
米Appleは7月31日(現地時間)に行った2025年度第3四半期決算説明会で、人工知能(AI)への投資を大幅に拡大すると明らかにしました。
ティム・クック最高経営責任者(CEO)はAIを「自身の生涯において最も重要な技術の一つ」と位置づけ「Appleは最先端の技術を誰にとっても使いやすいものにする使命がある」と強調しました。
クック氏はすでに社内で多くの人材をAI関連プロジェクトに配置転換していると述べ、AI分野への投資規模が年々増加していると説明しました。ただし、投資のすべてを自社でまかなうわけではなく、外部パートナーの資金も活用する「ハイブリッド型」を継続するとしています。設備投資が急激に膨らむ可能性については否定的で、着実な投資戦略を続ける意向です。
また、同日に放送されたCNBCのインタビューでは、AppleがAI技術を強化するため企業買収(M&A)を積極的に進めていることも明らかにしました。今年に入ってからすでに7社を買収しており「数週間に1社のペースで進めている」と述べました。ただし、いずれも巨額の買収案件ではないとのことです。
同社は、ビジュアル分析や文章生成支援ツールなど、20以上の「Apple Intelligence」機能をすでに導入済みで、今後はリアルタイムのライブ翻訳やAIを活用したワークアウト支援機能を追加予定です。
一方、期待されていたパーソナライズ機能を強化した新しいSiriについては、導入が2026年に延期されました。クック氏はこの延期に関し「進捗は順調」と述べ「急ぐよりも、確実に提供できる品質を優先している」と強調しています。
さらに、将来的にスマートフォンがAI専用のデバイスに置き換えられるとの観測については「iPhoneが存在しない世界は想像しにくい」と述べ、新しいAIグラスなどはスマホを置き換えるのではなく、補完的な役割を担うとの見方を示しました。
なお、第3四半期決算では、主力製品であるiPhoneの販売が市場予測を上回り、過去最高の売上を記録しました。これを受けて、同社の株価は時間外取引で上昇しています。
出典:Inside OpenAI’s quest to make AI do anything for you | TechCrunch