
2025年10月6日に発表された、新機能「Apps in ChatGPT」とは従来の生成AIをどのように変えるのでしょうか?
この記事では、Apps in ChatGPTの基本機能や使い方、料金体系、さらに開発者向けのApps SDKまでわかりやすく解説します。
外部アプリをチャット内で直接操作できる仕組みや安全性、活用例も紹介し、個人から業務まで幅広く役立つ情報をまとめています。
Apps in ChatGPTとは?

ChatGPTの新機能「Apps in ChatGPT」は、会話の中から外部アプリを直接操作できる仕組みです。
これまでのChatGPTは「答えるAI」でしたが、この機能の登場により「動かせるAI」へと進化しました。
Apps in ChatGPTの基本構造、従来機能との違い、安全性、対応アプリ、活用例を紹介します。
概要と特徴
Apps in ChatGPTは、ChatGPTとの会話を通じて外部アプリを安全に直接操作できる新機能です。
ユーザーは、この機能を使ってアプリを追加・連携することで、音楽再生やデザイン作成、情報検索などをチャット内でシームレスに行うことが可能になります。
従来のプラグインやGPTsとは異なり、本体に統合された公式機能として提供されるため、設定や操作がシンプルで、安全性も確保されています。
プラグイン/GPTsとの違い
従来のプラグイン( 2024年4月9日に正式に廃止され、現在は利用できない)やGPTsと異なり、Apps in ChatGPTはChatGPTの公式連携機能です。
そのため個別の導入が不要で、自然な操作で呼び出せます。
Apps in ChatGPTは導入難易度が低く、ユーザーインターフェースも統合されています。
これに対してプラグインは外部サーバとの連携設定が必要で、GPTsはカスタムAIとして構築する手間が必要です。
ユーザーインターフェース・セキュリティ・配布方式の違いを整理しましょう。
| 種類 | 導入難易度 | ユーザーインターフェース | 権限管理 | 配布方法 | 料金 |
|---|---|---|---|---|---|
| プラグイン ( 2024年4月9日に廃止) | 高 | ChatGPT外のWeb UIを持つ | 個別 | 開発者配布 (審査通過後にPlugin Store掲載) | ChatGPT Plus契約が必要 プラグインごとの課金なし |
| GPTs | 中 | ChatGPTのUIに統合 | GPTs単位に 作成者が設定 | ChatGPT内で共有・公開可 | 無料 |
| Apps in ChatGPT | 低 | ChatGPT内で操作・実行 | ChatGPTの認可フローに統一 | ChatGPTの「Apps」経由 | 無料 アプリの側で課金される場合もある |

対応アプリ
現在(2025年11月)ChatGPTに提供されているApps in ChatGPTとしては、以下の7種類があげられます。
| Apps in ChatGPT | 内容 | 日本での利用可否 |
|---|---|---|
| Spotify | 音楽やポッドキャストを聴けるストリーミングサービス | |
| Canva | 誰でもデザインが作れるオンラインデザインツール | Canva側のUIを英語に変更する必要がある |
| Booking.com | ホテルや宿泊施設を予約できる旅行サイト | |
| Coursera | 大学講座をオンラインで受講できる学習プラットフォーム | |
| Expedia | 航空券やホテルなどをまとめて予約できる旅行サービス | |
| Figma | 共同編集ができるWebベースのデザインツール | |
| Zillow | 住宅の売買や賃貸情報を検索できる不動産サイト |
Expediaは、下記の通り日本では提供外です。
Is this available to all ChatGPT users?
Expedia is live right now in ChatGPT for all logged-in ChatGPT users in US, Canada (excluding Quebec province), New Zealand, India, Singapore and Mexico on Free, Plus, and Pro plans.
出典:Expedia公式サイト|The Expedia app, now in ChatGPT|FAQ
(和訳)
すべての ChatGPT ユーザーが利用できますか?
Expedia は現在、米国、カナダ (ケベック州を除く)、ニュージーランド、インド、シンガポール、メキシコの ChatGPT ログインユーザー全員を対象に、Free、Plus、Pro プランの ChatGPT でご利用いただけます。
Zillowも以下の通り、米国のユーザーのみが対象で、日本では利用できません。
The Zillow App in ChatGPT is live right now for all logged-in ChatGPT users in the U.S. on Free, Plus and Pro plans. The experience supports most listing types, including rentals and homes for sale by agents or owners.
出典:Zillow公式|Zillow debuts the only real estate app in ChatGPT
(和訳)
ChatGPTのZillowアプリは、米国でログインしているすべてのChatGPTユーザー(Free、Plus、Proプラン)にご利用いただけます。このアプリは、賃貸物件や不動産業者またはオーナーが販売する住宅など、ほとんどの物件タイプに対応しています。
また年末までには、以下のアプリがApps in ChatGPTに加わる予定です。

提供範囲
現時点のApps in ChatGPTは英語環境での提供が先行しています。
今後、日本語を含む多言語対応が予定されていますが、具体的なスケジュールは未発表です。
アプリや地域、言語設定によっては一部機能が制限される場合があります。特に日本語環境では、一部のAppsや認可フローがまだ完全に対応していないケースもあります。
さらにApps in ChatGPTを利用可能なプランには、Free・Plus・Proといった個人プランだけでなく、2025年内には企業向けのChatGPT EnterpriseやEduでのリリースが予定されています。
ただし企業向けアカウントの場合、管理者の設定によっては、接続が制限される場合があります。
また、Apps in ChatGPT機能自体の利用に追加料金はかかりませんが、アプリ側で有料契約が必要な場合があります。
安全性と権限管理
Apps in ChatGPTでは、外部アプリと連携する際の「安全性」が重視され、ユーザーが明示的に権限を許可・管理できる仕組みが用意されています。
アクセス範囲や取り消し方法、監査ログの扱いも明確に定義されています。
アクセス可能な権限の範囲はアプリごとに異なり、設定画面( Apps & Connectors)からいつでも接続解除が可能です。
企業が利用する際は、監査ログやアクセス統制も考慮されます。
活用シーン
Apps in ChatGPTを使えば、普段の会話の延長で外部アプリを操作できます。
たとえばSpotify と連携すると、「@Spotifyでリラックスできるプレイリストを作って」などと話しかけるだけで、音楽の検索や再生リストの作成が可能です。
作業用BGMや気分に合った曲をすぐに提案してもらえるため、日常のリスニング体験がよりスムーズになります。
一方、Canvaと連携すれば、「@CanvaでSNS投稿用の画像を作って」などの指示を英語で行うと、テンプレートを自動提案し、デザインの下書きをChatGPT内で生成できます。
デザインの方向性を相談しながらブラッシュアップできるため、SNS運用や資料づくりの効率化にも役立ちます。
今後はタスク管理や文書作成など、他のアプリにも順次対応予定です。
Apps in ChatGPTの使い方

ここではApps in ChatGPTの初期設定の方法と、設定が終わった後のアプリの呼び出し方を、実際の操作画面を使用して説明します。
初期設定と連携手順
各アプリとChatGPTとの連携方法を解説します。
ChatGPTの左下隅のアカウント表示箇所をクリックし、設定(Settings)を選択します。

設定画面のApps & Connectorsを選択します。

アプリが表示されるので、連携させたいものを選択します。
今回は、Canvaを選択します。Canvaのアカウントはあらかじめ取得し、事前にCanvaのUIを英語に直しておきましょう。
画面左下のプロファイル画像を選択してSettings→Your profileの順にクリックし、以下のようにLanguageの欄をEnglish(US)に修正してください。

ChatGPT側でCanvaを選択し、表示された画面でConnectをクリックして、指示に従います。


次の画面が表示されるので、Continue to Canvaをクリックしてください。

認可画面が表示されるのでAllowをクリックしてください。

初回のみ認可画面でアクセス権を許可すれば、以降はチャット内から自由に利用可能になります。

ただし企業アカウントでは、管理者権限が必要な場合もあります。
アプリの呼び出し方
チャット欄に「/」や「@」を入力すると、連携が可能なアプリの一覧が表示されます。

使いたいものを選ぶと、ChatGPTがそのアプリを呼び出して操作してくれます。
自然言語でプロンプトを入力した場合、AIが自動的に最適なアプリを選択することもあります。
代表的なアプリの操作例:Coursera/Spotify
たとえばCourseraなら、「簡単な英語の入門コースがありますか?」と尋ねるだけで、おすすめのコースを案内してくれます。


Spotifyなら「リラックスできる音楽のプレイリストを作って」と指示するだけです。


アプリが動かない時のチェックポイント
ChatGPT上でアプリがうまく動かない場合には、以下のポイントを確認してみましょう。
| チェックポイント | 備考 |
|---|---|
| 日本で利用可能か | アプリ自体が日本を対象地域外にしている場合は、利用できない。 |
| 英語UIに設定しているか | 英語UIを優先にしているため、言語設定やサポート情報を確認する。 |
| ChatGPTとアプリのアカウントが正しく連携されているか | 一度設定を解除したり、ChatGPTをログアウトしたりして、再接続を試みる。 |
| 「ブラウザ版とアプリ版のChatGPT」で挙動が異なる場合がある | ブラウザとアプリを切り替え、どちらからも利用できないか確認する。 |
「一時チャット」では、チャット履歴やメモリは保存されません。ただし、アプリと共有されるデータは各アプリに規約によります。通常のチャットモードを利用すれば過去の履歴に基づき、よりカスタマイズされた回答を得られます。
Apps in ChatGPTの料金

「Apps in ChatGPT」の利用時に追加料金はかかるのでしょうか?
ここでは、ChatGPTの各プランごとの対応状況と、料金に関する注意点を整理して解説します。
プラン別の対応状況
OpenAIの公式情報によると、Apps in ChatGPTは現在、欧州経済領域(EEA)・英国・スイスを除く地域の、個人向けユーザーが利用対象です。
日本国内ではFree・Plus・Proなど、すべての個人向けプランで利用可能となります。
以下に、日本で契約できるプランと利用できるアプリをまとめました。
| プラン | 料金 | 利用可否 | 日本で利用可能なアプリ |
|---|---|---|---|
| Free | 0円/月 | メッセージ数の制限があり | Spotify Canva Booking.com Coursera Figma |
| Plus | $20/月 | ||
| Pro | $200/月 | ||
| Business | 年払い:$25/月/ユーザー 月払い:$30/月/ユーザー | 2025年10月現在、利用不可 | 2025年内にリリース予定 |
| Enterprise | 問い合せ |
ExpediaとZillowについては、日本は対象外となっています。

課金の有無
Apps in ChatGPTを使うために、ChatGPT側で追加の料金を支払う必要はありません。
ただし、連携する外部アプリの有料機能を使うには課金が必要です。
なお、2025年10月時点で、日本国内でApps in ChatGPTと連携できるアプリ(Spotify、Canva、Booking.com、Coursera、Figma)については、無料プランでも連携可能です。
法人・教育向けの提供状況
企業・教育機関向けApps in ChatGPTの利用については、BusinessやEnterpriseプラン、教育機関向けのEduアカウント向けに、2025年内にリリースされる予定です。
これにより、将来的には組織内でも個人と同様に、会話を通じて外部アプリを操作できる機能が利用可能になる見込みです。
企業向けChatGPTには管理・監査の枠組みが提供されていますが、Apps in ChatGPTでの具体的な管理機能は年内提供時の公式情報を参照しましょう。
Apps in ChatGPTのApps SDKとは?仕組みと作り方

ChatGPTのApps SDKは、ChatGPTの中で外部アプリを動かせるようにするための開発ツールです。
これを使えば、開発者は自分のアプリやサービスをChatGPTに組み込み、ユーザーがチャットを通じてその機能を直接使えるようにできます。
たとえば、予約アプリやタスク管理ツールなどをChatGPT上で動かすことが可能になります。
今後は公式ディレクトリでの公開や収益化の仕組みも整備される予定で、開発者にとって新しいチャンスの場になると期待されています。
MCP拡張の仕組み
Apps SDKの基本には、「MCP(Model Context Protocol)」という共通ルールがあります。
MCP(Model Context Protocol)は、AIモデルと外部ツールを接続するためのオープン標準プロトコルです。
Apps SDKはこのMCPを拡張し、 ChatGPT内でインタラクティブなユーザーインターフェースも表示できるようにしています。
Apps SDKは、このMCPを拡張して作られており、ChatGPTクライアント・MCPサーバ・外部APIという3つの層が連携して動作します。
この構造によって、ChatGPTと外部サービス間でデータを安全かつスムーズにやり取りできます。

開発と実装の流れ
Apps SDKを使ってアプリを作る開発者は、おおまかに「要件設計→MCPサーバの実装→UI(ウィジェット)の設置→テスト」といったステップで、作業を進めます。
最小限の構成でも、ChatGPT内で自分のアプリを実際に動かせるようにするのがポイントです。
公開・審査・収益化
開発したアプリは、今後公式ディレクトリを通じて公開できるようになります。
OpenAIによる審査を経て配布されるため、ユーザーは安心して利用できます。
また、収益化の仕組みも検討されており、開発者は自分の作品をビジネスとして展開することも可能になります。
信頼性の高い環境で提供できるのが、大きな特徴です。
学習リソース
Apps SDKを学ぶには、OpenAIの公式ドキュメントやGitHubにあるサンプルコードが役立ちます。
まずはサンプルを動かしてみて、ChatGPT内でそれがどのように動くのかを体感するのが理解の近道です。
実際に試すことで、仕組みや構成がわかりやすくなります。
まとめ
Apps in ChatGPTは、チャット内からSpotifyやCanvaなどの外部アプリと連携し、ChatGPT内で直接操作できる新機能です。設定も簡単で安全性も確保されています。
個人利用から業務活用まで幅広く対応し、追加料金は不要で活用できます。
また、Apps SDKを使えば開発者が独自アプリを安全に組み込み、公式ディレクトリで配布・収益化も可能です。
