Photoshopの生成塗りつぶしとは?使い方やプロンプトのコツ!商用利用も可能

Adobe Photoshopには生成塗りつぶし機能が搭載されており、生成AIを活用して選択した範囲の要素を削除・追加・置換ができ、背景の拡張も可能です。

前提条件を守れば商用利用も許可されているため、ビジネス用途でも問題なく活用できます。

この記事では、生成塗りつぶしの概要や使い方を解説します。

また、思い通りの画像を生成するためのプロンプトのコツもご紹介します。

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目次

Photoshopの生成塗りつぶしとは?

Photoshopの生成塗りつぶしは、Adobeの生成AI「Firefly」を標準モデルとした画像生成機能です。

まずは概要やできることについてご紹介します。

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生成塗りつぶしの概要

簡単な日本語のプロンプトを入力するだけで、画像内に新しいオブジェクトを追加したり、不要なものを自然に消したりすることができます。

選択した範囲の周辺情報や入力されたテキストをAIが解釈し、違和感のないように新しい画像を生成してくれるのが最大の特徴です。

さらに、生成塗りつぶしを使用した画像は、前提条件を守ることで商用利用も可能です。

これにより、従来は時間のかかっていた複雑な編集作業が、誰でも直感的に行えるようになりました。

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できること

生成塗りつぶし機能でできることは多岐にわたります。

オブジェクトの追加が可能で、プロンプトで指示するだけで写真に存在しない人物や動物、小物を違和感なく生成できます。

次に、写り込んでしまった不要な人物や電線などを選択するだけで、AIが背景を補完しながら自然に除去してくれます。

さらに、被写体を切り抜いた後の背景をまるごと差し替えたり、写真のキャンバスサイズを広げた際に画像の続きをAIに描かせることも可能です。

これらの編集は元の画像に影響しない「生成レイヤー」として作成されるため、いつでも再編集やバリエーションの比較検討が簡単に行えるのが特徴です。

対応環境と前提

生成塗りつぶしを使用するには、いくつかの条件を満たす必要があります。

まず、Photoshopのバージョンが25.0以降であることが必須です。

バージョンは「ヘルプ」の「システム情報」から確認可能です。

また、編集する画像のカラーモードは「RGBカラー」が推奨されています。

レイヤーがロックされていたり、クリッピングマスクが適用されていたりすると機能が使えない場合があるため、事前に解除しておきましょう。

さらに、オンラインで処理を行うためインターネット接続が必須であり、利用にはAdobeアカウントへのサインインが必要です。

なお、この機能はデスクトップ版だけでなく、iPad版やWeb版にも提供されており、さまざまなデバイスで活用可能となっています。

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使用できるモデル

生成塗りつぶしでは、アドビが自社で開発したAdobe Firefly Image モデルを基盤としています。

このモデルはAdobe Stockの許諾済みコンテンツなどを学習しているため、商用利用における安全性が高く設計されているのが最大の特徴です。

クリエイターは、安心してビジネス用途に活用できます。

さらに、AdobeはGoogleと提携し、ベータ版でGoogle Gemini 2.5 Flash Image(別名「Nano Banana」)をモデル選択して利用可能になりました。

これにより、Googleの強力な生成モデルをPhotoshop内で活用できます。

生成拡張・コンテンツに応じた塗りつぶしとの違い

「生成塗りつぶし」と似た機能に「生成拡張」と「コンテンツに応じた塗りつぶし」があります。

スクロールできます
機能生成AIプロンプト入力インターネット接続特徴得意領域
生成塗りつぶし使用必要必要生成AIによる高度な編集合成・置換・創造的生成
生成拡張使用任意必要画像の拡張に特化画像の余白拡張
コンテンツに応じた塗りつぶし不使用不要不要結果を高速に出力単純な背景の延長・単純な物体の削除

生成拡張は画像のキャンバスを広げる際に、足りない部分を生成AIが自然に描き足す機能です。

一方コンテンツに応じた塗りつぶしは、周囲のピクセルを解析して似たテクスチャで選択範囲を埋める機能であるため、シンプルな背景の修正や不要物の除去に適しています。生成AIは使用されておらず、インターネット接続がなくても使用可能です。

それに対し、生成塗りつぶしはAIが新しい画像をゼロから作り出すため、複雑な背景の除去や、プロンプトによるオブジェクトの追加など、よりクリエイティブで高度な編集が可能です。

Photoshopの生成塗りつぶしの使い方

ここではPhotoshopの生成塗りつぶしについて、各用途別の手順や困ったときの対処法を分かりやすく解説します。

この記事では以下の画像に対して生成塗りつぶしを適用していきます。

不要物を削除する手順

生成塗りつぶしで不要物を削除するための手順は以下の通りです。

STEP
変更領域を選択

選択ブラシツールなどの選択ツールを使用して、削除したい領域を選択します。

今回は画像中央の人影を削除することにしました。

STEP
生成塗りつぶしをクリック

表示されるコンテキストタスクバーにある「生成塗りつぶし」をクリックすると、プロンプトの入力バーが出てきます。

不要物を削除する場合、プロンプトは不要なのでそのまま「生成」をクリックしましょう。

STEP
変更後の画像を確認

しばらくすると選択した領域内の物体が削除されたレイヤーが生成されます。

バリエーションは3つ生成されるため、好きなものを選びましょう。

もし気に入ったものがなければ、「生成」をクリックすることで再度生成が可能です。

今回作成した画像がこちらです。

元画像の人影が自然に削除されていることが分かります。

要素を追加する手順

続いて、画像内に新たな要素を追加する手順を解説します。

STEP
追加したい領域を選択

先ほどと同様、選択ツールを用いて要素を追加したい領域を選択します。

STEP
生成したいものをプロンプトに記述

「生成塗りつぶし」をクリックし、プロンプトに生成したいものを入力します。

今回は「中型サイズの船」を生成するように入力しました。

プロンプトを入力できたら、「生成」をクリックします。

STEP
生成後の画像を確認

しばらくすると、指定した要素が追加されたレイヤーが生成されます。

こちらもバリエーションが3つ生成されるため、好きなものを選びましょう。

気に入ったものがなければ、「生成」をクリックして再生成できます。

今回作成した画像はこちらです。

背景を広げる手順

画像の背景を広げるには、生成拡張機能を使用します。

背景を広げる手順は以下の通りです。

STEP
切り抜きツールで画像サイズを指定

まずは切り抜きツールを選択します。

切り抜きの範囲をもとの画像より大きくし、好みのサイズにします。

STEP
生成拡張をクリック

表示される「生成拡張」をクリックします。

プロンプトは入力してもしなくても大丈夫です。

今回は何も入力せずに続けます。

「生成」をクリックすることで生成拡張が始まります。

STEP
生成後の画像を確認

しばらくすると、背景が拡張されたレイヤーが生成されます。

この機能でも、一度にバリエーションが3つ生成されるほか、気に入ったものがなければ「生成」をクリックして再生成が可能です。

今回作成できた画像がこちらです。

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使う際のつまずき対処

生成塗りつぶしがうまく機能しない場合は、いくつかの点を確認しましょう。

生成機能はサーバー上で処理されるため、サーバーが混み合っている場合や、インターネット接続が不安定な場合は生成できません。

また、不適切な単語は入力できないため、表現を変えて試してみましょう。

アドビの生成AI機能を使用して、虐待的または違法なコンテンツや、他者の権利を侵害するコンテンツを作成、アップロード、共有しようとしないでください。その行為の例を次に示しますが、この例に限定されるものではありません。

出典:Adobe生成AIユーザーガイドライン

生成結果に違和感がある場合は、選択範囲の見直しが有効であり、影や反射を含めて少し広めに選択すると馴染みやすくなります。

生成AIは生成するたびに全く違う結果が得られることがよくあるため、良い結果が出ない時は諦めずに再生成を繰り返すのが一番のコツです。

Photoshopの生成塗りつぶしにおけるプロンプト作成のコツ

Photoshopの生成塗りつぶしを最大限に活用するには、AIに意図を正確に伝えるプロンプトと、適切な選択範囲の作成が鍵となります。

単に単語を並べるだけでなく、どのような要素を組み合わせ、どう選択すればAIがイメージを具現化しやすくなるかを知ることが重要です。

ここでは、基本的なプロンプトの型からより高度な応用テクニック、そして注意すべき弱点まで、具体的なコツを解説します。

ポイントを意識するだけで、生成される画像のクオリティは格段に向上するでしょう。

日本語プロンプトの型

効果的なプロンプトを作成するには、「場所・被写体・状態・質感・スタイル」といった要素を具体的に指定することが基本です。

例えば、単に「犬」と入力するのではなく、「公園の芝生の上で、楽しそうに走っている、ふわふわした毛並みの、ゴールデンレトリバー、写真のようなスタイルで」のように具体的に記述します。

ただし、文章は長くせず、重要なキーワードを読点で区切って並べるのがコツです。

「ゴールデンレトリバー、公園、芝生、走る」などのように単語を読点で区切って与えるのも有効です。

AIが解釈しやすいように短く、具体的かつ明確な言葉を選ぶことを常に意識することで、イメージ通りの結果を得やすくなります。

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選択範囲の作り方

生成結果のクオリティは、選択範囲の作り方に大きく左右されます。

オブジェクトを追加または削除する際は、対象物よりも少し広めに選択範囲を作成するのがポイントです。

これにより、AIが周囲の背景と自然になじませるための余白を確保できます。

また、生成するオブジェクトが落とすであろう影や、水面への反射が映り込むであろう範囲まで含めて選択すると、非常にリアルな生成結果が得られます。

なげなわツールなどを使い、境界線がガタガタにならないようにエッジを丁寧に作成することも違和感をなくすために重要です。

文字やテクスチャの応用

生成塗りつぶしは、単なるオブジェクトの追加・削除だけでなく、クリエイティブなテクスチャや文字表現にも応用できます。

例えば、テキストツールで入力した文字を選択範囲にしてから、「砂に描いた文字」とプロンプトを入力すれば、砂浜に書かれたような文字が生成されます。

同様に、「デニム生地への刺繍」や「革に刻印されたロゴ」といった表現も可能です。

また、画像全体を選択して「しわくちゃの紙のテクスチャ」と指示すれば、写真に古びた質感を加えるなど、多彩なアートワークを手軽に作成できます。

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NGや弱点の把握

生成塗りつぶしには、いくつかの弱点と制約があります。

まず、Adobeのガイドラインにより、暴力的・差別的な表現など、特定の単語はプロンプトとして使用できません。

アドビの生成AI機能を使用して、虐待的または違法なコンテンツや、他者の権利を侵害するコンテンツを作成、アップロード、共有しようとしないでください。

出典:Adobe生成AIユーザーガイドライン

また、実在の人物名や有名なキャラクター、企業ロゴといった固有名詞や商標の生成は苦手としており、正確に再現されません。

人間の指先のような細かい部分や、複雑な幾何学模様のディテールが崩れやすいという弱点もあります。

これらのディテールが破綻した場合は、複数回生成を試したり、部分的に修正を加えたりする対処が必要です。

Photoshopの生成塗りつぶしの商用利用について

Photoshopの生成塗りつぶしをビジネスで利用する場合、商用利用の可否を知っておく必要があります。

最後に、この機能の商用利用や注意点、そしてコスト管理について解説します。

商用利用は可能か

正式版に限り、Photoshopに搭載されている生成塗りつぶし機能で作成した画像は、商用利用が可能です。

Adobeの公式な方針として、この機能の基盤である生成AI「Firefly」が、商用利用しても安全なように設計されていると明言されています。

その最大の理由は学習データの透明性にあり、Adobe Stock等のライセンス済みコンテンツ、オープンライセンス作品、著作権の切れた一般コンテンツを学習データとして使用しています。

生成塗りつぶしは商用利用しても安全ですか?
はい。Firefly生成AIモデルのトレーニングには、Adobe Stockなどの使用許諾を受けたコンテンツと著作権の切れた一般コンテンツが使用されているため、安心して制作に取り組むことができます。

出典:Adobe

これにより、他の画像生成AIで懸念されがちな第三者の著作権を侵害するリスクが大幅に低減されています。

なおFirefly以外のパートナーモデルについては、それぞれ商用利用の確認が必要です。

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守るべきルール

商用利用にあたっては、Adobeが定める生成AIの利用ガイドラインを遵守する必要があります。

最も重要なのは、他者の権利を侵害しないことであり、特定の人物やキャラクター、企業のロゴといった著作権や商標で保護されているものを意図的に生成・利用することは禁止されています。

また、暴力的・差別的・わいせつといった社会通念上不適切な表現(センシティブな表現)の生成も認められていません。

生成された画像に関する最終的な責任は使用者にあるため、公開前に問題がないか注意深く確認することが求められます。

ベータ版の扱い

商用利用のルールを考える上で、正式版とベータ版の区別は非常に重要です。

Adobeの方針では、Photoshopのベータ版アプリで生成したコンテンツはいかなる場合も商用利用が禁止されています。

生成AI機能はPhotoshop(ベータ)アプリで使用できますが、Photoshop(ベータ)アプリで生成されたコンテンツを商用目的で使用することはできません。

出典:Adobe

ベータ版はあくまで新機能のテストという位置づけであり、生成されるコンテンツの権利関係が保証されていないためです。機能名に「Beta」というラベルが付いているか、あるいはアプリのバージョンがベータ版でないかを必ず確認しましょう。

Adobeの製品は頻繁にアップデートされるため、常にアプリ内の表記や公式の利用規約に従うことが大切です。

生成クレジットとコストの基礎

生成塗りつぶしの利用には、「生成クレジット」が必要になります。

これはCreative Cloudの契約プランに応じて、毎月一定数がアカウントに割り当てられます。

主なプランにおける割り当てられるクレジット数は以下の通りです。

スクロールできます
プラン月額料金生成AI機能へのアクセス月間生成クレジット
Creative Cloud Pro9,080円標準/プレミアム標準:無制限アクセス
プレミアム:4,000
Creative Cloud Standard6,480円標準25
PhotoShop
単体プラン
3,280円標準25
(2025年6月17日以前に契約した場合は500)
Adobe Express Premium1,180円標準/プレミアム250
Firefly Standard1,380円標準/プレミアム標準:無制限アクセス
プレミアム:2,000

「生成」ボタンを1回クリックするごとに通常1クレジットを消費します。

プレミアム生成が利用できるプランの場合、クレジットはプレミアム生成に消費されます。月々の割当数を使い切ると標準生成に移行し、こちらは速度は落ちますが無制限に利用できます。

もし高速生成を続けたい場合は、別途クレジットのみを追加購入することも可能です。

出典:Adobe

このように、商用プロジェクトで安心して利用できる一方で、クレジットという形で利用量に応じたコスト管理の仕組みが導入されています。

まとめ

Photoshopの生成塗りつぶしは、画像内の選択した範囲でAIを活用して要素の追加・削除・置換と、背景の拡張ができる機能です。

複雑な編集であっても、AIの力で簡単に行うことができます。

さらに正式版のPhotoshopであれば、生成塗りつぶしを適用した画像は商用利用可能です。

Photoshopを普段から利用している方は、ぜひ試してみてください。

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