
「ChatGPTで勉強に挑戦したいけれど、普通のチャットとの違いがわからない」
そんなときに役立つのが、2025年7月に登場したChatGPTのStudy Modeです。日本語版では「学習モード」という名前で表示され、無料プランでも手軽に利用できます。
今回は、ChatGPTのStudy Modeの「あらゆる学びをサポート」を選択した使い方を手順つきで紹介し、語学・数学・プログラミングなど科目別の活用アイデアをまとめました。
授業や独学にそのまま取り入れられるヒントが満載です。
ChatGPT Study Mode(学習モード)とは?「あらゆる学びをサポート」を選択したときの機能と特徴

2025年7月29日、OpenAIはChatGPTに新機能「Study Mode(学習モード)」を追加しました。
日本語版ではツール一覧に「あらゆる学びをサポート」と表示され、このモードをオンにすると、ChatGPTが従来の即答型ではなく、人間の考える力を引き出す対話型の学びサポートに切り替わります。
ChatGPT Study Modeのサポート機能の概要について
従来のChatGPTは「質問されたら即答」を基本としていました。これは効率的である反面、学習が受け身になりやすい側面がありました。
そこでStudy Modeは、「ソクラテス式問答法」によるヒント式対話で、「なぜそうなるのか」を自分で考える起点を与え、さらに一度に情報を詰め込まず小さなステップで理解を積み上げられるよう段階的に説明します。
途中でクイズや振り返り質問で理解度を確かめ、学習者のレベルや目的に合わせて内容や難易度、進め方を柔軟に調整します。
これにより、暗記ではなく「理解の定着」をめざす能動的な学びが実現し、教育現場はもちろん、自己学習や企業研修など多様なシーンで活用できます。
従来のチャット機能との違いと学習モードのメリット
ChatGPTにはこれまで「質問に対してすぐ答えを返す」という従来のチャット機能(通常モード)がありました。これは、わからないことを短時間で調べたいときには非常に便利です。
ですが、答えを即座に知ることはできても、その背景や考え方を深く理解するのは難しい場合があり、特に学習やスキル習得の場面では「なぜそうなるのか」という理解が欠けやすく、記憶の定着にもつながりにくいという課題がありました。
そこで登場したのが、ChatGPTのStudy Mode(学習モード)です。
このモードは単に正解を提示するのではなく、ヒントや段階的な説明を交えながら、ユーザーが自分で答えを導き出せるようサポートします。
項目 | Study Mode(学習モード) | 従来モード |
---|---|---|
回答スタイル | ヒント式・対話型 | 即答型 |
情報提示 | 段階的に分割 | 一度にまとめて |
学習の主体性 | 自発的に考える機会が増える | 受け身になりやすい |
フィードバック | 誤解の原因と改善案を提示 | 正誤のみ |
ChatGPT Study Mode(学習モード)の起動手順と基本的な使い方を解説

ChatGPTのStudy Modeは知っていても、実際どうやって使うのかがわからないという人も多いはずです。
そこで、無料・有料プラン共通の起動手順を解説します。
数クリックで切り替えられるので、慣れれば日常の学びにすぐ取り入れられます。
無料プランと有料プラン共通の起動手順
Webブラウザまたはモバイルアプリからアクセスします。

画面下部の入力欄左側の「+」、または更にメニュー下部の「⋯」から「Tools(ツール)」を開きます。

チェックを入れると学習モードが開始します。

「あらゆる学びをサポート」のチェックを外す、もしくはチャット内の「勉強する」を消せば通常モードに戻ります。

基本的な使い方について
ChatGPT Study Modeでは、学びたい内容を自由に質問できるようになっているため、わからないところをそのまま尋ねると、丁寧に解説してくれます。
さらに、クイズや練習問題を自動で作成してくれるので、テスト形式で練習しながら理解度をチェックすることも可能です。教科書やノートの内容を入力すれば、重要なポイントを整理してまとめてくれるので、効率よく復習できます。
また、暗記が必要な分野ではフラッシュカード形式を使って覚えるサポートもしてくれるため、自分の学習スタイルに合わせて幅広く活用できるのが特徴です。
ChatGPT Study Modeの「あらゆる学びをサポート」を活用した科目別シナリオとプロンプト

ChatGPT Study Modeの「あらゆる学びをサポート」は、語学から数学、プログラミングまで幅広い分野の学習に対応できる万能なAI学習ツールです。
従来の即答型チャットと異なり、ヒントや段階的な説明、そして理解度チェックを交えながら学びを深めるやり取りが可能になります。
この機能を効果的に活かすには、学習内容に合わせた具体的なプロンプトが欠かせません。
そこで、科目別に想定される学習シナリオと、それぞれの場面で使える実践的なプロンプト例を紹介します。
「どんな聞き方をすれば、より深い学びができるのか?」を具体的にイメージしながら学習に取り入れてみてください。
語学学習のシナリオ
語学学習には、「文法」と「英会話」の大きく分けて2つのジャンルがありますが、ChatGPTを使えば、どちらの勉強にも対応できます。まずは、英文法をチェックしたい人向けに、英作文の添削例を紹介します。
ユーザー:「I go to Tokyo yesterday. 間違いを直して」
ChatGPT:「正しい形は “I went to Tokyo yesterday.” です。時制が過去形であるため ‘go’ → ‘went’ に変更します。」
次に、ChatGPTと会話形式で練習するシミュレーション例をご紹介します。会話形式なので、ChatGPTの返答にさらに返答を重ねることで、実際の英会話のように会話を続けていくことができます。
ChatGPT:「空港でチェックインするとき、英語でどう言いますか?」
ユーザー:「I want to check in.」
ChatGPT:「良いですね。より自然に ‘I’d like to check in, please.’ とすると丁寧です。」
ChatGPTで英語学習する具体的な方法は以下の記事でも詳しく紹介しています。

数学のシナリオ
次は数学の勉強方法です。数学では自分で考えることがとても大事なので、ChatGPTにいきなり答えを聞くのではなく、ヒントをもらって考えるという使い方がおすすめです。
ユーザー:「3x+2=11 を解きたい」
ChatGPT:「ヒント1:xの項を片方に集めましょう。」
ユーザー:「3x=9」
ChatGPT:「ヒント2:xを求めるには、両辺を何で割ればいいでしょう?」
ユーザー:「3」
ChatGPT:「その通り、x=3 です。」
プログラミングのシナリオ
プログラミングをしていると、どうしてもエラーはつきものです。そのため、「デバッグ」と呼ばれる、エラーを一つずつ潰していく作業がとても重要になります。練習するときは、クイズ感覚でエラーを見つけるような方法がおすすめです。
ユーザー:「このPythonコードがエラーになる理由は?」
for i in range(5)
print(i)
ChatGPT:「ヒント:構文エラーです。for文の末尾に必要な記号を確認してください。」
ユーザー:「: が抜けてますね。」
ChatGPT:「正解です。」
自己テストや復習への活用
クイズ形式で理解度をチェックしたい場合は、以下のようなプロンプトが有効です。
「今日学んだ内容をもとに、3問のクイズを出してください」
「このテーマで穴埋め問題を作ってください」
ChatGPTが選択式や穴埋め式で問題を出題。回答後すぐに正誤と解説が返ってくるため、知識の定着度をその場で確認できます。
要約で理解度をチェックしたい場合は、以下のようなプロンプトを試してみてください。
「今日の学習内容を100字でまとめてください」
要約を作る過程で、学んだ内容を整理し直すことができ、理解度の自己診断にもなります。
弱点克服プランの作成をしたい場合に使えるプロンプト例は以下の通りです。
「間違えた問題だけで復習プランを作ってください」
苦手分野をピンポイントで復習できるため、効率的に弱点を克服できます。
ChatGPT Study Modeで学習効率を最大化する使い方は?
ChatGPT Study Mode(学習モード)は、よく使う情報や書き方を記憶し、必要なときにすぐ呼び出せる便利な機能です。
しかし、やみくもに情報を入れるだけでは、思ったような結果が得られないこともあります。
そこで大切なのは、覚えさせ方と呼び出し方にちょっとした工夫を加えることです。
まず意識したいのは、覚えてほしい内容をはっきり決めることです。
よく使う情報に絞ることで精度が上がり、実用的に活用できます。たとえば、プロフィールや文章のトーン、商品説明、プロジェクト名などが良い例です。
さらに保存する際には「タグ+説明」をつけると後から探しやすくなります。たとえば、「【トーン】SNS投稿用/やわらかく信頼感のある文章」「【プロジェクト】香り診断キャンペーン2025」といった形です。
また、一度に詰め込みすぎないこともポイントです。長文をひとつにまとめて覚えさせるよりも、テーマごとに小分けにした方が正確に反映されます。
そして実際に使うときは「学習内容+追加指示」を意識しましょう。覚えさせた情報に加えて、目的や用途を明確に伝えることで、より的確なアウトプットにつながります。たとえば「学習モードにある『香り診断キャンペーン2025』を使ってInstagram向けの短文を作成してください」と依頼するイメージです。
さらに、定期的な更新も欠かせません。古い情報を削除し、新しい内容に入れ替えることで、常に鮮度を保ちながら使うことができます。
こうした工夫を積み重ねることで、学習モードは単なる記憶のストックから、あなたの学びや仕事を支える「頼れるパートナー」へと進化していくのです。
ChatGPTの無料プランと有料プランの違いと学習モードを使用する時の注意点について

ChatGPT Study Modeの「あらゆる学びをサポート」は無料プランでも有料プランでも利用可能ですが、使用できるモデル・応答速度・機能の範囲には違いがあり、学習体験の質にも影響します。
また、学習モードを効果的に使うためには、いくつかの注意点も押さえておく必要があります。
ChatGPTをこれから始める方やプラン変更の検討をしている方に、ChatGPTの無料プランと有料プランの違いをわかりやすく比較し、さらに学習モード利用時に気をつけるべきポイントを解説します。
「どちらのプランで始めるべきか」「どう使えば学びの効果を最大化できるか」を判断するための参考にしてください。
ChatGPTの無料プランと有料プランの違いについて
ChatGPTの個人利用向けプランとしては、大きく分けて無料(Free)と有料(Plus/Pro)があります。
「あらゆる学びをサポート」が使えるStudy Mode(学習モード)はどちらでも利用可能ですが、使用できるモデルや速度、同時利用可能な機能に違いがあります。
項目 | 無料プラン(Free) | 有料プラン(Plus/Pro) |
---|---|---|
利用可能モデル | GPT-5(回数制限あり) ※制限を超えたらGPT-5 miniへ移行 | GPT-5の回数制限が大幅に緩和 GPT-5 Thinkingや過去モデルにアクセス可 |
応答速度 | 通常 | 高速応答(モデルにより差あり) |
同時利用ツール | 高度なデータ分析や画像生成も利用可能 ※回数制限あり | 高度なデータ分析や画像生成も利用可能 |
学習モードの利用 | 可能 | 可能(高性能モデルでの利用推奨) |
利用制限 | 高負荷時に制限あり | 優先アクセスで制限が少ない |
無料プランでも学習モードは十分活用できますが、処理速度や回数制限の緩和を重視する場合は有料プランの方が快適です。
学習モードを活用する時の注意点について
ChatGPTのStudy Mode(学習モード)を効果的に活用するためには、いくつかの大切なポイントを意識する必要があります。
まず、情報の正確性を常に確認することが重要です。ChatGPTが提示する内容は必ずしも最新の事実とは限らないため、特に数値や法律、学術的な情報については信頼できる資料で再確認する姿勢を持つことが欠かせません。
また、回答をそのまま鵜吞みにしないことも大切です。学習モードは、自分で考える力を伸ばすためのサポートツールです。ChatGPTの説明やヒントを手がかりにしながらも、最終的には自分自身で答えを検証する習慣を持つことが、理解の定着や応用力の向上につながります。
さらに、質問の仕方にも工夫が求められます。単純に「教えて」と尋ねるだけでは通常モードと大差なくなってしまいます。「段階的に説明してほしい」や「まずヒントから教えて」など、意図を具体的に伝えることで、より学びに適したやり取りが実現できます。
最後に、長時間利用による集中力の低下にも注意が必要です。対話型の学習は楽しく没頭しやすい反面、集中力が続かなくなることもあります。適度に休憩を挟み、学んだ内容を振り返りながら進めることで、学習効果をより高めることができるでしょう。
ChatGPT Study Modeで学習効率を最大化する活用方法は?
ChatGPTのStudy Mode(学習モード)は、ただ起動して質問するだけでも便利ですが、使い方を工夫すれば学習効率をさらに高められます。
まずは学ぶ目的をはっきりさせてから使うことが大切です。次に、ChatGPTに「ヒントから教えて」や「ステップごとに説明して」などと指示し、段階的に学べるプロンプトを工夫しましょう。
学んだことはそのままにせず、自分の言葉で説明したりクイズに挑戦したりして、アウトプットと復習を習慣化することもポイントです。
そして、間違えたときは「なぜ間違えたのか」を必ず確認し、積極的に分析して次に活かすようにします。
こうした使い方を意識すれば、ChatGPT Study Modeは「答えをくれるだけのAI」ではなく、一緒に学びを進めてくれる心強いパートナーになります。
まとめ
ChatGPT Study Modeの「あらゆる学びをサポート」は、答えをただ教えてくれるだけの機能ではありません。
使い方次第で、語学・数学・プログラミングから資格試験対策まで、あらゆる分野の学びを支えてくれる「伴走型の学習パートナー」になります。
目的を明確にして段階的な学び方を設計し、アウトプットや復習を習慣化して間違いから学ぶ。この4つの工夫を取り入れるだけで、学習モードの効果は何倍にも広がります。
無料プランでも始められ、有料プランならさらに快適に活用できるこの機能。AIと一緒に考え、理解を深める学びの時間は、きっとこれまでよりも充実したものになるはずです。