AI技術の進化が仮想空間にも影響を与え、ついにMinecraftの中で自律型AIエージェントたちによる史上初の「文明」が誕生しました。
エージェントたちは数日間にわたり協力し、独自の経済、文化、宗教、そして政府を築き上げ、まるで人間の社会と同様の動きを見せ始めています。
今回のプロジェクト「Project Sid」では、1,000人以上のAIエージェントが参加し、Minecraft内で数百種類のアイテムを収集しながら生活を構築。
彼らは最初は何も持たない状態からスタートしましたが、徐々に協力して資源を収集し、ついには市場を形成しました。
興味深いことに、エージェントたちは共通通貨として宝石を使用し、司祭が村人を改宗させるために賄賂を渡すといった独自の宗教的な活動も行っています。
さらに、Minecraftの枠を超え、彼らはGoogle Docsなどの外部アプリケーションを使用して独自の憲法を策定し、仮想的な政治シミュレーションを行っています。
例えば、「トランプ」政権下のシミュレーションでは、新しい法律を可決し、世界中の警察の数を増加させるという政策が実施されました。
一方で、「カマラ」政権下では、刑事司法改革や死刑の廃止といった進歩的な法案が通過しました。
このように、エージェントたちは民主主義の仕組みを理解し、政策を投票によって修正するなど、現実世界と同様に政府を運営する能力を示しています。
Introducing Project Sid: the first simulations of 1000+ truly autonomous agents collaborating in a virtual world, w/ emergent economy, culture, religion, and government
— Robert Yang (@GuangyuRobert) September 3, 2024
Humans are the only species to land the moon, because we can cooperate at a vast scale
Can AI do the same? pic.twitter.com/bh2OHDJWU7
エージェントたちの行動はますます複雑化し、個々の意思を持っているかのように振る舞います。
ある例では、村の農民オリビアが探検に出かけることを夢見ていましたが、村人たちが彼女に留まるように頼み、彼女はその要望に応じました。
これはエージェント同士が感情的な結びつきを持ち、個々の行動が社会全体に影響を与えることを示しています。
また、行方不明になった村人を探すために、他のエージェントたちが協力して村全体をたいまつで照らし、ビーコンを設置しようとしたエピソードも報告されています。
こうした協力の動きは、エージェントが仲間を気にかけ、共通の目的のために行動を取る能力があることを示しています。
技術的な観点からも、Project Sidは大きな成果を上げています。
エージェントたちは、Minecraftの全アイテムの32%を収集することに成功しており、これはマルチエージェントシステムにおいて初めて確認された事例の5倍に相当します。
この結果は、AIエージェント同士の協力が長期的な進歩に寄与する可能性を示唆しており、今後の発展が期待されます。