カリフォルニア州上院は、亡くなったアーティストや有名人の肖像や声をAI技術でデジタルレプリカとして再現する際、遺族や権利を持つ団体から事前の許可を得ることを義務付ける法案「AB 1836」を可決しました。
この法案は現在、ギャビン・ニューサム知事の署名を待っており、成立が確実視されています。
この法案は、映画やテレビ番組、ビデオゲーム、オーディオブック、音楽録音などにおいて、AIを用いて故人のパフォーマンスを再現する行為に対する規制を強化するものです。
SAG-AFTRA(映画俳優組合)が主導したこの法案は、AI技術が進化する中で、パフォーマーの権利を保護するための重要な措置とされています。
SAG-AFTRAは声明で、「AB 1836の可決は、故人のデジタルレプリカを無断で使用することを防ぎ、パフォーマーの尊厳を守るための重要な一歩です」と述べ、法案の成立を歓迎しました。
この法案は、同様の目的で成立した「AB 2602」に続くものであり、今後カリフォルニア州内でのAI技術を利用した故人の再現に対する厳格なルールを定めることとなります。
この法案の支持者たちは、AI技術が進展するにつれて、故人の肖像や声を無断で使用するリスクが高まっていると指摘しています。
例えば、2000年に亡くなったオリバー・リードが出演した『グラディエーター』や、2015年に亡くなったポール・ウォーカーが出演した『ワイルド・スピード7』、さらには『スター・ウォーズ』シリーズでのピーター・カッシングやキャリー・フィッシャーの再現など、過去にAIを用いた故人のパフォーマンスが話題となったケースでは、いずれも遺族や権利者の許可が得られていました。
また、SAG-AFTRAはAI技術を利用した新たな試みとして、AIスタートアップ企業Narrativと提携し、俳優が自身の声をAIレプリカとして提供できるオンラインマーケットプレイスを創設する合意も発表しています。
この動きは、俳優やAI技術の分野で議論を呼んでおり、今回の法案の成立はこの議論をさらに深めるものとなるでしょう。
出典:California Passes Law Requiring Consent for AI Use of Dead Performers