
ソフトバンク、NEC、ホンダ、ソニーグループが中核となり、国産の人工知能(AI)開発を担う新会社「日本AI基盤モデル開発」を立ち上げたことが明らかになりました。新会社にはこの4社に加え、日本製鉄、三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行も出資し、プリファードネットワークスも開発面で連携する見通しです。米国と中国が大規模モデル開発で先行するなか、日本企業が連携して対抗基盤を整える動きといえます。
新会社では、ソフトバンクとNECがAIの基盤モデル開発を主導し、ホンダとソニーグループは開発したAIを自動車、ロボット、ゲーム、半導体などの分野で活用していく方向です。主要株主となる4社はそれぞれ十数%を出資し、約100人規模のAI開発者が所属する体制になる見込みです。社長には、ソフトバンクで国産AI開発を指揮してきた幹部が就いたとされています。
開発の当面の目標は、AIの性能を測る目安の一つとされる1兆パラメーター規模の基盤モデルの構築です。文章だけでなく、画像や映像、音声といった複数の情報を扱える性能向上を進め、将来的には機械やロボットの制御にもつながる次世代AIの実現を目指します。いわゆる「フィジカルAI」を視野に入れた開発で、日本の製造業や産業ロボット分野との親和性の高さを生かす狙いがあります。
開発したAIは出資企業だけで囲い込まず、他の日本企業にも開放する方針です。各社が自社向けに調整しやすい形で提供し、金融、自動車、素材など幅広い業界での活用を促します。コンソーシアムの組成も見据え、産業ごとのデータを取り込みながら利用領域を広げていく構想です。
資金面では、経済産業省が所管する国立研究開発法人の支援事業への応募を予定しています。経産省は2026年度から2030年度までの5年間で総額1兆円を投じ、国産AIの開発を後押しする方針で、新会社は有力な候補の一つとなりそうです。生成AIでは米中勢が存在感を強めていますが、ロボットなど現実世界の機器と結びつく次世代領域では、日本企業が巻き返しを図る構図が鮮明になってきました。
