イーロン・マスク氏が、テスラのために確保された1万2000個のGPUを自社のAI企業xAIに出荷するよう指示したことが明らかになりました。これはテスラの投資家向け説明とは異なり、批判を招いています。米のニュース専門放送局CNBCが確認した内部文書によると、マスク氏はNVIDIAに対し、テスラよりも先にXおよびxAIにチップを優先配備するよう要求しました。
マスク氏はテスラをAIとロボティクスのリーダーにすることを目指しており、そのためにNVIDIAに大きく依存しています。テスラは自動運転やその他のシステム構築に高性能なGPUを必要としているからです。
彼は、テスラが年末までにNVIDIAのH100チップを35,000個から85,000個に増やし、今年はAIに100億ドルを投資すると公言しました。しかし、NVIDIAのメールによれば、マスク氏はテスラのためのAIプロセッサーの出荷をXに転用しており、これによりテスラの計画に遅延が生じています。
さらに、XとxAIは密接に関連しており、マスク氏は「X社の投資家はxAIの25％を所有する」と投稿しています。また、xAIはXのデータセンターの一部を使用して、チャットボットGrokを支える大規模言語モデルのトレーニングと推論に使っています。
このような行動はテスラの株主に対し、マスク氏が複数の企業に分散して注意を向けていることや、テスラのAIとロボティクスの開発に悪影響を与える可能性があるという懸念を引き起こしました。このニュースを受けて、テスラの株価は1％下落しました。
批評家たちは、マスク氏の経営スタイルが利益相反を生んでいると主張しています。特に、マスク氏がSpaceX・Neuralink・The Boring Co.・xAIなど複数の企業を同時に運営していることが問題視されています。マスク氏は、バッファローに5億ドルのスーパーコンピューターを建設するなど、インフラへの投資を保証していますが、テスラの売上が減少しているため、株主には依然として懸念材料が残ります。今年、テスラの株価は29％下落しました。