米国の大手携帯通信会社T-Mobileは、OpenAIと提携し、顧客対応の効率化を目指すAIプラットフォーム「IntentCX」を立ち上げることを発表しました。
このプラットフォームは、T-Mobileの「T-Life」アプリを通じて収集される顧客のインタラクションデータを活用し、カスタマーサービスを自動化します。
インタラクションデータとは、顧客がT-Mobileのサービスやアプリ、サポート窓口などとどのようにやり取りしたかを記録したデータのことです。
具体的には、過去の問い合わせ内容、アプリやウェブサイトでの操作履歴、ネットワークの利用状況、店舗での対面サポートなど、顧客がT-Mobileと接触した際のあらゆる行動が含まれます。
このデータをAIが分析することで、例えば通話が途切れた後に顧客が問い合わせをした際、AIが過去の履歴やリアルタイムのネットワーク情報を基に自動で対応できるようになります。
これにより、通常ならカスタマーサポート担当者が対応するようなタスクを、AIが迅速に処理できるようになるのです。
T-MobileのCEOであるマイク・シーヴァート氏は、IntentCXが顧客離れを防ぐためにも役立つと説明しました。
過去に解約した顧客のインタラクションデータをAIが分析し、解約の理由を特定することで、同じ問題が起こる前に対応を講じ、将来的な顧客の流出を防ぐことができるとしています。
通信業界では安定した収益を確保するために、顧客の維持が非常に重要視されており、IntentCXはその課題に対する有力な解決策として期待されています。
さらに、OpenAIのCEOであるサム・アルトマン氏は、顧客データの安全性について強調しました。
T-Mobileのデータは他の企業のデータと混合されず、OpenAIの基盤モデル(例えばChatGPT)をトレーニングするためには使用されないことが保証されています。
「それはT-Mobileのデータであり、他の顧客のデータと共有されることはない」とアルトマン氏は述べています。
このAIプラットフォームは2025年に本格稼働する予定で、T-Mobileはこの提携を通じてさらなるAI対応サービスの開発も進める計画です。
IntentCXの導入により、T-Mobileは顧客対応の効率化を図り、通信業界での競争力を一層強化することを目指しています。