OpenAIとコンサルティング大手Bain & Companyは、2023年から続くパートナーシップをさらに強化すると発表しました。
この提携の拡大により、両社は特定の業界向けにカスタマイズされたAIツールの開発を進め、企業のデジタルトランスフォーメーションを支援することを目指しています。
2024年8月には、Bainの13,000人のコンサルタント全員にChatGPT Enterpriseのライセンスが付与され、Bainの顧客に対してOpenAIの技術を利用したコンサルティングサービスが提供される体制が整いました。
今回の強化では、リテールやライフサイエンスなど、特定の産業分野に向けたAIソリューションが提供される予定です。
これにより、企業が抱える業界固有の課題に対して、より効果的なAIツールが開発されることが期待されています。
Bainの世界経営パートナーであるクリストフ・デ・ヴッサー氏は、企業がAIを単なる実験段階から実務に導入するフェーズに移行していると指摘しました。
特にリテール業界では、AIを活用した商品予測や棚の管理ツールが開発され、効率的な計画や価格設定が可能になります。
また、ライフサイエンス分野では、製薬企業アムジェンをはじめとする顧客が、文書作成の自動化を進めており、業務の効率化に貢献しています。
この提携は、OpenAIにとっても大きな意義を持ちます。
現在、同社は100万を超える企業顧客を抱えており、これらの企業はChatGPT EnterpriseやAPIを通じてOpenAIの技術を導入しています。
APIの利用は、2024年7月以降で2倍に増加しており、企業からの需要が急速に拡大しています。
今回のBainとの連携強化は、特に大規模なAI予算を持つ企業顧客をターゲットにした戦略の一環であり、OpenAIの技術がさらに広範な分野で導入されることを目指しています。
Bainはすでに、AI関連事業が売上の30%を占めており、今後数年でこの割合を50%に引き上げる計画です。
Bainの顧客は、AIを活用したソリューションに対するニーズをますます高めており、特にデータの活用や業務効率化に対する期待が高まっています。
OpenAIは、このようなパートナーシップを通じて企業向けのAIソリューションを強化するだけでなく、成長を続けるための重要なステップを踏み出しています。
同社は2024年10月に66億ドルの資金調達を行い、その企業評価額は1,570億ドルに達しました。
さらに、この半年間で技術、営業、パートナーシップ、サポートチームを大幅に増強し、企業向けのAIツールを提供するための体制を整えています。
今回の提携強化により、OpenAIとBainは業界特有のニーズに対応したAIソリューションを提供し、企業のデジタルトランスフォーメーションを加速させることを目指しています。
これは、AI技術が単なる実験的な取り組みから、実際のビジネス価値を生み出す段階へと進化していることを示しており、今後も両社の協力が続くことが期待されます。
出典:Exclusive | OpenAI, Bain Expand AI Partnership to Sell ChatGPT to Businesses – WSJ