できるツールです。
業務利用時のチェックリスト
業務でTypelessまたはAqua Voiceを導入することを検討する場合、最低限確認しておきたい項目を整理します。
- 機密情報の取り扱い
-
運用面における機密情報の取り扱いを厳格に評価しましょう。入力される情報に機密情報が含まれる場合、そのリスクを許容できるか、あるいは代替的な運用フローが確立されているかを明確に定義することが求められます。
- コンプライアンスを徹底する
-
どちらのツールも音声という生体情報を扱う性質上、録音や保存に関する社内規定の遵守、および関係者からの適切な合意形成が必須条件となります。
- セキュリティポリシーとの整合性
-
組織的な統制を維持するために、管理者による一括制御機能や操作履歴を記録する監査ログを管理することも重要です。データ保持期間の扱いや、必要に応じて即時にデータを完全に抹消できるかも事前に明確にしておきましょう。なお、Typeless・Aqua Voice、いずれもクラウド保持はされませんが、ローカルには履歴が保存されている点を留意するべきです。
まとめ
本記事では、TypelessとAqua Voiceの比較を「どこの国のサービスか」「使い方と入力体験の違い」「料金」「安全性」の4つの軸で整理しました。
改めてポイントをまとめると、長文の執筆や報告書の作成など、話した内容を書き言葉として仕上げたい方にはTypelessが適しています。一方で短文のメールやチャットを素早くさばきたい方にはAqua Voiceの方が適しているでしょう。
どちらも無料枠やトライアルが用意されていますので、まずは普段の業務で実際に試してみるのが最も確実な判断方法です。なお、料金や安全性に関する最新情報は、必ず各公式サイトでご確認ください。
