ソフトバンクのビジョンファンドが、OpenAIに5億ドル(約750億円)の出資を行うことが米メディアのThe Informationによって報じられました。
この出資は、時価総額1,500億ドルと評価されたOpenAIの最新の資金調達ラウンドの一環であり、ソフトバンクにとって初めてのOpenAIへの投資となります。
このラウンドは総額65億ドルに達する見込みで、Thrive Capitalが10億ドル以上の投資を予定しているほか、Tiger Global Management、Coatue Management、Microsoft、アラブ首長国連邦の基金MGX、Dragoneer Investment Group、Nvidiaなども参加を検討しています。
当初は資金調達ラウンドに参加するとみられていたAppleは、最終的に撤退を決めています。
OpenAIは、ChatGPTの開発で世界的な注目を集めており、その生成AI技術は業界で大きな期待を寄せられています。
今回のソフトバンクによる5億ドルの投資は、生成AI分野への初の本格的な参入となり、孫正義CEOの長年のAIへの期待を反映したものです。
孫氏はこれまでもAIの未来に強い信念を示していましたが、同社のAI関連の取り組みは、主に半導体子会社であるArmに依存していました。
Armは、データセンターやスマートフォン向けのチップ技術を提供し、AIの進展に不可欠な役割を果たしています。Armの株価上昇に伴い、ソフトバンクの株価も過去1年間で約35%上昇しました。
しかし、今回のOpenAIへの出資は、ソフトバンクが生成AI分野での投資を強化する新たな一歩を示しています。
過去には、孫氏がOpenAIの競合であるMistralへの投資を拒否し、代わりにAI検索スタートアップのPerplexityに小規模な投資を行ったことがありましたが、今回の出資は、ソフトバンクの生成AI分野への注力が一層明確化されるものです。
ソフトバンクのビジョンファンドは、過去にWeWorkやKaterraなどに対する巨額の投資が失敗に終わったことで評判を落としましたが、DoorDashやCoupangへの成功した投資により損失の一部を補っています。
第2ビジョンファンドは完全にソフトバンクの自社資本で運営されており、これまでに540億ドルを投資していますが、その評価額は現在310億ドルにまで減少しています。
今回のOpenAIへの5億ドルの出資は、ソフトバンクが再びAI分野での影響力を強化するための大きな一歩であり、生成AI分野における主導的役割を果たすための重要な賭けといえます。
孫正義氏の長年のビジョンが、この出資によってどのように具体化されていくのか、今後の展開に注目が集まります。
出典:SoftBank to Invest $500 Million in OpenAI — The Information