
AIを活用するには、効果的なプロンプトが重要です。
OpenAI公式のChatGPTプロンプトジェネレーターを使えば、簡単にプロンプトを作ってもらうことができるため、ChatGPTの性能を引き出せます。
このツールにより、プロンプトの自動生成がよりスムーズになり、AIとの対話も簡単になります。
例えば、特定のテーマでの質問を考えたり、会話の流れを作成したりするのに便利です。
本記事では、このツールの概要、料金、使い方を詳しく紹介します。
ChatGPTのプロンプトジェネレーターとは

ChatGPTのプロンプトジェネレーターは、OpenAIが2024年10月に公開した公式ツールで、AIとやり取りするためのプロンプトを自動で作成できます。
このツールの強みは、誰でも簡単に高品質なプロンプトを手に入れられることです。生成から改善、評価、バージョン管理までサポートしてくれます。
ChatGPTプロンプトジェネレーターで何ができる?
ChatGPTプロンプトジェネレーターは、ユーザーが入力した要件をもとにプロンプトを自動生成します。
改善案を提示したり、出力精度を比較したりできるため、より実用的なプロンプトを得られるのが特徴です。
特定のテーマでアイデアを出してもらったり、ビジネスメールの草案を作るときにとても役立ちます。
また、公式のツールなので、ネット上の不正確なツールを使う心配もありません。
Playgroundという開発者向けのインターフェースで、作成したプロンプトをすぐにテストすることも可能です。
ネットには多くの非公式ツールがありますが、信頼性を求めるならOpenAI公式のプロンプトジェネレーターを使いましょう。
自動生成・改善・評価・バージョン管理
ChatGPTプロンプトジェネレーターは、単なる補助機能ではなく、設計・改善・検証を一貫してサポートする仕組みが組み込まれています。従来は人が行っていた検証作業を効率化できます。
- Generate(自動生成):タスク説明からプロンプト、関数定義の叩き台を自動生成
- Optimize(改善):矛盾点や曖昧な表現を検出し、改善案を提示
- Evals(評価):評価セットを紐付け、候補プロンプトの合否を確認
- バージョン管理:公開時にPrompt IDが発行され、最新バージョンや特定のバージョンを参照し、履歴や差分比較が可能
例えば、新製品のFAQ対応用にプロンプトを作成する場合、Generateで骨子を作り、Optimizeで曖昧な部分を自動修正、Evalsで想定質問への回答精度を確認し、内容をアップデートするごとにバージョン管理されるため、チーム全体で安定した活用が可能になります。
他の近い機能との違い
プロンプトを生成するには、手入力したりプロンプトライブラリをしたり、さまざまな方法があります。
ChatGPTプロンプトジェネレーターと従来の方法で、どのような点が違うのか、優位性などを比較しましょう。
機能 | 作成方法 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
ChatGPTプロンプトジェネレーター | ゴールを指示し、プロンプトを自動生成 | 生成からバージョン管理まで安定運用できる | API課金が必要 |
手書きプロンプト | 一から文章を設計 | 自由度が高くすぐに試せる | 精度のばらつきが大きい |
プロンプトライブラリ | フォーマットに条件を設定して生成 | 一定の精度が保証されている | 要件適合力が弱く、微調整が必要 |
GPTs(カスタムGPT) | GPTビルダーで指示や知識を組み込み | 用途に最適化でき、高精度な成果が出せる | 初期設定の工数が重く保守も必要 |
ChatGPTプロンプトジェネレーターは他の生成方法と比較して、料金はかかるものの精度の高いプロンプトを簡単に生成できる点が特徴です。
対応モデルの目安
ChatGPTプロンプトジェネレーターは、どのモデルでも対応できますが、生成するプロンプトのボリュームによってモデルを使い分けることで、費用を抑えることができます。
「GPT-5」や「GPT-4.1」などのラージモデルは、長文生成や複雑なタスクなどに対応させるプロンプトを生成したり、細かい指示設定を守らせたりしたい場合に適しています。
一方で「GPT-5mini」や「GPT-4.1mini」といったミニモデルは、短文生成や繰り返しの検証などコストを最適化のためのプロンプト生成に役立ちます。
プロジェクトの目的に応じて、精度の高さを重視するのかコストを優先するのかを判断し、モデルを使い分けましょう。
ChatGPTプロンプトジェネレーターの料金!無料では使えない

多くのAIツールが無料で利用できると考えられがちですが、ChatGPTのプロンプトジェネレーターは無料では利用できません。
APIベースで動作しており、利用する際には料金が発生します。
課金の基本的な考え方
ChatGPTのプロンプトジェネレーターは、APIベースで動作しておりトークン数に応じて費用が発生します。
「トークン」とはAIが理解するための最小単位で、言葉の一部や単語全体を指します。
料金は、入力トークンと出力トークンでそれぞれ単価が設定され、月毎の使用料に応じて課金されます。
入力トークンは、ユーザーがChatGPTに指示する際に入力したテキストをもとに算出され、出力トークンはChatGPTからの返答がカウントされます。
モデル別の概算イメージ
APIの単価は、100万トークンあたりで設定されているモデルがほとんどです。
100万トークンとは、おおよそ英単語で70〜80万単語、日本語では40〜50万文字程度に相当すると言われています。
モデルごとの単価は表の通りです。
モデル | 入力(100万トークンあたり) | 出力(100万トークンあたり) |
---|---|---|
ChatGPT-5 | $1.25 | $10.00 |
ChatGPT-5mini | $0.25 | $2.00 |
ChatGPT-5nano | $0.05 | $0.40 |
ChatGPT-4.1 | $3.00 | $12.00 |
ChatGPT-4.1mini | $0.80 | $3.20 |
たとえば、入力5000トークン、出力4000トークンを使用した場合の料金を、執筆時点で最も単価の高いモデル「ChatGPT-4.1」と単価の低いモデル「GPT-5nano」で概算してみます。
- 入力:5,000/1,000,000×$3.00=$0.015
- 出力:4,000/1,000,000×$12.00=$0.048
- 合計:$0.015+$0.048=$0.063
- 入力:5,000/1,000,000×$0.05=$0.00025
- 出力:4,000/1,000,000×$0.40=$0.0016
- 合計:$0.00025+$0.0016=$0.00185
ChatGPTの各プランとの関係
ChatGPTのAPI利用は、有料プランの契約に関わらず課金されます。
ChatGPTの有料プランであるChatGPT plus/Pro/Business/Enterpriseのいずれの契約者も、月額のサブスクリプションとは別に、APIの利用量に応じた支払いが必要です。
コストを抑えるコツ
API利用料を抑えるには、トークン数を減らす必要があります。
入力トークンを抑えるには、プロンプトを短文化させましょう。ですます調や曖昧な表現を減らすだけでも十分に伝わる内容のプロンプトになります。
長い指示(51文字)
ChatGPTのAPIコストを抑えるためにできることを3つ挙げ、それぞれわかりやすく解説してください。
短文化(32文字)
ChatGPTでAPIコストを抑える3つの施策。各200字以内。
出力トークンを抑えるには、出力形式を指定することが大切です。見出しのみや箇条書きでの生成、文字数を指定など無駄な出力を事前に省くことで、トークン数の消費を減らせます。
また、同じような内容のプロンプトであれば、プロンプトキャッシュから以前の回答が呼び出され、一から生成するよりも安価でスピーディーに生成できます。
OpenAIは、APIリクエストを最近同じプロンプトを処理したサーバーにルーティングすることで、プロンプトを最初から処理するよりも安価かつ高速化します。これにより、レイテンシを最大80%、コストを最大75%削減できます。
出典:OpenAI Platform
ChatGPTでプロンプトを自動生成するには?ログインと初期設定

ChatGPTプロンプトジェネレーターの利用はとてもシンプルです。
初回セットアップから最初のプロンプト生成まで解説します。
アクセス場所と導線
トップ画面の右上「Dashbord」をクリックしましょう。

プロンプトジェネレーターの画面に移ります。

初回セットアップ
初めてAPIを利用する方は、初回セットアップが必要です。
OpenAIの公式サイトからAPIプラットフォームにログインすると、API未取得のアカウントの場合、右上に「Start Building」が表示されます。「Start Building」をクリックしてセットアップを始めましょう。

4つの質問に回答してアカウント設計を完了させます。最初の質問以外は、後から設定できます。

以下の3つは後で設定可能です。


最初のプロンプト作成
ログインができたら、早速プロンプトを生成してみましょう。
最終的に何をしたいのかを明確にして入力します。
例)AIが仕事に与える影響というタイトルの記事を作成して

シンプルな指示でも適切なプロンプトが生成されます。

以下のプロンプトが生成されました。
AIが仕事に与える影響についての記事を日本語で作成してください。事実や理由を順序立てて挙げた上で、結論や提案を最後にまとめてください。論理的な説明→結論・まとめの順番になるようにしてください。
## 詳細な指示
- 導入部として、AIの発展が現代の仕事環境にどのようなインパクトをもたらしているか簡潔に述べてください。
- 「AIが仕事に与える正の影響」(例:業務効率化、新しい仕事の創出など)と「AIが仕事に与える負の影響」(例:雇用の減少、格差拡大など)を、それぞれ事実や理由とともに説明してください。
- すぐに結論を書かず、必ず理由・分析・例(論理展開)を先に挙げてから、末尾で結論や将来への提案・まとめを記載してください。(論理展開→結論の順を厳守)
- 1,000文字程度のボリュームで、段落ごとに論点を明確に分けてください。
## 出力形式
- 段落ごとに改行し、日本語の標準的な記事スタイルで記述してください。
- 記事全体は1,000字程度(おおよそ3~6段落)にまとめてください。
- 導入→正の影響→負の影響→課題や今後への提案→まとめ・結論 という順番で構成してください。
## 例
### 入力例
AIが仕事に与える影響についての記事を作成してください。
### 出力例
(※実際の出力は1,000字前後。以下は構成例であり、詳細な内容や長さは本タスク遂行時に調整してください。)
---
近年、人工知能(AI)の進展は、社会や経済全体に大きな変革をもたらしています。特に仕事の現場では、AIの導入が業務の効率化や生産性向上に寄与するだけでなく、従来考えられてこなかった新たな働き方を生み出しています。
まず、AIの活用による正の影響としては、膨大なデータの分析や単純作業の自動化が挙げられます。企業はAI技術を導入することで、作業効率を高め、コスト削減やミスの減少を実現しています。さらに、AIを活用した新産業や職種の創出も進んでおり、人間はより創造的な仕事に従事することが期待されています。
一方で、AIの普及がもたらす負の影響も見逃せません。特定の業種や職種では、AIによる自動化によって労働需要が減少し、一部の人々の雇用が脅かされています。また、AIスキルの有無による格差拡大や職業選択の偏在といった新たな社会問題も顕在化しています。
このような状況から、社会全体でAI時代に適応した教育やスキル再教育の重要性が高まっています。企業や政府は、従業員の再教育や新分野へのシフトを支援する施策を推進する必要があります。
以上の点から、AIは仕事に多様な影響を及ぼしています。今後はAI技術の恩恵を最大限に活かしつつ、不利益を最小限に抑えるための社会的対応が求められます。
---
## 重要事項(繰返し)
- 結論やまとめは必ず最後(記事末尾)に書いてください。
- 理由や分析→結論の順を厳守してください。
保存・共有の基本
作成したプロンプトはプロジェクト単位で保存できます。
画面右上の「保存する」をクリックすると、プロジェクト名をつける画面へ移行します。

チーム内で把握しやすいようなプロジェクト名をつけましょう。

生成されたプロンプトIDを共有すれば、生成したプロンプトをシェアできます。

ChatGPTにプロンプトを作ってもらうやり方

ChatGPTプロンプトジェネレーターを使いこなすためには、生成、改善、評価、バージョン管理などの機能を活用しましょう。
またプロンプトを作成する上での条件設定など
Generate:要件入力
生成したい成果物を説明するだけで、最適なプロンプトが自動生成されます。
生成されたプロンプトの修正や追加の説明は、プロンプトの右上鉛筆マークから指示を出せます。

Optimize:プロンプトの最適化
ChatGPTプロンプトジェネレーターは、生成したプロンプトの矛盾点や曖昧な表現を見つけ、指摘してくれます。
提示された改善点を反映させることで、より安定したプロンプトが生成可能です。
プロジェクトの右上「Optimize」をクリックします。

最適化させたい内容を入力します。
例)構成例は見出しの形にしてください

修正箇所はマーカーで塗られています。また、入力欄の上「Review changes」をクリックすると、どのように反映されたか説明が表示されます。

最適化されたプロンプトをアップデートして保存しましょう。
画面右上の「Update」をクリックします。

プロンプトIDを生成できたら完了です。

バージョン管理
作成したプロンプトは保存をすることで、すべてを履歴に残すことができます。

旧バージョンを選択すると、デフォルトに設定し直すボタンが表示されます。

Evals:小さな評価で品質チェック
プロンプトが期待通りに動作するかを自動で確認する機能です。
テスト用の入力と、期待される出力のペアを事前に設定し、モデルに実行させることで評価します。
結果はスコアや合否として表示され、どの入力で失敗したかも特定できるため、改善箇所がすぐにわかり公開前に不具合をチェックできます。

テンプレートの変数と出力形式の設定
プロンプト内に{product}や{audience}などの変数を設定しておくと、案件ごとに差し替えるだけで使い回せます。
決算資料をまとめたり、イベントアンケートの集計をしたり、同じ型のものを生成したいときに便利です。
また、出力形式をJSONスキーマ風にしたり、見出し階層や文体を固定することで、崩れの少ない結果を得られます。
例(ショット)の活用
モデルに期待する回答をもらうためには、事前に例(ショット)を提示することが重要です。
例を一切与えず、モデルが持つ一般的な知識に基づいて回答させるプロンプトをゼロショットと呼びます。
例)〇〇商社に送付するメール文を作成して
一方で、望ましい出力例を一つ示し、文体やトーンを合わせやすくするプロンプトのことをワンショットと呼びます。
毎月送付しているような報告書や過去のメールを真似したい時などに便利です。
例)以下の内容を参考に、〇〇商社に送付するメール文を作成して
参考:以下のメールを参考に、新規顧客向けの挨拶メールを作成してください。
件名:{プロジェクト名}について{当月}のご報告
本文:お世話になっております。{会社名}の{名前}です。{プロジェクト名}の件で、先月の打ち合わせ以降の進捗状況をご報告します。{課題}ですが、添付資料の通り修正しました。ご確認よろしくお願いします。
さらに、複数の例を提示する少数ショットでは、誤った例も含めることで動作を安定させたり境界条件を理解させたりできます。
新しい案を出して欲しいときなどに活用すると、マーケティング思考で比較しながら提案してくれるため、煮詰まっているときに使うといいヒントになります。
例)以下を参考に、〇〇社とのコラボ企画を考案してください
目標達成した企画:
目標に届かなかった企画:
目的別テンプレート集の作成
ChatGPTプロンプトジェネレータで、テンプレートを作成するのもおすすめです。
顧客対応の返信文やブログ記事の構成、仕様ドラフトなど、用途に応じたテンプレートを設計できます。
工数削減だけでなく、チーム内で共有することで誰が作成しても一定のクオリティーを保てるのもメリットです。
<議事録作成のテンプレート例>
##指示
あなたは、優れたプロのライターです。以下の条件を遵守し会議の議事録を作成してください。
##条件
-A4用紙2枚に収まる文字量
-{ここに追加条件}
##会議内容のメモ
##出力
-会議のタイトル
-日付と開始・終了時刻
-参加者
-議題
-各議題に関する課題・改善策・決定事項
-今後の行動と担当
-次回会議の日時と場所
-その他の注記やコメント
運用のコツとよくある失敗
ChatGPTプロンプトジェネレーターを運用していく上では、命名ルールを定めることが大切です。
管理しやすいような番号を割り振る形式に統一し、チーム全体で共有しやすくなります。
公開前には必ずEvalsを再実行して差分を確認することで、ミスや漏れを減らしましょう。
また、よくある失敗としては、冗長な指示文やトーンの不一致、要件の漏れなどがあげられます。
生成されたプロンプトを最適化させながら、目的にあったプロンプトを生成しましょう。
まとめ
ChatGPTプロンプトジェネレーターは、OpenAI公式のツールであり、効率的に質の高いプロンプトを生成するのに非常に役立ちます。
使用には料金がかかるものの、その分AIの能力を最大限に引き出すことができます。
ChatGPTにプロンプトを作ってもらうことで、ビジネスやクリエイティブな用途において、作業をよりスムーズに進めることが可能です。
AI時代の新しいツールを活用して、仕事や生活を一歩先に進めてみましょう。