PHOTO: BRYAN BEDDER FOR THE WALL STREET JOURNAL
米大手投資銀行のゴールドマン・サックスが、AI生成技術を活用した新たなコード生成ツールを社内で展開したとウォールストリートジャーナルが報じました。CIOのマルコ・アルジェンティ氏によると、このツールは数千人の開発者に向けて6月末までに提供し終える予定で、開発者の効率を約20%向上させることが期待されています。
ゴールドマン・サックスのAIプラットフォーム「GS AI Platform」は、全ての独自AI技術を中央集約化し、内部での利用を制限する形で運用されています。このプラットフォームは既存の機械学習プラットフォームから発展したもので、OpenAIのGPT-3.5やGPT-4、GoogleのGemini、MetaのLlamaなどのモデルを活用しています。アルジェンティ氏は、中央集約化のアプローチは一部で速度を遅らせる要因となったものの、最終的には大きな成果を上げることができたと述べています。
この新たなコード生成ツールの展開により、ゴールドマン・サックスの開発者は新しいアプリケーションを迅速に構築できるようになり、従来数ヶ月かかっていた開発期間が数週間に短縮されました。また、同社はドキュメントの翻訳ツールや独自の研究成果を要約するツールの展開も計画しており、AI技術のさらなる活用を目指しています。
ゴールドマン・サックスは、AI技術の展開にあたり、安全性と責任を最優先事項としています。GS AI Platformは、内部データを安全に使用し、適切なアクセス制御を行うことで、データの保護と規制遵守を徹底しています。アルジェンティ氏は、AI技術は新しいものであり、安全性と責任は最重要課題であると述べ、慎重なアプローチを強調しました。
金融サービス業界は高度に規制されており、AI技術の採用速度も慎重に調整されていますが、ゴールドマン・サックスは将来的にAIへの投資を増やす予定です。現時点では、AI技術は同社の技術予算の一部に過ぎませんが、今後の展開に向けて期待が高まっています。Gartnerのアナリストであるチラグ・デカテ氏は、金融サービス業界において、データの保護や規制遵守はAI技術の採用における重要な要素であると述べています。
ゴールドマン・サックスの取り組みは、他の企業にも大きな影響を与える可能性があり、今後のAI技術の展開に注目が集まります。同社のAI生成技術を活用したコード生成ツールの成功は、他の企業にもAI技術の導入を促進する要因となるでしょう。
出典：Goldman Sachs Deploys Its First Generative AI Tool Across the Firm – WSJ