グローバル決済大手のStripeは、AIエージェント向けの専用SDK「Stripe Agent Toolkit」を発表しました。
このSDK(ソフトウェア開発キット)により、大規模言語モデル(LLM)を活用したAIエージェントが、支払いや請求といった複雑な金融プロセスを動的に処理できるようになります。
Stripe Agent Toolkitは、Vercel AI SDK、LangChain、Crew AIなどの人気フレームワークと互換性があり、開発者が迅速にAIエージェントを構築するのを可能にします。
AIエージェントは、これまで人間が手動で行ってきたプロセスを全自動化する「エージェンティックワークフロー」を実現します。
例えば、顧客が航空券の検索から購入までをAIに依頼するシナリオでは、エージェントがクエリを解釈し、最適なフライトを検索し、選択肢を提示、最終的には購入手続きを代行します。
この一連の流れにStripeのAPIを組み込むことで、エージェントが金融サービスを利用して直接決済を実行できるようになります。
StripeのSDKはNode.jsやPythonで動作し、主要なAIフレームワークとシームレスに統合可能です。
例えば、ユーザーに請求書を送信したり、製品の価格を管理したりといった幅広い用途に対応します。
また、Stripe Issuingを利用すれば、エージェントは一時使用可能な仮想カードを発行し、ビジネス購入を代行することも可能です。
これにより、企業内での購買プロセスが効率化され、購入意図と実際の取引が一致することを保証します。
たとえば、指定された予算内で購入可能なフライトを検索し、最適な選択肢に基づいてカードを発行するシナリオが挙げられます。
Stripe Agent Toolkitは、使用するAPI機能を最小限に制限する設計が施されています。
この制限により、エージェントの誤操作や予期しないタスク失敗を防ぐことが可能です。
また、使用ベースの課金機能を統合することで、AIサービスの利用量に応じた正確な料金請求も実現できます。
たとえば、トークンの使用量に基づいて顧客の利用料金を計算し、適切な請求書を発行する仕組みです。
StripeのSDKは、現在テストモードでの利用が推奨されています。
非決定的な動作を行うエージェントの特性上、適切な評価を行いながら導入を進める必要があります。
また、リクエストやレスポンスデータを簡略化し、エージェントが必要な情報だけにフォーカスすることで、タスクの精度と効率が向上します。
エージェントを活用したビジネス自動化の新たな可能性を示しています。
出典:Adding payments to your LLM agentic workflows | Stripe Dot Dev Blog