手作業でのアンケート集計は時間がかかる上、自由記述の回答をまとめるのは、大変な作業です。
しかし、ChatGPTを活用すれば、プロンプトを使って大量のアンケート集計を無料かつ短時間で行うことができます。
さらに、自由記述の内容もプロンプトで自動的に要約しエクセル出力することも可能です。
この記事では、ChatGPTを活用したアンケート集計・分析の具体的な方法を紹介し、自由記述の処理や分析を効率化するためのテクニックを解説します。
ChatGPTでアンケート分析・集計するプロンプト
ChatGPTを活用することで、アンケートの集計や分析を効率的に行うことが可能です。
特に、大量のデータを迅速に処理することが求められる場合、ChatGPTはプロンプトを通じて、特定の質問に対する回答数を簡単に集計し、自由記述のような複雑なデータも自動的に要約することができます。
このセクションでは、ChatGPTを使ってアンケートを集計・分析する具体的なプロンプトの設定方法を紹介します。
各種の質問形式に応じて、最適なプロンプトを使用することで、効率的な集計が可能になります。
質問ごとに「はい」と「いいえ」の数を集計
「はい」と「いいえ」の二択質問は、アンケート分析の基本的な要素です。
ChatGPTでは、質問ごとにこのような二択回答を集計し、どれだけの回答者が「はい」を選んだのか、また「いいえ」を選んだのかを簡単に数値化できます。
プロンプトに適切な質問を組み込み、回答データを入力することで、短時間で正確な結果を得られます。
例えば、「従業員への満足度アンケート」をまとめたファイルをChatGPTに読み込ませて、以下のプロンプトで指示を出します。
添付したファイルのアンケート結果において、「業務量に満足していますか?」という項目で「はい」と「いいえ」の数を集計してください。
以下の通り、集計結果を生成しました。
念の為、手動でカウントしましたが、「はい」と「いいえ」は正確に集計されていました。
自由記述の内容を集計する方法
自由記述形式の回答は、分析が難しい側面がありますが、ChatGPTはこの難題も解決することができます。
例えば、以下のようなプロンプトを使うことにより、自由記述形式の回答をカテゴリーやこちらが希望する属性ごとに分けて整理することができます。
1. カテゴリー分けのためのプロンプト
「アンケート結果」のファイルのアンケート回答を読み込んで、回答内容に基づいて共通するテーマに分類してください。以下の「出力例」の4つに当てはまらない回答については、別のカテゴリーを生成してください。生成結果はこのチャット上で表示してください。
出力例:
1. カテゴリー: 給与・待遇
2. カテゴリー: リモートワーク、柔軟な働き方
3. カテゴリー: コミュニケーション、チームビルディング
4. カテゴリー: フィードバック、評価制度
自由記述の回答を複数のカテゴリーに分類するための指示を出し、以下のように生成されました。
2. 感情分析のプロンプト
「アンケート結果」のファイルのアンケート回答を読み込んで、回答者の感情を「ポジティブ」「ネガティブ」「ニュートラル」のいずれかに分類してください。また、それぞれの感情の理由を簡潔に説明してください。
出力例:
1. 感情: ネガティブ - 給与に不満を感じている。
2. 感情: ニュートラル - リモートワークの改善を求めているが、強い不満はない。
3. 感情: ポジティブ - チームの協力体制を改善することに前向きな提案をしている。
回答者の3種類の感情を分類するための指示を出し、以下のように生成されました。
それぞれの回答を3種類の感情にカテゴリー分けすることができました。
3. 改善提案の抽出プロンプト
「アンケート結果」のファイルのアンケート回答を読み込んで、それぞれの回答において、どのような改善提案が含まれているかを簡潔にまとめてください。
自由記述の回答において、改善提案が含まれているもの抽出するための指示を出し、以下のような結果となりました。
4. 主要なトレンドの抽出プロンプト
「アンケート結果」のファイルのアンケート回答を読み込んで、全体的なトレンドや繰り返し出現するテーマを要約してください。最も多いテーマや改善要望についても記載してください。
自由記述の回答において、回答者の傾向を抽出するためのプロンプトで指示を出し、以下の結果となりました。
このように、アンケート内で多くの人が似たような意見を持っている場合、その共通点をChatGPTが整理し、まとめてくれます。
これにより、個別にすべての自由記述を確認する手間を省きつつ、重要なポイントを見逃すことがなくなります。
集計結果を基に従業員の傾向を分析
集計結果は単なる数値だけでなく、従業員の傾向や行動パターンを示す重要なデータとなります。
ChatGPTを使って集計したデータを分析することで、どのような回答が従業員に共通しているのか、特定の意見に偏りがあるのかを明らかにできます。
例えば、これまでのアンケートにける出力結果をもとに、以下のプロンプトを与えて分析することができます。
これまでの全ての出力結果をもとに、以下の点を教えてください。
1.従業員の傾向や今後の考え方を分析してください。
2.会社や職場の改善点があれば教えてください。
3.仕事において特にモチベーションが上がる瞬間や状況があれば教えてください。
4.会社がこれからも成長し続け、業績を伸ばすために何ができるか箇条書きで教えてください。
上記のプロンプトによって、以下の分析結果が生成されました。
これにより、従業員のニーズや問題点を具体的に把握し、組織改善のヒントを得ることができます。
このように、生成された結果をもとに、企業はモチベーション向上策を検討し、従業員満足度の改善に繋げることが可能です。
ChatGPTでアンケート分析・集計したものをエクセル形式で出力する
ChatGPTで集計・分析したデータをエクセル形式で出力できることも、大きなメリットの一つです。
エクセルは多くの企業や組織で標準的なデータ管理ツールとして使用されているため、ChatGPTで得られた結果をエクセル形式で簡単に出力できることで、さらにデータの管理や報告が効率的になります。
プロンプトに「これまでの結果をエクセル形式で出力してください」と指示を入れることで、ChatGPTが集計結果を整理し、すぐにエクセルでの管理が可能になります。
これまでの結果をエクセル形式で出力してください。
チャット上に表記されいるリンクからダウンロードすることができます。
これにより、手作業によるデータ入力の手間を省き、正確なデータを保持しながら迅速な分析が実現します。
ChatGPTでアンケート分析・集計をするメリット
ChatGPTを活用したアンケート分析には、さまざまなメリットがあります。
特に、時間と労力を大幅に削減できる点が大きな魅力です。
また、手動で行うと見落としがちなデータの傾向やパターンを、ChatGPTが正確に抽出してくれるため、より高度な分析が可能になります。
以下では、具体的なメリットを詳しく解説します。
時間とコストの削減
ChatGPTを利用したアンケート集計・分析の最大のメリットの一つは、時間とコストの大幅な削減です。
従来、アンケートデータを手作業で集計・分析する場合、特に自由記述の内容を含む大量のデータは膨大な労力を要します。
しかし、ChatGPTを活用すれば、プロンプトを使って短時間で必要なデータを集計できるため、時間を大幅に節約できます。
また、外部の専門業者にデータ分析を依頼する場合には高額なコストがかかることが多いですが、ChatGPTを利用することで、コストを最小限に抑えつつ高精度な分析が可能です。
特に、頻繁にアンケートを実施する企業や組織にとっては、長期的なコスト削減効果が期待できるでしょう。
加えて、AIが自動で集計を行うため、手作業によるミスを防ぐことができるため、さらなる業務効率化を図ることができます。
正確で一貫性のあるデータ分析
データ分析の際、手作業ではどうしてもミスが発生する可能性がありますが、ChatGPTを使用することでそのリスクを最小限に抑えることができます。
AIは事前に設定したプロンプトに基づいて分析を行うため、一貫した方法でデータを処理します。
これにより、各集計結果や要約の精度が保たれ、データ間での不一致が発生するリスクが低減されます。
さらに、ChatGPTは同じプロンプトを使って複数回のデータ分析を行った場合でも、安定して同じ結果を出すことができるため、長期間にわたってデータを追跡し、正確な比較分析を行うことが可能です。
このように、一貫性が保たれることで、企業や組織の意思決定に必要な正確な情報を提供できるのがChatGPTの強みです。
自由記述の自動要約と分類
アンケートの自由記述部分は、回答者が自分の意見を自由に述べられる貴重な情報源です。
しかし、これらの自由記述を一つ一つ手作業で要約し、共通点を見つけるのは非常に時間がかかる作業です。
ChatGPTを使うことで、自由記述の内容を自動的に要約し、主要なトピックやパターンを分類することができます。
例えば、自由記述の中で複数の回答者が共通している意見や、頻出するキーワードをChatGPTが抽出し、これを基に簡潔な要約を生成します。
また、テーマごとに回答を分類することで、複雑なデータも視覚的に整理された形で確認することが可能です。
この機能を活用することにより、従来の方法では手間がかかっていた自由記述の分析がスムーズになり、時間と労力を大幅に削減できるようになります。
ChatGPTでアンケート分析・集計をする注意点
ChatGPTを活用することで多くのメリットが得られますが、一方で注意すべき点もいくつかあります。
特に、AIを使った分析には限界があるため、結果の精度を確保するためには適切な使い方が重要です。
このセクションでは、ChatGPTを使ったアンケート分析で気をつけるべきポイントを説明します。
データの前処理が必要
ChatGPTを使ってアンケート分析を行う際には、前もって適切なデータ処理が非常に重要です。
データが整理されていない場合や、無関係な情報が含まれている場合、ChatGPTは正確な集計や分析ができない可能性があります。
たとえば、異なる形式の回答や曖昧な言葉を含んだデータをそのまま入力すると、意図しない結果が出てしまうことがあります。
そのため、データを事前に整理し、形式を統一してからChatGPTに入力する必要があります。
具体的には、スペルミスや余計な空白を取り除いたり、回答の選択肢を明確に分類することが前処理に含まれます。
こうしたデータの前処理を行うことで、ChatGPTはより正確で効率的な集計と分析を行うことができ、結果の精度も向上します。
AIがすべての意図を理解できるわけではない
ChatGPTは非常に優れたAIツールですが、すべての意図やニュアンスを完璧に理解できるわけではありません。
特に、質問が曖昧な場合や複雑なコンテキストが含まれる場合、ChatGPTが期待通りの結果を出せないことがあります。
そのため、プロンプトの設定が非常に重要です。
プロンプトは明確かつ具体的である必要があり、曖昧な指示を避けることが大切です。
例えば、「顧客満足度を評価する」というプロンプトだけではなく、「1〜5の評価に基づき、各評価の割合を算出し、満足度の高い顧客が何パーセントいるかを出してください」というように、詳細な指示を加えることで、より正確な結果を得ることができます。
AIの限界を理解し、適切な使い方を心がけることが、ChatGPTの有効活用には不可欠です。
個人情報の扱いに注意する
ChatGPTを使ってアンケートを分析する際には、個人情報の取り扱いに十分注意する必要があります。
アンケートの中には、個人を特定できる情報が含まれている場合があり、これを外部のAIツールに入力することは、プライバシーの侵害につながる可能性があります。
ChatGPTはクラウド上でデータ処理を行うため、特に機密情報や個人情報を含むデータを入力する際は、個人を特定できないようにデータを匿名化する必要があります。
これには、名前や住所、電話番号などの直接的な個人情報を削除し、統計データや匿名の回答に変換する方法があります。
こうしたプライバシー保護の対策を講じることで、安全かつ効果的にAIを活用したアンケート分析が可能となります。
まとめ
ChatGPTを使ったアンケート分析は、大量のデータ処理や自由記述の分析を効率的に行うための強力なツールです。
時間とコストを削減し、正確で一貫性のあるデータ分析を実現することで、ビジネスにおける意思決定の質を向上させることができます。
ただし、AIを使う上での注意点を把握し、データの前処理や個人情報の扱いに配慮することが重要です。
この記事で紹介したプロンプトを活用し、ChatGPTによるアンケート分析をぜひ実践してみてください。