
マイクロソフトは、業務に特化した新型の推論型AIエージェント「Researcher(リサーチャー)」と「Analyst(アナリスト)」を発表しました。
両エージェントはMicrosoft 365 Copilotの新機能として、2025年4月から「Frontier」プログラムを通じ、一部の顧客に向けて段階的に提供されます。
新たに発表された「Researcher」と「Analyst」は、ユーザーが持つメールや会議、ファイル、チャットなどの業務データに、安全でコンプライアンスを遵守したアクセスを行います。
さらに、ウェブや外部サービスのデータも連携させ、膨大な情報を分析して専門的な知識やインサイトをオンデマンドで提供する仕組みです。
「Researcher」は複雑で多段階のリサーチ業務をサポートするAIエージェントです。
OpenAIの高度なリサーチモデルにMicrosoft 365 Copilotが備える強力なオーケストレーション機能と深い検索能力を統合し、従来よりも質が高く、正確な調査結果を提供します。
具体的な活用例として、社内外のデータをもとにした詳細な市場参入戦略の構築、新製品開発のための未開拓市場(ホワイトスペース)の発見、あるいは顧客向けに作成する四半期ごとの包括的レポートなどがあります。
またResearcherはSalesforce、ServiceNow、Confluenceなどのサードパーティーサービスのデータもコネクターを通じて直接Microsoft 365 Copilotに取り込み、分析結果をさらに包括的で高度なものにします。
他のエージェント(例えばSales Chat)を経由して情報を取得することも可能であり、これによりユーザーはより広範なデータソースを活用できます。
「Analyst」は、熟練したデータサイエンティストのような推論を行い、生データから数分以内に有益な洞察を導き出します。
AnalystはOpenAIの「o3-mini」推論モデルを基盤としており、チェーン・オブ・ソート(思考連鎖)という推論手法を活用して、複雑な問題を段階的かつ反復的に解決します。
特に複雑なデータ分析に強く、Pythonコードをリアルタイムで実行して分析を行い、そのコードをユーザーが確認・検証することも可能です。
具体的には、複数のスプレッドシートに散らばった生データを元に、新製品の需要予測、顧客購買パターンの可視化、収益予測など、ビジネス上の意思決定に役立つ具体的なデータを迅速に生成します。
同時にマイクロソフトは「Microsoft Copilot Studio」に新たな「Deep reasoning(深い推論)」と「エージェントフロー」の機能も追加しました。
Copilot Studioは企業固有のニーズに基づいてAIエージェントを簡単に作成、管理、展開できるプラットフォームです。
この新機能により、企業は自社独自の複雑なビジネスプロセスをエージェントに実行させたり、フローを用いてプロセスを迅速かつ確実に自動化したりできるようになります。
さらに、Copilot Studioで構築するエージェントは、イベントを自ら開始したり、複雑なビジネスタスクを自動で処理したりするなど、自律的に動作することが可能になります。
また企業のITチームは「Copilot Control System」を活用してこれら新しいエージェントが組織内のデータや設定された権限を適切に遵守しながら動作するよう、確実に管理・統制することができます。
マイクロソフトが発表したこれらのAIエージェントや新機能により、業務の効率化、意思決定の精度向上に大きな進展が期待されます。