
Appleが昨年10月から展開するAI機能「Apple Intelligence」の利用率が社内データで非常に低いことが、Bloombergの報道で明らかになりました。
Apple Intelligenceには、メールの自動整理や通知の改善、AI生成の絵文字「Genmoji」、写真を漫画風に加工する「Image Playground」などが含まれています。
しかし、これらの機能はあくまで付加価値にとどまっており、一部の機能は実用性が低いとの評価も出ています。
Appleが今後の成否をかけて注力しているのが、AIを活用した次世代Siriの開発です。
昨年6月に発表された新しいSiriは、コンセプト動画では高度な完成度を見せましたが、実際には未完成のプロトタイプ段階にとどまっているとされています。
この新型Siriは、iOS 18.5とともに2025年5月のリリースを目指していますが、技術的な課題が多く、開発は遅れ気味です。
さらにAppleは当初、2026年春リリース予定のiOS 19.4で、従来のSiriと新しいAIシステムを融合させたアーキテクチャの刷新を計画していました。
このタイミングで、「LLM Siri」と社内で呼ばれる、より自然な対話が可能な次世代版の導入を目指していましたが、この計画も開発の遅れから、予定通りの実現が難しくなっています。

現在のApple社内の見通しによると、本格的な会話型のSiri(LLM Siri)の完成とリリースは、早くても2027年のiOS 20の登場まで待つ必要があると予測されています。
AppleのAI開発の遅れは、競合他社と比較すると一層際立っています。
Amazonが最近発表した「Alexa+」は、ユーザーの趣味や生活環境を把握し、人間のような自然な会話が可能です。

OpenAIの「ChatGPT」やGoogleの「Gemini」も急速に進化している中で、Appleが追いつくためには相当な努力が求められます。
AppleはAI開発の強化を図るため、昨年Vision Proプロジェクトを担当していたベテランマネージャーのKim Vorrath氏をAIチームに異動させるなど体制を強化しています。
ただし、部門内では人材の流出やリーダーシップへの不満といった課題も残っています。
Apple幹部は、ハードウェア、ソフトウェア、サービスが緊密に連携する同社の強みを理由に、AI分野での遅れが即座にユーザー離れを引き起こすとは考えていませんが、急速に進化するAIの潮流に乗り遅れれば、長期的な競争力が大きく損なわれる恐れがあります。
出典:Apple Siri Compared With Alexa+; M4 MacBook Air and iPad Air 2025 Coming Soon – Bloomberg