
PerplexityのCometとは、AIが情報収集から要約まで自動で行う次世代のAI Browserです。従来の検索エンジンと異なり、複数の情報を横断して最適な回答を導いてくれるのが特徴です。
本記事では、現在のブラウザからCometへの切り替え方法や使い方など、操作画面とともに解説します。
「Cometで何ができるのか」気になっている方は、実際に本記事を参考に導入し、AIブラウザを体験してみましょう。
Cometとは?Perplexityが開発したAI browserの概要

Perplexityが開発した次世代AIブラウザ「Comet」は、検索と生成を一体化した革新的なツールです。従来のブラウジング体験を超え、AIがリアルタイムに情報を整理・提示してくれます。
Cometの概要
Cometは、AI検索で注目を集めるPerplexity AIが開発した新世代のウェブブラウザです。
従来のブラウジング体験を一新し、「検索」「要約」「分析」をすべて一画面で完結できるのが最大の特徴です。一般的なブラウザが情報を探すツールだったのに対し、CometはAIが代わりに調べ、要約してくれるアシスタントのような存在といえます。
Chromiumをベースにしているため、ChromeやEdgeなどで使い慣れた操作感を維持しつつ、AIエージェントがユーザーの意図を理解して動く点が強みです。
Perplexityの検索エンジンが搭載され、ウェブ上の情報をAIが自動で整理し、要約・回答形式で提示します。これにより、リサーチから原稿作成までの流れを劇的に短縮できます。

既存ブラウザとの違い
Cometの最大の違いは、AIによる文脈理解をブラウザレベルで実装している点です。ChromeやEdgeは拡張機能を通じてAIを利用しますが、CometはAIがブラウザの中核に統合されており、検索結果を読む前に、要約や次に調べるべき情報を提示してくれます。
また、ブラウザ上で直接チャット形式の質問が可能で、別タブを開かずに追加検索を行える点も特徴です。ユーザーは情報を探すのではなく質問して答えを得る感覚で作業できます。
さらに、ブラウザが行動履歴をもとにタスクを提案したり、関連ページを自動で開くなど、AIが能動的にサポートする仕組みも導入されています。これらの点で、CometはAIエージェント型ブラウザとして次世代の標準を狙っています。
PerplexityのCometで何ができる?主要な3つの機能

Cometには、AI検索だけでなく情報整理や要約、提案までを自動で行う多彩な機能が搭載されています。
ここでは実際にどんなことができるのか、その代表的な機能をわかりやすく紹介します。
エージェント型検索機能による自動検索
Cometでは、ユーザーが検索語を入力すると、AIが複数の情報源を横断して調査し、最適な要約を提示します。回答はChatGPTのような自然文で表示され、引用元へのリンクも自動付与してくれます。さらに、質問内容に応じて追加の検索クエリを自動生成し、深掘り調査も可能です。

これにより「調べる→比較する→まとめる」という手間が大幅に削減されます。
タブ管理機能によるリサーチ効率の向上
Cometには、リサーチ作業を効率化するためのタブ管理機能が搭載されています。
従来のブラウザでは、複数の情報源を開いて内容を比較する際、タブの整理や切り替えに手間がかかりました。CometではAIが検索意図を理解し、関連性の高いページを自動的にグループ化します。テーマごとにタブを整理してくれるため、ユーザーは必要な情報だけをすぐに確認できます。
具体的な例を見ていきましょう。
Cometで「Arcブラウザの特徴」をリサーチしている途中に、東京と大阪の天気を調べてみました。するとCometは、検索テーマの異なる内容を自動で判別し、天気情報を別グループとして整理しました。


ユーザーの意図を理解してタブを自動分類するこの仕組みは、従来のブラウザにはないComet独自の特徴です。複数テーマを同時に調べても、情報が混在せずスムーズに管理できる点が大きな利点といえます。
さらに、不要になったページはAIが要点を要約してから閉じることも可能で、情報の収集から整理までを一連の流れで完結できます。
ウェブページ要約機能による情報整理
閲覧中のページをAIが瞬時に要約し、要点を箇条書きで表示します。専門記事や論文を読む際でも、冒頭で概要をつかめるため、不要なページを開く時間を減らせます。

また、要約精度はPerplexity本体と同等で、英語ページの日本語要約にも対応しています。
PerplexityのAIブラウザ「Comet」の使い方

Cometの操作はシンプルで、誰でも直感的に使いこなせる設計になっています。
ここでは、基本的な使い方から便利な活用テクニックまで、ステップごとに解説します。
ダウンロード方法
Cometは公式サイトから無料でダウンロードできます。

2025年10月2日より、PerplexityはCometを全ユーザーに無料で公開し、誰でもダウンロードして利用できるようになりました。ただし、無料ユーザーには一部機能や応答速度に制限が設けられています。
WindowsおよびmacOSの両方に対応しており、Chromiumベースのため軽量かつ安定した動作が期待できます。アカウント登録はPerplexity AIと共通で、既存ユーザーはそのままログイン可能です。
データのインポートと初期設定
初回起動時に別のブラウザからデータをインポートできます。
Googleアカウントとの連携を選択します。

「Import from another browser(他のブラウザからインポートする)」をクリック。
Chromeのデータ引継ぎが簡単にできます。

インポートしたい情報にチェックを入れ、「Import」をクリック。

インポートが完了しました。

この操作により、ブックマークや保存済みのパスワード、拡張機能などがインポートされます。
ダウンロード時にインポートをしなかった場合でも、以下の画面より既存ブラウザからのインポートが可能です。
右上、アイコンの隣の矢印から「設定」を選択。

「Cometの設定」から「別のブラウザからインポートする」を選択

設定画面から「AIデータ保持」をオフにすると、検索履歴や質問内容はAIモデルの学習には利用されません。機密性の高い作業を行う際は、この設定を無効化しておくと安心です。

基本操作
Cometは直感的なUIで、初めての方でも簡単に操作できます。
AIへ質問する際には、画面上部のアシスタントボタンをクリックするとAIチャットパネルが表示されます。そのまま質問や要約指示を入力でき、閲覧中のページ内容をもとにAIが応答します。

検索履歴は画面左側、AIの回答ウィンドウは画面右側に固定表示されます。

プロンプト例
Cometでは、ブラウザ上で直接プロンプトを入力し、検索・要約・整理をワンストップで行えます。
以下は、業務や日常で再現性高く使えるプロンプトの定型例です。
| 利用シーン | プロンプト例 |
|---|---|
| 研究・調査 | 以下のテーマについて、最新の研究動向と主要な論文を3つ挙げ、それぞれの要点を200字以内で要約してください。 テーマ:○○○○ |
| 比較・検討 | 次の2つのサービスについて、料金、特徴、適したユーザー層を表形式で比較してください。 サービスA:○○○○ サービスB:○○○○ |
| メール下書き | 次の内容をもとに、社外向けの丁寧なメール文を作成してください。 目的:○○の提案 相手:○○株式会社 ○○様 トーン:フォーマル |
| 会議アジェンダ | 次回の会議に向けて、以下の情報から議題案と時間配分を含むアジェンダを作成してください。 目的:○○の進捗確認 参加者:営業・開発・マーケ |
| 旅行計画 | 次の条件に沿って、2泊3日の旅行プランを提案してください。 目的地:○○県 希望:観光中心・グルメ重視・公共交通利用 |
これらのプロンプトを活用すると、検索から要約、整理までを一画面で完結できます。
Cometの料金プラン比較

Cometには、無料で使えるプランから高機能な有料プランまで複数の選択肢があり、利用目的や検索頻度に応じて最適なプランを選ぶことで、コストを抑えながら快適に活用できます。
ここでは、それぞれの料金プランの違いと特徴をわかりやすく比較していきましょう。
無料で使える範囲
無料ユーザーでも、検索・要約・チャット回答といった基本機能を利用できます。
制限は主に応答速度にあり、高負荷時は待ち時間が発生します。また、履歴保存や高精度モデルの選択が一部制限されますが、日常的なリサーチ用途には十分な範囲です。
有料版で追加される機能
有料プランでは、応答速度の向上、長文要約、外部サービスの連携、さらに最新の大規模AIモデル(GPT-5、Claude Sonnet 4.5、Gemini 2.5 Pro)の利用が可能です。より高度な推論や長文解析に対応し、検索・生成体験をさらに強化します。
Cometの料金プランと機能の違いを分かりやすくまとめました。
| 機能 | 無料プラン | Proプラン | Maxプラン |
|---|---|---|---|
| 月額料金 | $0 | $20 (年払いで$16.67/月) | $200 (年払いはアプリのみ) |
| 基本的なブラウジング | |||
| プロサーチ(1日あたり) | 5 | 300以上 | 無制限 |
| AIアシスタント | |||
| AIモデル選択 | ・Sonar ・GPT-5 ・Claude Sonnet4.5 ・Gemini 2.5 Pro ・Sonnet 4.5 Thinking ・Grok4 | Proプランに加え ・o3 Pro ・Claude 4.1 Opus Thinking | |
| ファイルアップロード | 制限あり | 無制限 | 無制限 |
将来の価格変更リスク
正式版公開後は、利用者数の増加や運用コストの変化により、将来的に料金体系が見直される可能性があります。
PerplexityはすでにAPI提供を開始しており、「Comet Plus」などの有料プラン拡充も進行中です。
長期的に利用を検討する場合は、今後の公式アナウンスを定期的に確認しておくと安心です。
Cometと既存ブラウザとの互換性

Cometは既存のブラウザ環境ともスムーズに連携できるよう設計されており、特別な設定をしなくてもすぐに利用を始められます。
ChromeやSafariなどの一般的なブラウザとの違いを踏まえながら、拡張性や互換性のポイントを詳しく見ていきましょう。
主要なブラウザ拡張機能への対応
CometはChromiumベースのため、Chromeウェブストア経由で多くの拡張機能をそのまま利用可能です。広告ブロッカー、パスワード管理ツール、翻訳ツールなど主要な機能は問題なく動作します。
実際に、「ChatGPT Sidebar」と「Save to Notion」を別のブラウザで設定したショートカットキーを用いてComet上で呼び起こしたところ問題なく起動しました。


サイドバーによるページ要約や翻訳、Notionへのクリップ保存などの機能も正常に動作し、操作感はChromeやEdgeとほとんど変わりません。
この結果から、CometがChromium拡張の互換性を高い水準で保持していることが確認できます。
すでに業務で活用している拡張機能がそのまま動作する可能性が高く、乗り換え後も従来のワークフローを崩さずに利用できる点は大きな利点です。
ブックマーク・履歴の移行
Cometでは、Googleアカウントでログインし、簡単な作業をするだけでブックマークがインポートされます。ワンクリックで既存の閲覧環境をそのまま再現できる点は大きな利点です。

Chromeから乗り換える際も特別な設定は不要で、すぐに作業を再開できます。
Cometのセキュリティ

AIブラウザとしての利便性が注目される一方で、セキュリティ面も気になるポイントです。
Cometは、ユーザーデータの保護や通信の安全性にも配慮した設計が施されており、具体的なセキュリティ対策やプライバシー保護の仕組みを紹介します。
AI機能利用時におけるユーザーデータの取り扱い
Cometで検索履歴や閲覧ページなどの内容はPerplexityのアカウント内で保存され、回答生成に活用される場合があります。
閲覧履歴やキャッシュ、Cookieの管理は以下のプライバシーとセキュリティ画面から設定が可能です。

また、PerplexityのEnterprise(商用)プランでは、ユーザーデータがAIモデルの学習に利用されない仕様となっており、機密情報の漏洩リスクを抑えられます。
さらに、SOC 2 Type II認証を取得し、GDPRにも準拠するなど、企業利用を前提とした高水準のセキュリティ体制が整えられています。
安全に使うためのプライバシー設定
AI学習に自分の個人データを使用されたくない場合、プライバシー設定により利用をオフにできます。
Users who wish to opt out of having their personal data included in AI training can do so by navigating to their Account Settings.
訳:AIの学習に自分の個人データを使われたくない場合はアカウント設定から無効にすることができます。
出典:Data Collection at Perplexity
安全に利用するためには、今後の仕様アップデートや公式発表を注視し、必要に応じてアクセス権限を最小限に保つことが重要です。
Cometのメリット・デメリット

Cometは革新的なAIブラウザとして多くの利点を持つ一方で、注意すべき点も存在します。使い方次第で大きな効果を発揮しますが、すべてのユーザーに最適とは限りません。
ここでは、実際に使う前に知っておきたいメリットとデメリットを整理して紹介します。
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 検索・回答速度 | AIモデルにより非常に速く高精度な回答が得られる | ニッチな情報や古い情報は従来エンジンの方が得意な場合がある |
| 情報の信頼性 | 回答ごとに引用元を表示、ファクトチェックがしやすい | 情報ソースに偏りの出ることがある |
| 作業効率 | ブラウザとAIアシスタントが一体化しており、調べ物やタスクが大幅に時短可能 | AIが自動で処理しすぎて、誤操作や意図せぬ実行も起きやすい |
| 機能統合 | 複数タブ・メール・カレンダー・買い物サイト等をAIで一元操作 | 特定のページや権限設定により、動作しない拡張機能がある |
| プライバシー | 標準で広告ブロッカーを搭載 | 拡張機能や細かな設定項目はChrome/Edgeより少ない場合がある |
| AI日本語対応 | 日本語性能は向上傾向 | まだ細かいニュアンスや創作は不得意 |
メリット
Cometを利用する最大のメリットは、情報収集・要約・実行を一つの画面で完結できる点にあります。
従来のブラウザでは、複数のタブを開いて情報を比較・整理する必要がありましたが、CometではAIが検索意図を理解し、要点を自動でまとめてくれます。さらに、関連ページの提案や要約履歴の保存にも対応しており、リサーチ業務の反復作業を大幅に削減できます。
また、Chromiumベースのため操作感はChromeに近く、AI機能を追加しても動作が軽快です。生産性と操作性を両立できる実務向けAIブラウザとして、日常業務にもすぐに取り入れやすいのが特徴です。
デメリット
一方で、Cometにはいくつかの注意点もあります。
現在は一般公開されており、β段階に比べて安定性は向上しましたが、新機能の追加に伴う挙動の変化や一部環境での不具合が生じる可能性はあります。また、日本語検索ではAI要約の精度にばらつきがあり、英語サイトに比べて情報整理の質がやや劣るケースも見られます。
さらに、AIが自動的にページ内容を解析する仕組み上、プライバシー設定やデータ保持の管理がやや複雑です。業務利用の場合は、設定を適切に調整しないと情報が外部に送信されるリスクもあるため、導入時には慎重な確認が求められます。
まとめ
Perplexity Cometは、AIを検索の補助から情報整理と判断の支援ツールへと進化させるブラウザです。既存のChromeやEdgeと比べても、リサーチ効率や要約機能の完成度は高く、特に情報収集を日常的に行うビジネスユーザーに向いています。
一方で、正式版として安定運用が進んだ現在でもセキュリティや設定面での注意は欠かせません。今後さらに改善が進めば、CometはAI時代のブラウザとして多くのユーザーに選ばれていく可能性が高いでしょう。
