OpenAIは、デューク大学で進行中のAI道徳研究を支援するために100万ドルの助成金を提供しました。
この研究は、倫理的判断の場面で人工知能(AI)がどのように役立つかを探ることを目的としており、デューク大学の「Moral Artificial Intelligence(道徳的人工知能)」研究チームが主導しています。
このチームは、倫理学者ウォルター・シノット=アームストロング教授を中心に、コンピューター科学者や哲学者、心理学者、経済学者などの多分野の専門家で構成されています。
研究チームは、AIを「道徳的GPS」として利用し、人間がより良い判断を下せるよう支援する可能性を探っています。
これには、道徳的判断を含むシナリオを作成し、それに対するアメリカ人と中国人の反応を比較する研究が含まれます。
たとえば、医療、法律、ビジネス、教育、軍事、交通などの分野でのAIの適用に関する道徳的判断が調査されました。
研究チームは、収集したデータを分析し、文化的背景に基づく違いを明らかにしています。
これまでに、この研究から得られた成果として、多数の学術論文や書籍を出版しており、近々「Moral Questions About Artificial Intelligence」というタイトルの書籍が出版されると発表されています。
今回のOpenAIからの助成金は、医療、法律、ビジネスといった分野での道徳的判断に関連するシナリオにおいて、AIが人間の判断をどのように予測できるかを探るためのアルゴリズム開発に使われます。
このアルゴリズムは、複数の倫理的要素が衝突する場面での判断を予測する能力を備えたものとなる予定です。
研究リーダーのシノット=アームストロング教授は、この助成金について「AIが人間の道徳的判断を補完する形で役立つことができれば、医療や法律など、社会の重要な分野でより公平で効率的な意思決定を行える可能性が広がる」とコメントしています。
デューク大学は、これまでにも内部のシード資金や協力研究(Collaboratories)を通じて、多様な社会問題を解決するための学際的なプロジェクトを進めてきました。
今回の助成金は、その取り組みの延長線上にあり、AI技術を倫理的な枠組みで発展させるための重要なステップと位置づけられています。
OpenAIとデューク大学の協力は、AIが単なる技術革新の手段に留まらず、倫理的な課題を解決するパートナーとなる可能性を示しており、今後の研究の進展に期待が寄せられています。