
米ロボティクス企業のFigureは、第3世代のヒューマノイドロボット「Figure 03(フィギュア・スリー)」を正式に発表しました。同社は独自開発のAIシステム「Helix(ヘリックス)」を搭載し、人間に近い知覚と動作精度を備えた次世代ロボットとして位置づけています。生産体制は年間1.2万台を見込み、4年間で累計10万台の出荷を目指すとしています。
Figure 03は、前世代モデル「Figure 02」から大幅に改良されており、軽量化された筐体と拡張された関節可動域により、より自然な人間の動きを再現します。特に注目されるのは、手に搭載された高精度触覚センサーで、3グラム単位の圧力変化を検知できる点です。これにより、卵や紙のような繊細な物体も正確に扱えるようになりました。
頭脳となるHelix AIは、視覚・音声・触覚など複数の感覚情報を統合してリアルタイムで判断する仕組みを採用しています。これにより、ロボットは状況を理解し、自律的にタスクを遂行することが可能です。HelixはOpenAIやNVIDIAとの提携を通じて開発された高度なAIモデル群をベースとしており、現実世界での反復学習を高速化しました。
生産面では、アメリカ国内の新工場で量産体制を整備し、自動車産業並みの製造プロセスを導入しています。年間1.2万台の生産を実現する計画で、Figureはこのスケールをもってヒューマノイドロボットの商用化を本格化させる方針です。
同社は今後、製造業や物流、家庭支援など多様な分野での導入を目指しています。また、Helix AIを中核とするAIスタックを他社にも提供する構想を掲げ、汎用ロボットのエコシステム構築を視野に入れています。
Figureの創業者兼CEOであるブレット・アドコック氏は、「人間と同等の知覚と運動能力を持つ汎用ロボットが現実に近づいた」とコメントし、同社の技術が人とロボットの協働を新たな段階へと押し上げる可能性を強調しました。
Figure 03は、精密な触覚制御とAIによる状況判断を組み合わせた初の量産型ヒューマノイドロボットとして、今後のロボット産業の基準を塗り替える存在となりそうです。