
アメリカのプロバスケットボールリーグNBAで、AI技術を用いた新たなトレーニング手法が注目を集めています。
2025年のNBAオールスター・テクノロジー・サミットにおいて、コミッショナーのアダム・シルバー氏とゴールデンステート・ウォリアーズが「Physical AI(フィジカルAI)」の導入を正式に発表しました。
ウォリアーズではステフィン・カリー選手やドレイモンド・グリーン選手、ヘッドコーチのスティーブ・カー氏が、日々の練習やルーティンに複数のAIロボットを組み合わせる取り組みを行っています。
NBAの公式Xアカウントには、シュート時に自動でリバウンドとパスを担う「Automated Basketball Engine(通称A.B.E.)」を使ってカリー選手がシュート練習を行う様子が投稿されています。
MEET A.B.E.
— NBA (@NBA) February 14, 2025
Automated Basketball Engine that rebounds and passes to players during shooting sessions. pic.twitter.com/r8ky0dDOyp
他にも、コーチの戦術設計を助ける「M.I.M.I.C.(Motion & Intercept Modular-Interface Coordination)」が大きな役割を果たしているようです。
Meet M.I.M.I.C.
— NBA (@NBA) February 14, 2025
Motion & Intercept Modular-Interface Coordination who assists coaches in designing and teaching plays. pic.twitter.com/gtMCOmJZ6W
さらに、「K.I.T.(Kinematic Interface Tool)」は選手やスタッフのコミュニケーションを支え、メンタル面のケアも行います。
MEET K.I.T.
— NBA (@NBA) February 14, 2025
Kinematic Interface Tool that provides companionship to players and staff. pic.twitter.com/otQcwSwf2K
また、プレイヤーの準備と回復を支援する「B.E.B.E.(Bot-Enhanced Basics & Equipment)」など、それぞれが特色ある機能を担っています。
MEET B.E.B.E.
— NBA (@NBA) February 14, 2025
Bot-Enhanced Basics & Equipment that aids players with preparation and recovery. pic.twitter.com/xrCFgEmhhJ
これらのロボットは単に反復作業を省力化するだけではなく、タブレット操作で2-3ゾーンなどのディフェンス戦略を瞬時に再現したり、選手の細かな動きに即応してオフェンスをシミュレートしたりと、従来の練習を大幅に発展させています。
ロボットとのやり取りに荒い言葉が交じる様子も見られますが、それだけコーチや選手たちが人間同様に扱っている証拠だと考えられます。
一方で、ロボットが映画の話題を持ち出したり、意図せずスピーカーをハッキングして音楽を流したりするなど、個性的な一面も紹介されました。
選手は「ロボットは水分補給も不要で、休むことがないため、こちらも練習意欲が高まる」と語り、チーム内ではもはやロボットが日常風景として受け入れられているようです。
ウォリアーズの取り組みは「ロボットが選手と同じ空間でプレイを学び合う」という形で、人間とテクノロジーの協働をさらに進めようという狙いがうかがえます。
コート上のパフォーマンス向上だけではなく、選手の精神面やチーム内のコミュニケーションにも寄与できる点が興味深いところでしょう。
アダム・シルバー氏は、この事例をきっかけにNBA全体で新たなテクノロジーを積極的に受け入れる姿勢を示しており、スポーツ界におけるAI活用の流れはさらに加速していく見通しです。