
OpenAIが最近発表したブログで、イーロン・マスク氏が初期段階からOpenAIの営利化を望んでいたとする詳細な経緯が明らかにされました。
同氏は過去数年間、OpenAIが非営利でオープンな理念から離れ、「閉鎖的で利益目的の組織」に変わったと批判してきましたが、実際には営利化を提案し、主導しようとした事実が記されています。
2015年に非営利組織として設立されたOpenAIは、2017年初頭、AI研究の進展により汎用人工知能(AGI)の開発には予想を大幅に超える計算資源と資金が必要であると判明しました。
この課題に対応するため、マスク氏を含むOpenAIのリーダーたちは営利化の必要性を議論しました。
同年9月、マスク氏は「Open Artificial Intelligence Technologies, Inc.」という公益法人を設立し、これを営利的な新しいOpenAIの形態として提案。

※2017 年9月15日にイーロン・マスクによって設立された公益法人
しかしその直後、マスク氏は過半数の株式保有やCEO就任などの全面的な支配権を要求しました。
OpenAI側はこれを「ミッションに反する」として拒否。
結果として、公益法人「Open Artificial Intelligence Technologies, Inc.」の構想は実現せず、マスク氏は2018年初頭にOpenAIを離れる決断を下しました。
その後、OpenAIは2019年に「OpenAI LP」という制限付き営利構造を採用し、巨額の資金調達を可能にしつつ、非営利団体が引き続き運営を管理する形を取ることで、ミッションを維持する道を選びました。
一方、マスク氏は2023年に競合組織「xAI」を設立し、さらにAI開発の一時停止を求める公開書簡に署名するなど、OpenAIに対する批判的な立場を強めています。

これらの対立は、OpenAIが「全人類に利益をもたらすAGI」を目指しながら、現実的な資金調達の課題に直面した結果であり、同時にAI業界全体の透明性や倫理的責任の重要性を浮き彫りにしています。