Google Antigravityとは？使い方や料金！VS Codeから作られた新たなIDE

2025年12月10日2025年12月11日

Google Antigravityとは、VS Codeをフォークして作成されたAI搭載の統合開発環境（IDE）です。

AIに指示を出すと自律的にタスクを実行し、コードやテスト結果などの関連リソースをまとめた成果物を出力します。

この記事では、Antigravityの使い方や料金について解説します。

また、他のAI搭載IDEと比較したときの強みについてもご紹介します。

Google Antigravityとは？

まずはGoogle Antigravityの概要について解説します。

Google Antigravityの概要

Google Antigravity は、AIエージェントが開発プロセスの主導権を握るagent-firstアーキテクチャを採用したIDEです。

Google Antigravity is our agentic development platform, evolving the IDE into the agent-first era.

訳：Google Antigravityは当社のエージェント開発プラットフォームであり、IDEをエージェントファーストの時代へと進化させます。
出典：Google Antigravity

従来のコード補完ツールとは異なり、AIが自律的にタスクを計画し、コードや関連リソースをまとめたArtifactsと呼ばれる成果物単位で出力を生成します。ユーザーはこのArtifactsをレビューし、必要な修正を加えるだけで機能実装の大部分を完了できるため、断片的なコード修正の繰り返しから解放されます。

また、非同期処理を前提とした設計により、エージェントがバックグラウンドでリファクタリングやテストを実行している間も、開発者は別の作業を進めることが可能です。

Antigravity is evolving the IDE towards an agent-first future with browser control capabilities, asynchronous interaction patterns, and an agent-first product form factor that together, enable agents to autonomously plan and execute complex, end-to-end software tasks.

訳：アンチグラビティは、ブラウザ制御機能、非同期インタラクションパターン、そしてエージェントファーストの製品形態を統合し、エージェントが自律的に複雑なエンドツーエンドのソフトウェアタスクを計画・実行できるようにする「エージェントファースト」の未来に向けてIDEを進化させています。
出典：Introducing Google Antigravity, a New Era in AI-Assisted Software Development

人間がコードの記述者から指揮者へとシフトするための、新しい開発体験を提供します。

EditorビューとManagerビューの違い

このIDEの最大の特徴は、インターフェースがEditorビューとAgent Managerという2つの明確な役割に分かれている点です。

Editorビューは、開発者が直接コードを記述・修正するための、軽量かつ高速なエディタ領域として機能します。

一方、ManagerビューはAIエージェントの作業進行を監視し、生成されたArtifactsの承認やプロジェクト全体の依存関係を管理するための画面です。

ユーザーが直接実装する作業はEditorで行い、プロジェクト管理やAIへの指示出しはAgent Managerで行うという分業体制が敷かれています。この分離により、AIの複雑な処理プロセスが、コーディング時の集中を妨げることを防いでいます。

EditorビューとManagerビューは、画面右上のボタンか、Ctrl+Eのショートカットキーで切り替えることが可能です。

対応OS・配布形態

現在、Google Antigravityはパブリックプレビュー版として公開されており、専用の公式サイトを通じてインストーラーを入手可能です。

対応OSはmacOS、Windows、Linuxの主要3プラットフォームを網羅しており、幅広い開発環境にスムーズに導入できます。

利用を開始するにはGoogleアカウントでの認証が必要ですが、プレビュー期間中はすべての機能が無償で開放されています。

なお、現在は開発途上のバージョンであるため、正式リリースに向けてユーザーからのフィードバックが製品開発に積極的に反映されるフェーズにあります。

セキュリティとデータの扱い

Google Antigravityでは、AIエージェントが自律的にコードを実行・検証するため、ユーザーはプロジェクトフォルダを開く際に「Trusted Workspace」として承認する必要があります。一度信頼すると、エージェントはローカルのターミナルコマンドやファイル操作を広範な権限で実行可能になります。

ターミナル実行ポリシー
これは、エージェントにターミナルでコマンド（アプリケーション/ツール）を実行する機能を与えることです。
出典：Google Antigravity のスタートガイド

なお、現在この仕様を突いたセキュリティの脆弱性が指摘されているため、未知のコードは開かないことをおすすめします。

使用する際は、自分で書いたコードや信頼できるコードなど、安全性を確かめたうえでフォルダを開くようにしましょう。

Google Antigravityの使い方

続いて、Google Antigravityの使い方を解説します。

インストール手順

Antigravityのインストール手順は以下の通りです。

STEP

インストーラーのダウンロード

公式サイトにアクセスし、使用しているOSに適したインストーラーをダウンロードします。

STEP

インストーラーを起動

ダウンロードしたインストーラーを起動し、画面の指示に従ってインストールします。

「インストール」をクリックするとインストールが始まります。

「完了」を押してインストール作業を終了します。

初期設定

インストール後は初期設定をしましょう。初回起動時にはセットアップガイドが表示されるため、指示に従ってセットアップを進めます。

設定は「Start fresh」で新しく設定するほか、VS CodeやWindsurf、Cursorからインポートすることも可能です。

また、他のIDEと同様に作業対象となるプロジェクトフォルダを開いておきましょう。

基本フロー：Editorで編集／Managerでタスク運用

Antigravityを使う際の基本フローは、Editorビューでコードの編集を行い、ManagerビューでAIに依頼したタスクの管理を行います。

使い方の具体例は以下の通りです。

STEP

Editorビューでコードの編集

Editorビューでは、他のIDEと同じくコードの編集を行います。

なお、編集中にTabキーを押すことで、コードの補完や不足している依存関係のインポートができます。

STEP

AIにタスクを依頼

Agentパネルを開くことで、AIにタスクを依頼することができます。

モードとして、エージェントがタスクを実行する前に計画を立てるPlanningと、タスクを直接実行するFastがあり、プルダウンから選べます。

また、AIのモデルも選ぶことができ、GoogleのGemini 3 Proだけではなく、Claude Sonnet 4.5やGPT-OSS 120Bも選べます。

今回はPlanningとGemini 3 Pro（Low）を選択し、電卓アプリを作成してもらいました。

特定のファイルやフォルダを指定する場合は@でメンションします。

また、同時に複数のタスクを依頼することも可能です。

STEP

Artifactsの確認

エージェントが作業を完了すると、Artifactsが生成されます。ArtifactsはAgentパネルのメッセージウインドウの上のボタンを押すと確認できます。

今回は計画が終わった時点で、実行する際の計画とタスク一覧の二つのArtifactsが生成されました。

内容を見て問題がないか確認しましょう。もし修正が必要であれば、再度メッセージを送信するか、ファイル内にコメントを残すことができます。

STEP

Managerビューでタスクを管理

依頼したタスクは、Managerビューで管理できます。Ctrl+Eを押すか、右上の「Open Agent Manager」をクリックしましょう。

Managerビューの新しいウインドウが開きます。

先ほど確認したArtifactsが問題なければ、「Proceed」をクリックして実行を開始しましょう。

エージェントがタスクを実行中、ログを確認可能です。

同時に複数のタスクを依頼している場合は、左のタブからそれぞれの進行状況を確認できます。

STEP

必要に応じてブラウザの拡張機能をインストール

初めてWebアプリを作成した場合、テストの際にブラウザの拡張機能のインストールを求められます。必要な場合は「Setup」をクリックしましょう。

ブラウザが自動で起動するので、「Install extension」をクリックします。

「Chromeに追加」を押すと拡張機能がインストールできます。

この拡張機能を入れることで、エージェントがブラウザを自動で操作してテストを行うことが可能です。

STEP

生成結果を確認

タスクが終了すると、Artifactsに実行結果が出力されます。生成されたコードだけではなく、テスト結果としてエージェントが操作した画面の録画なども出力されます。

今回のテスト画面の録画が以下です。

問題がなければコード画面で「Accept」をクリックして変更を受け入れましょう。

Artifactsの使い方

Artifactsタブには、AIが生成した実装計画・コード変更・そして実行ログがひとつのパッケージとして保存されています。

変更を適用する前に、AIの実行プロセス中に自動取得されたスクリーンショットや録画データを確認し、挙動をチェックします。これにより、大量のログを読み込まなくてもタスクの成否を直感的に判断することが可能です。

内容に問題がなければ「Accept」を押し、メインのコードベースに変更をマージします。

懸念点がある場合は、Artifactに対して直接コメントを追記し、部分的な修正を依頼することもできます。

日本語化方法

AntigravityはVS Codeをもとに作られているため、拡張機能の「Japanese Language Pack for VS Code」をインストールすることで日本語化が可能です。

導入方法は以下の通りです。

STEP

拡張機能タブに移動

左のタブ一覧から、拡張機能タブに移動します。

STEP

拡張機能を検索

検索バーから「Japanese Language Pack for VS Code」を検索します。

STEP

機能のインストール

「Install」をクリックすると、拡張機能をインストールできます。

初めてインストールする際は開発元を信頼するかどうか聞かれるので、「Trust Publisher ＆Install」をクリックしましょう。

STEP

エディタを再起動

インストールが完了すると言語を変更して再起動するように表示されるので、「Change Language and Restart」をクリックして再起動しましょう。

再起動することで日本語化されます。

もし表示を消してしまった場合は、Ctrl+Shift+Pでコマンドパレットを開き、「Configure Display Language」で日本語を選択します。

Google Antigravityの料金体系

現在、Google Antigravityはパブリックプレビュー期間中であるため、個人用のGmailアカウントですべての主要機能が無料で提供されています。

無料でもGemini 3 ProやClaude Sonnet 4.5、GPT-OSSなどのモデルへアクセスが可能であり、Tabによるコード補完は無制限に利用可能です。

ただし、サーバーリソースを公平に配分するため、一定時間内のリクエスト回数や生成トークン量には非公開のレート制限が設けられています。

この上限に達すると、Agent Managerでのタスク実行が一時停止されます。リセットは通常5時間ごとに行われますが、大規模なリファクタリングを連続して行うヘビーユーザーは作業の中断を余儀なくされる場合があります。

These rate limits are primarily determined to the degree we have capacity, and exist to prevent abuse. Quota is refreshed every five hours.
出典：Plans

ただし、Googleはレート制限に達するユーザーはごくわずかであると表明しているため、ユーザーはあまり心配しなくても大丈夫でしょう。

Our modeling suggests that a very small fraction of power users will ever hit the per-five-hour rate limit, so our hope is that this is something that you won’t have to worry about, and you feel unrestrained in your usage of Antigravity.
出典：Introducing Google Antigravity, a New Era in AI-Assisted Software Development

なお、プレビュー期間中は、この制限を緩和する有料オプションは存在しません。

Google AntigravityとVS Codeの関係性

ここでは、Antigravityとその元となったVS Codeの関係性について解説します。

VS Codeベース/派生としての位置づけ

Google Antigravityは、Visual Studio Codeのオープンソース版をベースにフォークして作られたIDEです。

そのため、エディタの基本操作・メニュー構成・ファイル管理の仕組みはVS Codeとほぼ共通しており、既存ユーザーは学習コストなしでスムーズに移行できるでしょう。

最大の違いは、標準搭載されたManagerビューやAgentサイドバーといったAIネイティブな独自UIが統合されている点と、GoogleのGeminiモデルがコア機能として深く組み込まれている点です。単なるスキン変更ではなく、AIエージェントが自律的に動くためのバックエンド処理やメモリ管理部分で大幅な改造が施されています。

これにより、VS Codeの軽快さを維持しつつ、AIによる並列開発に最適化された新しい操作感を実現しています。

拡張エコシステム

ベースがVS Codeであるため、理論上は既存のVS Code拡張機能の多くがそのまま動作する互換性を持っています。ただし、VS Code Marketplaceなど、VS Code向けの公式マーケットプレイスとの連携方法はライセンスの影響を受ける可能性があり、AntigravityではOpen VSX Registryなど別レジストリが利用されるケースもあります。

そのため、Microsoft固有のサービスに依存する一部の拡張機能はAntigravity上で動作しないか、Googleが提供する同等の代替機能を使う必要があります。

必要な拡張機能が見つからない場合は、手動で.vsixファイルをインストールする方法もサポートされていますが、依存関係の解決には注意が必要です。

設定・キーバインド・スニペットの移行

AntigravityはVS Codeと同じ設定ファイル形式を採用しているため、既存の設定をコピー＆ペーストするだけで環境をほぼ完全に再現できます。

移行を行う手順は以下の通りです。

STEP

VS CodeのJSONファイルをコピー

VS CodeでCtrl+Shift+Pを押してコマンドパレットを開き、setting.jsonを開きます。ここでは、ユーザー設定を引き継いでいきます。

setting.jsonの内容をすべて選択してコピーしましょう。

STEP

Google AntigravityのJSONファイルに貼り付け

Google Antigravityでも同様の手順でsetting.jsonを開きます。

先ほどコピーした内容を貼り付けることで、VS Codeの設定を引き継ぐことができます。

ユーザースニペットも同様のフォルダ構成で管理されているため、スニペットファイルをコピー＆ペーストするだけで、愛用している定型文入力をすぐに利用再開できます。

ただし、AI関連の独自設定項目はAntigravity固有のものであるため、移行後に別途調整が必要です。

Google Antigravityと他のAI搭載IDEの違い

Google Antigravity以外にも、AIを搭載したIDEとしてCursorやWindsurfなどがあります。

最後に、他のIDEとの違いについて解説します。

競合比較

ここでは、競合としてCursor・Windsurf・Claude Code ・Zedとの比較を行います。

スクロールできます

ツール名	強み	弱み	推奨用途
Google Antigravity	非同期タスク実行	メモリ消費	機能単位の実装・改修
Cursor	高速なインライン補完	同期処理が中心	コーディング補助
Windsurf	コードベース全体の理解度	Antigravityとの競合	複雑な既存コードの解析
Claude Code	推論能力	環境統合の弱さ	単発スクリプト・ロジック作成
Zed	起動や描画が極めて高速	エコシステムの未成熟	パフォーマンスを重視する作業