
米AI企業のScale AI(スケールAI)は13日、米Meta(旧フェイスブック)から大型投資を受けたことを発表しました。この投資によりScale AIの企業評価額は290億ドル(約2兆9000億円)を超え、MetaはScale AIの株式49%を取得することになります。
なお、投資金額が約143億ドル(約1兆4300億円)だったことを米メディアのBloombergが報じています。
今回の投資契約に伴い、Scale AIとMetaの商業的な関係が大幅に拡大され、特にScale AIが提供するデータソリューションの展開が加速される見通しです。また、Scale AI創業者でCEOのアレクサンドル・ワン氏がMetaに移籍し、Metaが注力する「スーパーインテリジェンス(人工一般知能、AGI)」開発チームに参加することも明らかになりました。ただし、ワン氏は今後もScale AIの取締役として同社の経営に引き続き関与するとしています。
ワン氏の後任としてScale AIの暫定CEOに就任するのは、同社の最高戦略責任者だったジェイソン・ドレーグ氏です。ドレーグ氏は2024年9月にScale AIに入社する以前、配車サービス大手Uberのフードデリバリー事業「Uber Eats」の立ち上げや、Axon(旧Taser)のクラウド戦略の推進など、テクノロジー分野で豊富な実績を積んできました。
Scale AIは2016年に設立され、自動運転車向け画像データの作成や、大規模言語モデル(LLM)のトレーニングデータ提供で知られる企業です。同社はOpenAIやAnthropicなど業界をリードするAI企業を主要顧客に抱えており、AI技術の進歩とともに需要を拡大してきました。
Meta CEOのマーク・ザッカーバーグ氏は近年、AI技術への取り組みを再び強化しており、OpenAIやGoogleといった競合企業に対抗するため、Scale AIとの関係拡大を重視しています。Metaは自社の大規模言語モデル「Llama」をオープンソース化し無料提供するなど、他の大手テック企業とは異なる戦略を取っていますが、最新の高性能モデル「Llama 4 Behemoth」はまだ一般公開していません。
今回調達した資金についてScale AIは、新たなイノベーションの推進や顧客とのパートナーシップ強化に活用する計画です。また、投資資金の一部は株主や従業員にも還元され、流動性を提供するとともに企業の成長に引き続き参加する機会が与えられる予定です。
出典:Founder, Alexandr Wang, Joins Meta to Work on AI Efforts | Scale
出典:Meta invests $14.3B in AI firm Scale