Googleは11月18日（米国時間）、次世代大規模AIモデル「Gemini 3」を正式発表しました。シリーズ史上最高の推論力とマルチモーダル理解を備え、創造・学習・作業のあらゆる場面で「どんなアイデアでも形にする」ことを掲げたモデルです。日本語にも対応しており、本日からGeminiアプリや各種サービスで利用でき、検索のAIモードには初日から組み込まれました。
Gemini 1がネイティブなマルチモーダル対応と長大なコンテキストを切り開き、Gemini 2がエージェント性と推論力を押し上げたのに続き、Gemini 3はそれらを統合した「最も知的なモデル」と位置付けられています。ベンチマークでは、LMArenaで1501 Eloを記録し、Humanity’s Last ExamやGPQA Diamond、MathArena Apexなどの難関テストで過去最高水準のスコアを達成しました。複雑な科学・数学の問題でも、深い文脈理解と高い事実性を両立しながら解けると説明されています。
マルチモーダル面では、テキスト、画像、動画、音声、コードを横断して100万トークン規模のコンテキストを扱い、手書きレシピの翻訳から論文や長時間講義の要約、スポーツ動画のフォーム分析まで一貫してサポートします。検索のAIモードでは、こうした能力を生かし、RNAポリメラーゼの仕組みのような難しいテーマも、対話に合わせてインタラクティブなツールやビジュアルをその場で生成しながら解説できるようになりました。
開発者向けには、Gemini 3 Proがゼロショット生成や複雑な指示の処理に強みを持ち、WebDev ArenaやSWE-bench Verifiedなどの指標で従来モデルを大きく上回っています。Google AI StudioやVertex AI、Gemini CLIに加え、新しいエージェント開発プラットフォーム「Google Antigravity」でも利用可能で、エージェントがエディタやターミナル、ブラウザに直接アクセスし、タスクを自律的に計画・実行する開発体験を提供します。いわゆる「バイブコーディング」と呼ばれるプロンプト起点のUI構築でも性能が高く、よりリッチでインタラクティブなアプリ開発を後押しします。
またGemini 3は、長期的な計画が必要なタスクを評価するVending-Bench 2でトップとなり、1年分のシミュレーションでも一貫した意思決定で高い収益を生み出したとされています。
これにより、ローカルサービスの予約やメール整理といった現実世界のマルチステップな作業についても、ユーザーの指示のもとで開始から完了まで任せやすくなりました。安全性面でも、プロンプトインジェクションやサイバー攻撃への耐性を強化し、外部専門機関と連携した評価を経て提供されるとされます。今後は、より高度な推論モード「Gemini 3 Deep Think」や追加モデルも順次展開される予定で、新世代Geminiの本格展開が始まった形です。