AIで小説を書きたいが、どんなプロンプトを使えば良いか分からない。
こんな悩みを抱えている方がいらっしゃるかもしれません。
実は、ChatGPTを活用することで、簡単に小説のアイデアやプロット出しを行い、自分の思い描く小説をスムーズに作成することができます。
この記事では、ChatGPTに小説を書いてもらうための具体的な方法、効果的なプロンプトの例、そしてプロットやアイデア出しに役立つコツを解説します。
芥川賞の受賞作「東京都同情塔」でもAIが活用され注目
文学界の中でAIが本格的に活用される時代が到来しています。
その象徴的な出来事として注目されたのが、芥川賞を受賞した「東京都同情塔」という作品です。
この小説は、感情豊かな描写と構造の緻密さが高く評価されましたが、驚くべきことに一部のストーリーアイデアや展開がAIを活用して生成されていたことが後に明らかになりました。
九段さんは受賞記者会見で、「ぐらぐらしている小説だと私は考えています。危うさ、不安定な部分を含め完成度とおっしゃっていただけたのであればうれしい」と語った。「大体全体の5%くらい生成AIの文章を使っているところがあり、これからもうまくつき合っていきたい」と話した。
出典:読売新聞
AIが創作の分野で役立つことが実証されたこのケースは、AIが単なる補助ツールに留まらず、文学の新しい可能性を切り開く存在となりうることを示しています。
ChatGPTのようなAIツールは、物語の骨格を考えるだけでなく、キャラクター設定や対話の生成、場面の描写など、さまざまな場面で力を発揮します。
これにより、AIが単なる技術革新にとどまらず、創作の世界においても革命的な役割を担うことが明白になってきたのです。
ChatGPTに小説を書いてもらう方法とプロンプト例
ChatGPTは、小説執筆を簡単かつ効率的にするための強力なツールです。
特に、ストーリーアイデアを生み出す段階から文章の生成までをサポートしてくれる点が魅力的です。
これから紹介する具体的な方法を取り入れることで、自分の物語の完成度をさらに高められるでしょう。
ステップ①:小説のアイデア出しにChatGPTを活用する
ChatGPTは、小説を作成するためのアイデア出しを引き出すのに非常に役立つツールです。
たとえば、以下のような指示を送ってみます。
SFの未来都市を舞台にした小説を書くためのアイデアを作成してください。
以下のようなアイデアを生成しました。
ChatGPTから提案されたアイデアの中には、自分では思いつかない斬新な発想も含まれており、それが執筆の出発点になります。
この方法を使うことで、執筆者は創作意欲を掻き立てられ、物語の方向性をすぐに決められるようになります。
アイデアの幅が広がることで、小説を書く楽しさも倍増するでしょう。
ステップ②:出したアイデアをベースにプロットに起こす
ステップ①で生成したアイデアをもとにプロットを作成します。
以下のプロンプトを入力してみます。
次に、上記の小説のアイデアをもとにプロットを作成します。小説を書きやすくするために物語全体の構成を明確にしてください。
上記のプロンプトをもとに以下の結果が生成されました。
このように、冒頭のシーンからクライマックス、そして結末に至るまでの詳細なプロットを、AIの提案と共に構成していくことができます。
ChatGPTは、これらを考える際にも具体的なアドバイスを提供してくれるので、自分の中にある物語を整理しやすくなります。
こうしてプロットが完成すると、物語全体の流れが見え、次の執筆段階にスムーズに移れるでしょう。
ステップ③:プロットをベースに文章を生成する
今度は、ステップ②で生成したプロットをベースに文章を作成します。
ポイントは生成したプロンプトをベースに一気に文章を作成するのではなく、各項目ごとに区切って文章を生成します。
上記のプロットをもとに文章を生成します。まず、最初に「プロローグ」において、文章を生成してください。
次に「第1章:出会い」において、文章を生成してください。
小説のような文章量が多いものは、AIでは全文を一度に出力することは難しくなります。
そのため、ここで紹介したように各項目や章ごとに区切って、文章を生成するのがおすすめです。
ステップ④:出力された文章を人間の手で手直しする
先ほど、紹介した芥川賞を受賞した「東京都同情塔」は確かにAIを使用していますが、全体の5%のみAIを使用しています。
読者を惹きつけるために、AIだけで文章を生成することはお勧めできません。
AIが生成した文章をそのまま使用するのではなく、執筆者自身で手直しを行うことが重要です。
AIは確かに優れた文章を生み出す能力がありますが、完全に人間の感性を再現するわけではありません。
文章のニュアンスを調整したり、キャラクターの性格に一貫性を持たせたりする作業が必要です。
この手直しの段階では、読者の感情に寄り添う表現を意識すると良いでしょう。
執筆者の独自性を活かすために、AIが作った文章を土台にしつつ、自分なりの工夫を加えて完成度を高めていきましょう。
ステップ⑤:完成した文章を最後校正・推敲する
最終段階として、完成した文章を校正・推敲します。
以下のプロンプトで指示出しを行います。
「第1章:出会い」において生成された文章の修正を行います。以下の#修正条件をもとに文章の生成を行なってください。
#修正条件
・文章の誤字脱字やタイプミスがある場合は全て指摘してください。
・言葉の表記にばらつきがある場合は全て指摘してしてください。
・文脈の内容に合わない単語が使われている場合は誤りを全て指摘してください。
・主語と述語の組み合わせが間違っている場合は全て指摘してください。
・句読点の打ち方に不自然な点がある場合は全て指摘してください。
修正ポイントを指摘し、修正した文章を以下の通り生成しました。
この作業では、誤字脱字や文法ミスのチェックはもちろん、物語全体の流れに不自然な点がないかを見直すことが大切です。
ここで再びChatGPTを利用して、特定の部分の表現を確認したり、より自然な言い回しを提案してもらうのも効果的です。
以下の記事では、文章の校正を行うために有用なツールをご紹介していますので、こちらもご参照ください。
ChatGPTに小説を書いてもらうメリット
ChatGPTを活用して小説を書くことには、思わぬメリットがたくさんあります。
AIが提供するサポートは、創作の幅を広げるだけでなく、執筆にかかる労力や時間を大幅に削減してくれるのです。
この部分では、ChatGPTがどのように小説の執筆を助け、物語をより豊かにしてくれるのか、その具体的なメリットについて詳しくご紹介します。
メリット①:アイデア出しがスピーディーに行える
小説を書く際に最も苦労するのが、アイデアを思いつくことです。
しかし、ChatGPTを活用すれば、その悩みは一気に解消されます。
ChatGPTは指示されたテーマやキーワードに基づき、驚くほど多彩なアイデアを瞬時に提案してくれるため、執筆の出発点を見つけやすくなります。
「ファンタジー世界の新しい設定を考えてほしい」「ミステリー小説の意外な結末を教えて」などのプロンプトを入力するだけで、創造的で具体的な発想が得られるのです。
このスピード感は、創作時間を短縮するだけでなく、執筆者のモチベーションを維持する上でも非常に有効です。
頭を悩ませることなく、すぐに執筆作業に移れるので、創作の流れを止めることがありません。
また、複数のアイデアが一度に提示されることが多く、その中から自分にぴったりのものを選ぶことで、物語の方向性も決めやすくなります。
これにより、執筆がスムーズに進み、より多くの作品を生み出せる環境が整うのです。
メリット②:文章表現が豊かになりやすい
ChatGPTは、文章表現を豊かにするための強力なツールでもあります。
特に、描写が苦手な執筆者にとっては、AIが提案するリアルな表現や言い回しは非常に参考になります。
「夕暮れのシーンをもっと情緒的に描きたい」「キャラクターの感情をより深く表現したい」といった要望に対しても、具体的で鮮やかな文章を生成してくれるのです。
これにより、物語の中で伝えたい雰囲気や感情をしっかりと表現することができます。
また、会話文の作成も得意なChatGPTは、登場人物の個性を際立たせる自然なセリフを生み出すことが可能です。
読者の心に響くようなリアリティのある対話を通して、キャラクターの魅力を引き立てることができるのです。
さらに、言葉のバリエーションも豊富なため、同じ意味合いの表現を繰り返すことなく、物語全体を生き生きとさせることができます。
このようにして、ChatGPTは文章の質を向上させ、読者を引き込む力を備えた作品作りを支援してくれるのです。
メリット③:執筆のプレッシャーが軽減される
小説を書き始める際に、「書けるだろうか」「良い作品になるだろうか」というプレッシャーを感じる人も多いはずです。
しかし、ChatGPTを導入することで、執筆に対する精神的な負担が軽減されます。
AIがサポートしてくれるという安心感が、作業を始めるハードルを下げてくれるのです。
最初の一文を書くときや、物語の展開がうまく思い浮かばないときにも、ChatGPTがすぐに助け舟を出してくれるため、「詰まってしまう」という恐怖心が和らぎます。
このプレッシャーの軽減は、創作をより楽しむことにもつながります。
心に余裕が生まれることで、自由にアイデアを膨らませたり、新しい挑戦をしたりする意欲が高まるのです。
また、執筆が思うように進まないときでも、AIの提案にインスピレーションを得て再び筆を進められるので、モチベーションの維持にも役立ちます。
結果として、楽しみながら創作を続けられる環境が整い、完成した作品に対する満足度も高くなるでしょう。
ChatGPTに小説を書いてもらう注意点
ChatGPTは便利なツールではありますが、使い方を間違えると小説のクオリティに影響を与えてしまうことがあります。
AIを活用する上で知っておくべき注意点を理解しておくことで、AIに頼りすぎず、バランスよく執筆を進めることが可能になります。
ここでは、ChatGPTを使う際に気をつけるべきポイントや、陥りやすい落とし穴について説明していきます。
注意点①:AIに頼りすぎない
ChatGPTは小説執筆において非常に役立つツールですが、AIに頼りすぎることにはリスクがあります。
AIが生成した文章は論理的に構成されている場合が多いものの、執筆者自身の感情や独自の視点を欠いていることが少なくありません。
物語においては、読者の共感を引き出すために、執筆者の個性や人間らしい感覚が重要です。
AIに任せきりにしてしまうと、物語が平板な印象を与えたり、読み手に深い感動を与えられなかったりする可能性があります。
また、AIの提案をそのまま使うと、他の作品と似通ってしまう危険性もあります。
特に、独創的なプロットや斬新なキャラクター設定を目指す場合は、AIの提案を参考にしつつ、自分のアイデアを積極的に盛り込むことが大切です。
自分の作品に込めたいテーマやメッセージを明確に持ち、それをAIの出力に反映させる工夫を怠らないようにしましょう。
AIはあくまで補助的な役割であり、執筆者自身のクリエイティビティを発揮する場を残すことが成功への鍵です。
注意点②:出力の品質に注意する
ChatGPTは文章を生成する際に、内容が一貫していない場合や、不自然な表現が含まれることがあります。
特に、長い文章や複雑なシーンを作成すると、登場人物の性格が変わってしまったり、物語の整合性が取れなくなったりすることがあるのです。
そのため、AIが作った文章は必ず人間の目でチェックし、必要に応じて修正を加えることが求められます。
また、AIは文化的背景やニュアンスを十分に理解していない場合があり、特定の場面で適切な表現ができないこともあります。
たとえば、ユーモアや皮肉、方言などの微妙なニュアンスは、AIが正確に再現するのが難しいことがあります。
こうした部分は、執筆者が丁寧に見直し、自然な表現に修正することで、物語がより魅力的になります。
文章の品質を高めるためには、AIの出力をそのまま使うのではなく、推敲や調整をしっかり行う習慣をつけることが重要です。
まとめ
ChatGPTを活用して小説を書くことは、アイデア出しやプロット作成、文章生成など、多くの面で執筆を支えてくれる魅力的な方法です。
AIの力を借りることで、執筆の効率を大幅に向上させることができ、自分の発想をより具体的に形にすることが可能になります。
しかし、一方でAIに頼りすぎないことや、出力された文章をしっかりと人間の目でチェックし、修正することの重要性も見逃せません。
これまで説明した方法や注意点を踏まえて、ぜひあなたもChatGPTを活用しながら、素晴らしい物語を生み出してください。