OpenAIは、2024年6月13日、元米陸軍大将ポール・M・ナカソネ氏を取締役に任命したと発表しました。ナカソネ氏はサイバーセキュリティの分野で豊富な経験を持っており、今回の任命はOpenAIの安全性とセキュリティへの取り組みをさらに強化するものです。
ナカソネ氏は、まず取締役会の安全・セキュリティ委員会に加わります。そして、OpenAIのすべてのプロジェクトや運営に関する重要な安全・セキュリティ決定について取締役会に提言を行います。この委員会は、AI技術の進化に伴うサイバー攻撃の脅威に対する防御策を強化する中心的な役割を担います。
ナカソネ氏の豊富な知識と経験は、OpenAIのシステムのセキュリティ強化に貢献することが期待されています。具体的には、AIの学習に使う大規模なスーパーコンピュータの保護から、顧客から預かったデータやモデルのセキュリティ確保まで、様々なセキュリティ対策の改善に役立つと見られています。
AI技術がより高度な人工知能(AGI)へと進化を続ける中で、OpenAIはサイバー攻撃の脅威に対して、より強固な防御策を講じる必要に迫られています。ナカソネ氏の洞察は、AIを活用してサイバー攻撃の脅威を素早く発見し、対処するための取り組みにも貢献するでしょう。これは、病院、学校、金融機関など、サイバー攻撃の標的となることの多い組織にとっても大きなメリットになる可能性があります。
OpenAIの取締役会会長であるブレット・テイラー氏は、「人工知能は人々の生活に大きな良い影響を与える可能性を秘めていますが、そのためには、これらの技術革新が安全に構築され、展開されることが不可欠です。ナカソネ大将の卓越したサイバーセキュリティの経験は、OpenAIがその使命を達成するための指針となるでしょう」と述べています。
“Artificial Intelligence has the potential to have huge positive impacts on people’s lives, but it can only meet this potential if these innovations are securely built and deployed,“ said Bret Taylor, Chair of OpenAI’s Board. “General Nakasone’s unparalleled experience in areas like cybersecurity will help guide OpenAI in achieving its mission of ensuring artificial general intelligence benefits all of humanity.”
引用元:OpenAI
ナカソネ氏も取締役就任に際し、「OpenAIの使命は、私自身の価値観や公務で培ってきた経験と強く共鳴するものです。世界中の人々にとって安全で有益な汎用人工知能の実現に向けたOpenAIの努力に貢献できることを楽しみにしています」とコメントしています。
General Nakasone shared his perspective on joining the Board, stating, “OpenAI’s dedication to its mission aligns closely with my own values and experience in public service. I look forward to contributing to OpenAI’s efforts to ensure artificial general intelligence is safe and beneficial to people around the world.”
引用元:OpenAI
ポール・M・ナカソネ氏の経歴
ポール・M・ナカソネ氏は、サイバーセキュリティ、技術の進歩、世界規模のサイバー防衛の分野で著名な専門家です。陸軍将校としてのキャリアの中で、彼は米国サイバー司令部の創設に重要な役割を果たしました。また、ナカソネ氏は米国サイバー司令部の最長の指導者であり、国家安全保障局(NSA)の長官も務めました。その間、米国のデジタルインフラの保護とサイバー防衛能力の向上に尽力しました。彼は米陸軍のあらゆるレベルで指揮やスタッフの職務を経験し、米国内外の精鋭サイバー部隊での任務経験もあります。