
米Appleは、開発者会議「WWDC25」の基調講演で生成AI群「Apple Intelligence」を発表しました。ChatGPT連携をOS全体へと拡張し、ユーザーの状況を理解する文脈型AIアシスト機能の搭載や、開発者向けにAIモデルを開放するなど、AI活用を大きく加速させます。
プライバシー保護を重視したオンデバイス処理を軸に、次世代のユーザー体験を提供します。
WWDC25で発表されたApple Intelligenceの新機能
以下では、WWDC25で発表された11の生成AI新機能を紹介します。これらは今秋以降、Appleの各種OSに順次搭載される予定です。
1. Foundation Models framework
サードパーティアプリがAppleのオンデバイス大規模言語モデルに直接アクセス可能になります。通信環境に依存せず動作し、クラウドAPIのコストも不要なため、低コストでインテリジェントなアプリ開発を支援します。
2. ChatGPTとImage Playgroundの連携
テキストを入力するだけで、OS全体でアニメーションやイラストなどの画像生成が可能になります。オイルペインティングなど多彩なスタイルにも対応し、生成された画像はすぐに各アプリで活用できます。
3. Visual Intelligence(画面コンテンツ認識)
画面上に表示されている情報をリアルタイムにAIが解析し、関連する検索や行動を提案します。写真やテキストなどを起点に、アプリを超えて迅速に必要な情報へアクセスできます。
4. Voicemail Summaries(留守電の自動要約)
留守番電話の内容をAIが瞬時に書き起こして要約し、メッセージの概要を数行にまとめて表示します。重要なメッセージを素早く確認でき、音声を再生する手間が省けます。
5. Call Screening(AIによる電話応対)
知らない番号からの電話にAIが代理で応答し、相手の話した内容をリアルタイムでテキスト表示します。ユーザーは内容を確認してから電話を取るか判断でき、迷惑電話のストレスを減らします。
6. Hold Assist(AIによる保留待機)
コールセンターなどで保留中の通話をAIが代わりに待機し、オペレーターにつながった瞬間に通知します。保留待ちの時間を有効活用でき、スムーズな通話再開をサポートします。
7. AI Polls(Messagesアプリでの投票提案)
グループチャットの会話をAIが分析し、適切なタイミングで投票を提案します。「どこに泊まるか」といった質問にも、候補を自動生成して簡単に参加者の意見をまとめます。
8. Live Translation(リアルタイム翻訳)
PhoneやFaceTime、メッセージアプリにリアルタイムの双方向翻訳を統合します。オンデバイス処理により、海外とのやりとりでもプライバシーを守りつつ円滑にコミュニケーションできます。
9. Workout Buddy(AIフィットネスコーチ)
watchOSにAIフィットネスコーチが搭載され、ユーザーの運動履歴や心拍データを元にリアルタイムで音声コーチングを行います。自然な音声で運動のモチベーションを高め、フィットネスを支援します。
10. ShortcutsのIntelligent Actions
ショートカットアプリにAI機能を追加し、テキスト要約、画像生成、ChatGPTへの問い合わせをワンタップで実行可能にします。複雑なタスクを簡単に自動化でき、利便性が大幅に向上します。
11. Spatial Scenes(2D写真の3D化)
AIが2D写真から深度情報を推測し、立体的な3D画像へと変換します。visionOSの写真アプリを利用すれば、ユーザーは写真の世界を歩き回るような没入感あふれる体験を楽しめます。
まとめ
Appleは今回のアップデートにより、生成AI技術を日常的に誰もが利用できるよう、製品やOSに深く統合しました。特にChatGPTとの連携強化、文脈理解機能の拡張、そして開発者向けAIモデルの解放は、今後のエコシステムの活性化を促すものとして注目されます。プライバシーを守りつつAI技術を最大限に活用するAppleの取り組みは、今秋の正式リリースに向けてさらに期待を高めています。