
OpenAIは、民主主義の価値観に基づいたAIインフラ構築を世界各国が独自に行えるよう支援する新たなプログラム「OpenAI for Countries」を発表しました。この取り組みは、2024年1月にトランプ大統領、オラクルおよびソフトバンクと共同で発表した米国内のAIインフラ整備計画「Stargate(スターゲート)」から派生したもので、多くの国々から同様の支援を求める声があったことを受けて開始されました。

OpenAIは、民主的なAIの普及を目的に米政府と緊密に連携し、各国のAIインフラ整備を積極的に支援するとしています。「民主的なAI」とは、人々がAIをどのように活用し運用するかを自由に選べる環境を提供し、政府によるAIを用いた権力集中を防ぎ、自由な市場競争を促すことにより、AI技術による利益を広く共有するという考え方です。これは権威主義的なAI利用に対抗する明確な代替手段を提供する狙いもあります。
具体的な取り組みとしてOpenAIは、各国が自国内にデータセンターを建設できるよう支援し、データ主権の確保や地域産業の発展を促します。また、各国の文化や言語にローカライズされたChatGPTを導入することで、医療や教育、公的サービスの質を向上させることを目指します。さらに、AIモデルの安全性とセキュリティ強化にも取り組み、人権や民主的プロセスを尊重したAI運用を世界標準とする方針です。
加えて、OpenAIは各国政府と協力し、国内のAIスタートアップ支援のための国家規模の基金を設立します。これにより、新産業の創出や雇用増加、公的および民間分野のニーズに対応した健全なAIエコシステムを育成します。各パートナー国は同時に、グローバル規模で進められているStargateプロジェクトにも参加し、米国主導の民主的なAIネットワークの拡大に貢献することになります。
「OpenAI for Countries」は第1フェーズとして、まずは10カ国または地域との具体的なプロジェクトを進める予定で、その後さらなる拡張を目指すとしています。OpenAIは各国の駐米代表や世界各地にある自社オフィスの責任者を通じて、参加を希望する国々との協議を進めていくとしています。