
米データ分析企業Palantir Technologies(パランティア・テクノロジーズ)は、2025年度の業績予想を市場予想を上回る水準に引き上げました。同社は、AIソフトウェアへの需要が「抑えきれないほどの自然成長」を示していると分析しており、今回の上方修正を発表後、同社株価は時間外取引で23%以上上昇しています。
具体的には、2025年度の売上高を約37.5億ドル、調整後営業利益を約15.6億ドルと予想。これは、アナリストが予想していた平均(売上高35.4億ドル、営業利益13.7億ドル)を大きく上回る数字となります。
足元の業績も好調で、直近の第4四半期の売上高は前年同期比36%増の8億2,750万ドルを記録しました。特に米国政府向け売上高は45%増の3億4,300万ドル、米国商用事業の売上高は64%増の2億1,400万ドルと、いずれも大幅な伸びを示しています。
決算発表後に行われた電話会議では、イーロン・マスク氏が率いる「政府効率化省(DOGE)」が主導するドナルド・トランプ大統領による連邦政府予算削減に関して質問が飛びました。
これに対し、最高技術責任者(CTO)のシャム・サンカー氏は「Palantirの本当の競争相手は、政府の説明責任の欠如だ」とし、「DOGEは政府に実力主義と透明性をもたらし、より商業市場のように機能するよう促すだろう」と述べました。
アレックス・カープCEOは株主向けレターで、Palantirが「新たなフェーズ」に入ったと強調。さらに、米国の利益に貢献できていない他の米国企業の「技術的な自己満足」について警鐘を鳴らしました。同社のAIプラットフォームは現在、米軍全体で使用されており、ウクライナやイスラエルなどの同盟国でも採用されています。
シリコンバレーが防衛技術企業を徐々に受け入れる流れの中、Palantirは他の技術企業との協力体制を拡大しています。兵器メーカーのアンドゥリル・インダストリーズとの既存の提携関係を強化するとともに、AIスタートアップのAnthropicとも新たに連携。
Anthropicの大規模言語モデルを米国の諜報・防衛活動に導入し、ソフトウェアファーストの企業が主導する新たな防衛エコシステムの確立を目指す構想を示しています。
シャム・サンカー氏は「AIレースは勝者総取りの構造であり、国家全体での取り組みが求められる」と強調しました。
実際に、Palantirの株価は2024年に入ってから340%もの上昇を記録しており、AIへの投資家の期待や商用・政府顧客の拡大が評価されています。ニューヨーク市場では、同社の株価が過去最高の83.74ドルで取引を終え、今後の動向にも注目が集まっています。
出典:Palantir Earnings to Test Stock’s Soaring Valuation After Rally – Bloomberg