マイクロソフトは、米国証券取引委員会(SEC)に提出した年次報告書「Form 10-K」の中で、AI研究開発企業OpenAIを競合企業として挙げていることが明らかになりました。
マイクロソフトはOpenAIと戦略的パートナーシップを結んでおり、OpenAIの技術を活用したAI機能を自社の製品やサービスに統合することで、競争力強化を図っています。
その一方で、Form 10-Kでは、両社が共にAI技術を基盤とした製品やサービスを市場に提供していることから、顧客獲得や市場シェアを巡って競争関係にあると明記しています。
Our Search and news advertising business competes with Google, OpenAI, and a wide array of websites, social platforms like Meta, and portals that provide content and online offerings to end users.
出典:Form 10-K for Microsoft Corp filed 07/30/2024
当社の検索およびニュース広告事業は、Google、OpenAI、さまざまなウェブサイト、Metaなどのソーシャルプラットフォーム、エンドユーザーにコンテンツやオンラインサービスを提供するポータルと競合しています。
これは一見矛盾しているようにも思えますが、今日の複雑なビジネス環境においては、「協調」と「競争」は必ずしも相反するものではありません。
特定の領域では協力関係にありながら、より広範な市場においては競合関係にあるという「coopetition(コーペティション)」は、多くの企業間で見られる関係性です。
例えば、サムスンとグーグルは、以前「Nexus」というスマホの製造をサムスン委託していましたが、サムスンが製造・販売する「Galaxy」と直接競合していました。
また自動車業界では、トヨタとホンダは、燃料電池車や自動運転技術などで協業しながらも、自動車市場では熾烈な競争を繰り広げています。
マイクロソフトは、OpenAIとのパートナーシップの重要性を認識しつつも、AI分野における競争の激化も認識していることを、今回のForm 10-Kの記述は示唆していると考えられます。