
AIエージェント「Devin」を展開する米企業Cognitionが、エージェント型統合開発環境(IDE)を提供するWindsurfを買収することで合意しました。Windsurfはつい先日、OpenAIによる買収交渉が決裂したばかりでしたが、新たなパートナーとしてCognitionを選んだ形です。

今回の買収対象には、Windsurfの知的財産(IP)、製品、商標やブランドに加え、企業としての事業全体が含まれます。Windsurfは現在、年間経常収益(ARR)が8200万ドル(約115億円)に達しており、特に企業向けの収益は四半期ごとに倍増するほど急成長しています。また、350社を超える企業顧客と、毎日数十万人にのぼるアクティブユーザーを抱えています。
Cognitionのスコット・ウーCEOは、買収に伴いWindsurfが持つ「世界最高水準の人材」を迎え入れることを強調しています。また、両社は買収完了後、統合作業を進めつつも当面は独立した形で事業を継続する方針です。特にWindsurfの従業員については、全員がこの取引において経済的な利益を享受するほか、これまでの勤務に伴う権利確定期間(ベスティングクリフ)の免除や、権利確定(ベスティング)の完全な前倒しなど、手厚い待遇が約束されています。
Cognitionは今後数か月間で、Windsurfが持つ独自の技術や製品機能を自社製品に組み込むための投資を積極的に行っていく方針です。これにより、AIエージェント「Devin」の高い理解能力を活かしたコードベース分析やタスク管理機能と、Windsurfが提供するIDEの機能を組み合わせ、開発者が複数のAIエージェントに作業を並行して委任できるようになるとのことです。さらに、作業の中でも最も付加価値の高い部分については自動補完機能によるサポートを提供し、これらを同一の開発環境内で統合的に管理できるようにする計画です。

Cognitionは今回の買収を、両社が共通して掲げる「ソフトウェアエンジニアリングの未来を築く」というビジョンを実現するための重要な一歩と位置付けています。ウーCEOは従業員向けのメッセージで、「今回の統合によって、我々は今まで以上に迅速かつ強力に未来の開発環境を構築できる」と述べており、今後の統合効果に大きな期待を寄せています。