中国発「DeepSeek-R1」、OpenAIに匹敵するAIモデルが商用利用可能で登場

中国のAIラボ「DeepSeek」は、新しい推論型AIモデル「DeepSeek-R1」を発表しました。

このモデルは、OpenAIの「o1」と同等の性能を持ち、MITライセンスのもとで提供されるため、商用利用や再配布が自由に行えます。

R1は、最先端の技術を活用した大規模AIモデルで、物理学、科学、数学などの分野で高い信頼性を示しています。

MITライセンスとは?

MITライセンスは、自由度が非常に高いオープンソースライセンスで、ソフトウェアを商用利用、改変、再配布できる一方、元の著作権表示とライセンス表記を保持し、保証がない旨を明記する必要があります。このライセンスはシンプルで他のライセンスとの互換性があり、ReactやRuby on Railsといった多くのプロジェクトで採用されていることから、開発者やユーザーにとって柔軟性と利便性を提供しています。

DeepSeekによれば、R1はAIME、MATH-500、SWE-bench VerifiedといったベンチマークテストでOpenAIのo1を上回る結果を記録しました。

AIMEはAIモデルの性能を評価するためのメタ評価ツール、MATH-500は数学的な問題の集合、SWE-bench Verifiedはプログラミングタスクに特化したテストです。

これにより、R1は幅広い分野でその実力を発揮できることが証明されています。

DeepSeek-R1は、驚異的な6710億パラメータを持つモデルとして設計されています。

これはAIモデルの規模としては非常に大きく、特に複雑な推論タスクに優れた能力を発揮します。

一方で、1.5億から70億パラメータに縮小した「蒸留モデル」も公開されており、最小サイズのものは家庭用PCでも動作可能です。

これにより、R1の高度な機能が一般ユーザーにも手の届くものとなっています。

これらのモデルは、公式サイト(https://chat.deepseek.com/)上で無料で利用可能です。

R1は推論型AIモデルとして、回答を生成する際に自ら事実確認を行う能力を持っています。

その結果、通常のモデルよりも信頼性が高い一方、回答に要する時間は長くなります。

特に、科学や数学のような精密さが求められる分野での利用に適しており、専門性の高い課題にも応用が期待されています。

また、DeepSeekはこのモデルをAPI経由で提供しており、OpenAIの同等サービスに比べて最大95%のコスト削減を実現するとしています。

ただし、R1にはいくつかの制約も存在します。

このモデルは中国政府のインターネット規制に従っており、天安門事件や台湾の自治といった政治的に敏感なトピックには回答を拒否します。

この点は、特に国際的なユーザーにとっての課題となる可能性があります。

R1の公開は、AI技術の商用利用と普及を加速させる重要なステップといえます。

これまで高性能AIの利用は一部の企業や機関に限られていましたが、R1のようなモデルの登場により、個人ユーザーでも高度なAI技術を手軽に利用できる環境が整いつつあります。

一方で、米中間の技術競争や輸出規制が今後のAI開発にどのような影響を与えるかは不透明です。

この技術競争が激化する中、R1のようなモデルがどのように普及し、世界中で利用されるのか注目が集まっています。


出典:DeepSeek claims its ‘reasoning’ model beats OpenAI’s o1 on certain benchmarks | TechCrunch

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